ロシア経済制裁がもたらしたもの
【凋落する基軸通貨ドルの威信】
まずはおさらいから。
アメリカは60年代、70年代にベトナム戦争をやって泥沼になり、戦費がかさみ、ドルを大量に発行した。
大量のドルを保有していたフランスやイギリスは不審を抱き、手持ちのドルとアメリカが所有する金(きん)との交換を要求し始めた。
(当時は金本位制だったので、金1オンス35ドルで交換が約束されていた)
そこで、金がどんどんアメリカから出ていって、1971年8月、ニクソンはドルと金の交換の停止を宣言。(ニクソンショック)
金に裏付けられていたドルは、この日を境に何の裏付けもない通貨(不換紙幣)となった。
これで、アメリカは好き放題ドルを刷ることができるようになったが、買い支えとドルの価値の裏付けが必要となる。
そこで、3年後の1974年、当時国務長官のキッシンジャーがOPECの長であるサウジに飛び、この後40年間封印されていた秘密の協定を結ぶ。
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協定とは、アメリカがサウジの王室を守るから、石油の取引は全てドルにし、収益はドル(米国債)で保有する。
これで、世界中の全ての国は石油(そして他の資源)を買うためにドルを保有しなくてはならなくなった。
いわゆる「ペトロダラー」の誕生。
ドルは金ではなく、石油で裏付けされることになった。
これを破った国は容赦なく滅ぼされてきた。
ユーロで石油取引しようとしたイラクは「大量破壊兵器がある」と事実無根の難癖をつけられて2003年に侵略され、フセインは殺された。
2009年に金本位制に移行しようと呼びかけたリビアは2011年に暴動を起こされ、NATOに空爆されて、カダフィは殺された。
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リアルタイムでは気がつかないことも、後で振り返れば見えてくることがあります。
しかし忘却とは忘れ去ること也。
そして現在。
2021年8月、サウジアラビアとロシアは軍事協力協定に調印したと発表。
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サウジはロシアと軍事協定を結ぶことによって、アメリカから守ってもらわなくてもよくなった。
世界で一番の武器の輸入国はサウジアラビア。
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世界で1番の武器輸出国はアメリカだが、2番めはロシア。
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そして今年3月、サウジが石油取引を元で行うことを計画していることが明るみに出た。
サウジの王室はロシアと中国に守られ、石油取引は中国元で行う。
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昨年の夏同じ時期に、ナイジェリアもロシアとの軍事協定に調印。
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ナイジェリアは、OPECで中東以外での原油生産量トップの国。
このサウジアラビアをめぐる歴史的転換のやばさに気づいたアメリカは、今年7月15日、バイデンをサウジに飛ばした。
表向きは原油の増産を懇願しにいったことになっている。
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7月22日、プーチンはBRICS諸国は新しい国際基軸通貨を確立するために協業していると発表した。
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そして、サウジはエジプトとトルコとともに、BRICSに参加することを検討中とのニュース。
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バイデンはサウジ王室に、BRICSに参加しないでくれ、と懇願しに行ったと考えられる。
しかし痴呆症のヤバイデンが成功したとは考えがたい。
BRICSには中国、ロシアに並んでさらに重要な国がある。それは人口2位、経済(GDP)で5位のインド。
インドとロシアの間にある南北輸送回廊とは、イランを経由してインドとロシアを結ぶ全長7200kmの輸送網(船、鉄道、道路)のこと。
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これができると、インドとロシアは中東、ヨーロッパ、その間のスエズ運河を通ることなく取引ができることになる。
つまり、ロシア・インド間の取引は欧米には全くつかめなくなる。
今年の7月5日インドはイランに回廊を開くことを要請。
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同7月、この回廊を使ってロシアはインドに物資を送り始めた。
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7月13日、インドの中央銀行はロシアとの貿易にインド・ルピーを使うシステムを発表した。
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つまり現在、
サウジはBRICS基軸通貨システムに参加検討中。
中国は元でサウジから石油を買う。
インドはルピーを使って国際取引する準備ができている。
ドルから追い出されたロシアは、ルーブルでの決済をヨーロッパに要求。
アメリカが主導したロシアへの経済制裁が、結果的にドルの基軸通貨としての威信低下を早めたように思われる。
そして先進国と自惚れているG7には、アメリカを除いたら資源保有国はひとつもない。
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米国債を保有している上位30カ国で日本がダントツ1位です。
昨今の円安で含み益が40兆円は増えたはずなのに何故増税するの?
国民の所得を増やすと言っている政策と矛盾しています。
アメリカに売りつけられた米国債は償還するたびに買い換えをさせられて、元本は減らないし、多分永久に戻ってきません。
債権証書も日本国内にありません。
つまり売ることはできない実質はアメリカへの貢物です。
かつて橋本龍太郎首相はコロンビア大学で行われた講演会で「米国債を売る誘惑にかられることがある」と発言しただけで、ダウが大幅に急落して「米国債の売却は宣戦布告とみなす」と脅されたという話が伝わっています。
それ以来日本政府が米国債売却について話すのはタブーになりました。
またアメリカからの国債追加購入要求を、国益に反するとして拒否した故中川昭一氏は、不可思議な酩酊事件で失脚しました。
ルーブルの為替レートが落ちないのは、マーケットがドルの凋落と基軸通貨の二分化あるいは多極化の可能性を折り込み済みだから、と真田幸光氏がプライムニュースで語っています。
お金持ちの方は株ではなく、金(きん)を買いましょう。
さて中国の天然ガスのロシアからの輸入量が過去最大を更新しました。
中国は現在景気後退中でガスが余るはずです。
余った天然ガスは西欧諸国が中国から買っている模様です。
つまりロシア制裁をした結果、ガスの供給をロシアから絞られた西欧諸国は何倍も高いガスを中国経由で買っているという皮肉な事態になっているようです。
凍死しないために必要ですが、国民は困窮しています。
特に英国が電気・ガスの値上がりが酷いと報じられています。
果たして日本の政権は乗り切ることができるほど賢いでしょうか。😭
以前言ったように資源のない日本は、原発と火力発電所をバンバン稼動させるべきです。
地球温暖化の主因が二酸化炭素だという科学的証明はありません。
頭の悪いマスコミは、いまだにロシア非難、戦争をやめる気がないアメリカとゼレンスキー擁護の一辺倒です。
どっちもどっちなのに。
来年はもう少しは良い年になりますように🙏