金縛りの話

幼いころ祖母が大好きだった。
よくいろんなところへ連れて行ってもらった。
怪獣映画にもいつも連れて行ってくれた。
上映中祖母は寝ていたけど。


その大好きな祖母が亡くなった。
中学校に連絡が来て走って家に帰ったら祖母は目を閉じて裸で横になっていた。
母が祖母の身体を清めていた。
僕は死んだら人に裸を見られるのか、と少し嫌な気分になった。


祖母が亡くなって2日目、夜中に目が覚めたら金縛りになった。
目をうっすらと開けると天井に祖母の顔が影のように見えた。
しばらく目を閉じていたら身体が動くようになった。
僕は怖くなって両親の寝室へ行って今の話をした。
母は「大丈夫よ。きっとおばあちゃんはタダシが好きだからお別れに来てくれたのよ」
そう言われて僕はほっとして怖くなくなってぐっすり眠ることができた。
それ以来金縛りになったことは一度もなかった。


何年も経ってある夜息苦しくて目が覚めると金縛りになっていた。
身体を動かそうとしても何か重いものに抑えられて動けない。
昔の記憶が鮮明によみがえった。
でも誰も死んでないはず？？



僕は怖くなってうっすらと目を開けた。
胸の上に愛犬が寝ていた。