(憧れの地、那智の滝へ)
7:00 三重県大台町:道の駅_おおだい 走行距離:1046km
起床。トイレの洗面所で鏡を見ると、髪に寝癖がついていた。水で湿らせたが直らない。かっこ悪いが今日一日この頭で過ごさなければならない。しょうがない。
有線放送で、メロディだけの「マイ・ウェイ」がかかっていた。旅の途中にぴったりの曲だと思う。今日も張り切っていこう。
8:24 和歌山県南部川村:道の駅_きのくに 走行距離:1125km
日曜日の朝なので、道路は比較的すいている。適度なカーブが続き、気持ちよくコーナリング。
雲の間から時おり太陽が顔を出す。んんんんん?猛烈な違和感。なぜ太陽が海の方にあるんだろう?
「♪西から登ったお日様が、東へ沈む~」
というバカボンの歌が頭をよぎる。
そうだ、今は太平洋を左手に臨みながら南下しているのだ。秋田は日本海側にあるので、太陽は山から顔を出す。いつもと違うから妙な感じに襲われたのであった。これでいいのだ。
あちこちに「たまごの自動販売機」がある。秋田ではお目にかかることがないだけに、ものめずらしい。あんなに沢山の販売機を設置して大丈夫なのだろうか?需要があるから供給があるのだろうが。賞味期限が切れたらひよこになって出てきたりして。
で、道の駅。ここの駐車場に、ひのきの切れ端がケースに入れられ大量に置かれていた。持ち帰り自由と書かれていたので記念に2枚もらった。助手席の足元に置いているだけで独特の香りが漂い森林浴気分。
9:14~9:49 新宮市:熊野速玉大社 走行距離:1162km
熊野川を渡ってすぐのところにあった。社殿の色彩が鮮やかでけばけばしい。しかし神社ってどうして退屈なんだろう。
社殿の中を拝観できるわけでもなく、石垣や庭園もなく、ただ拝むだけだからだろうな(※当時の感想です)。さておき、宝物館には平家ゆかりの品々など沢山の珍宝があり見ごたえ充分であった。
境内で、ここと熊野本宮大社にしか置いていないという餅が売られていた。試食させてもらったらこれがなかなか美味い。だが賞味期限は三日間であり、今買ってしまうと旅の途中で期限を過ぎてしまうので、おみやげとして買うのはあきらめた。
10:27~12:23 那智勝浦町:那智の滝 走行距離:1184km
今回の旅のハイライト、那智の滝に到着。
高さ133mから一気に落下する水柱は壮観である。マイナスイオンを体いっぱいに浴びて気分すっきり。
青岸渡寺
「ふだらくや きしうつなみは みくまのの なちのおやまに ひびくたきつせ」
でおなじみの、西国三十三所第一番の札所である。霊場らしく、全身白ずくめの巡礼者が沢山いた。境内ではスピーカーか延々御詠歌が流れている。レコードで例えるなら、秋田でいつも歌っているのは45回転、ここで流れているのは33回転、聴いててダルい。
辺りにはお香の匂いが漂い、遠くには那智の滝が見える。第一番にふさわしい、まさに補陀落だ。
ここまで来た記念に、何か買おうと売店を覗いてみた。すると「納経帖」が目に留まった。これは現代風にいえばスタンプラリーの台帳である。三十三所に指定されている寺に持って行くと、朱のはんこを押してくれ、その上に本尊名を墨で書いてくれるのだ。これはいい記念になるだろう。ということで購入。早速本堂へ持って行き、書いてもらった。
この時点で今回の旅の目的が決まった。
そう、三十三所巡礼である。
ちなみに西国三十三所巡礼とは、「観世音菩薩の大慈大悲を求め現世利益を願うものである」と納経帖に付いてきた紙に書いてあった。
那智熊野大社
青岸渡寺の隣に神社があった。やはり神社は神社、面白くとも何ともない。
13:20 串本町:橋杭岩 走行距離:1223km
本州最南端を目指し海岸線沿いの道路を走っていると、奇岩が立ち並んだ奇妙な光景に出会った。海を隔てた大島に向かって綺麗に整列している。現場に行くと駐車場があり、お土産屋もあり、そこが「天然記念物 橋杭岩」という観光地であることがわかった。
現地の看板によると、「その昔弘法大師が紀州行脚の際この地に立ち寄り、向かいの大島へ渡るため天邪鬼に手伝わせて橋をかけ始めたが、天邪鬼がくたびれて鶏の鳴声をまねたので大師も夜が明けたと思って中止し、その橋杭だけが残ったといわれている」とのこと。男鹿市門前五社堂の「999の石段」に通じるような伝説だ。
13:47~14:07 樫野崎 走行距離:1236km
紀伊半島南端東側の島、大島に上陸。とは言っても立派な橋がかかっており、車で行くことができた。ここでは「トルコ軍艦遭難の碑」と日本最古の石造の「樫野崎灯台」を見た。じっくりと味わいたかったが、雨が降ってきたので早々に立ち去った。
14:26~14:54 潮岬観光タワー 走行距離:1250km
本州最南端に到着。ちっぽけな石碑と売店があるだけで面白くもなんともない。
つづいて場違いのようにそびえ立つ観光タワーへ。シーズンオフと天候の悪さが重なってか、ほとんど人がいなかった。入場料を払うと、本州最南端来訪の証明書をくれた。だがそれには日付が書かれていなかった。意味がないっていうの、まったく。悔しいので自分で書いてやった。で、屋上へ。眺めの良さを期待したが、小雨のせいで景色がかすみ、イマイチだった。
景色を見終わって、階下のお土産屋へ。珊瑚のアクセサリーがあたるという空くじなしの抽選をやってみた。1回300円、もし当たれば儲けものである。結果は、いまどき100円ショップにも売っていないようなスリッパ。捨てるわけにもいかず、困ってしまった。
15:00 潮岬灯台前
台風中継でおなじみの灯台である。駐車料金300円の看板が見えた。それだけを見るがためにお金を出すのはもったいないので、素通り。スリッパの件がなかったら寄ってたかも。
15:16~16:24 串本海中公園 走行距離:1261km
国道を走っていると沖に変な物体があるのを発見、かなりの大きさだ。旅に出る前、会社の人に「海の中に行ける水族館がある」と聞かされていたが、これだなとピンと来た。黒潮の流れる海底はどんなものか知りたくなって立ち寄ることにした。
ここは水族館、グラスボート、海中展望塔の3つの見どころがある。今日は他に予定がないので、全て見てみることにした。
はじめは水族館、ゆっくり見たかったが
船の出港時間が近づいていたため、素通り状態。水中トンネル式大水槽は青森の浅虫水族館よりもスケールが大きく、見ごたえがあった。
次はグラスボート。船底が展望室になっていて、窓から海底の様子が見ることができる。国内では珍しい「テーブル珊瑚」をじっくり鑑賞することができるらしいのだが、この日は海水の透明度が低く、イマイチだった。船酔いを心配したが、なんともなくてほっとした。
その次は海中展望塔。塔の壁に小窓がぐるっと360°はめ込まれ、海中、海底の様子がナマで楽しめる。窓の外には本物の熱帯魚がウヨウヨ泳いでいた。
しかし窓が小さいせいか、水族館の水槽で見ているのと同じ感じで感動は少ない。どうせなら塔全体をガラス張りにしてくれたらいいのに。本当に海中を楽しみたい人はダイビングをやるしかないなと思った。
18:30頃 田辺市:コンビニタイムリー 走行距離:1332km
この街に入ると、なにやら一筋の光線が上空に向かってゆっくりとグルグル周りながら放たれている。そばに空港でもあるのかと思ったが、光源は国道沿いのパチンコ屋だった。飛んで火に入る欲の虫どもを集めようという魂胆だろう。
コンビニに寄って、食料調達。どんぶり型の容器に入った「和風カレー」を買い、車中で食す。「和歌山でカレーを食べるのは勇気がいるなぁ」と、心の中でヒ素ヒ素ひとりごと。
20:30頃 和歌山市
ようやく県庁所在地に到着。山深い熊野地方とは対照的に、大都会だ。駅前に行き、夜の恒例行事、風呂探しをはじめる。電話ボックスに入りタウンページを開くと地図を載せている銭湯が見つかった。
早速車で向かってみたがそれらしき建物が見つからない。通行人に尋ねたら、駅を挟んで反対側にあると教えてくれた。
21:00~22:00 和歌山駅東口方面:大門湯 走行距離:1434km
ここは1階が脱衣所、2階が浴室という珍しい形式だった。中二階には狭いながらも露天風呂があった。ゆっくり浸かり、リラックス。
22:36 紀三井寺前のお土産屋の駐車場 走行距離:1445km
線路が目の前にあり、時おり轟音が響く。
イライラしながら就寝。