2010.11.12(金)
幸い雨が上がった。磨墨色の愛車に乗り込み、佐々木高綱と梶原景季の「宇治川の先陣争い」の場面を想像しながら宇治橋を渡った。
そして県道7号線を北上、そして右折し坂道を登り、10時25分、やって来たのは黄檗宗大本山・萬福寺である。
ここは10年前、西国三十三所巡りで三室戸寺を訪れたとき、車中泊の場所を探すために近所まで来たことがある。
ちなみにその夜は結局、黄檗霊園付近の駐車場で寝たのだが、行程が詰まっていたためこの寺の観光は諦めたのであった。
それはさておき、駐車場に車を停め、案内に従い正面入口を目指すべく、敷地の塀沿いに歩いて行く。
そしてようやく入口へ辿り着いた。総門にしゃちほこが載っている。ここからして独特の雰囲気が伝わってくる。
三門の受付にて入場券を購入し、広い境内に散在する様々なお堂を順に巡る。どのお堂にも正面に漢字が羅列された木の板が掲げられているが、全く読めないのご残念である。
正直、なんだかパッとしない寺だなと失礼なことを思いつつ歩いていると、そこへ僧侶が数名、中国式発音で読経しながら境内を歩いて回る光景へ出くわした。
これこれ、こういうのが見たかったのだ。それも束の間、僧侶たちはすぐにいなくなった。もっと見たかったのに…残念。
斎堂の前へ来ると、この寺の象徴というべき珠をくわえた魚の「開版」が現れた。これが木魚の原型だそうである。
続いて本堂の大雄寶殿へ。ここがこの寺の最大の見所であった。お堂の中央に祀られた釈迦牟尼仏、そして壁際に控える様々な表情や仕草を見せる十六羅漢像。それらを一つ一つ愛おしく眺めた。
お堂を出ると、そこへ見覚えのある美女が。平等院で出会った柴田倫世似のガイドである。だるそうに歩く生徒を引率し、寺の解説をしていた。
私も混じって聞きたいところだったが、制服姿の若者たちの中で忍法「団体客紛れ」は使えるはずもなく、そっと立ち去った。それにしても修学旅行がこの寺なんてマニアックな気がする。
こうして境内を一巡し、満腹となったところで駐車場へ戻る。帰りは正面の総門からではなく、斎堂の脇から外へ出ることが出来て、歩く距離は少なく済んだ。
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2010年旅行記
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2023/05/19 17:43:06