2010.11.12(金)
気を取り直し、次は全く眼中になかった、西芳寺のすぐそばにある「鈴虫寺」こと華厳寺へ行ってみることにした。
駐車場は満車に近く、そこに行くと思われる観光客の姿も多い。この寺については全く知識はないが、どうやら人気スポットのようである。
駐車場から歩き始めると、参拝を終えたと思われる観光客と多数すれ違った。なぜか若い女性の割合がやたら多い。なんだかよく分からないが期待に胸が高鳴る。
そして「鈴蟲の寺 華嚴禪寺」と彫られた石柱の元から石段を登って行くと、大勢の参拝客に出くわした。皆お地蔵様を拝んでいる。世にも珍しい、わらじを履いた地蔵とのこと。
ふーん、と素通りし、順路を進むと寺務所があり、そこで見学志納料500円を納めると、なぜか書院に通され、ずらりと並ぶテーブルの前へ座らされた。
そこには茶と「寿々むし」という名の菓子が用意されていた。周りを見渡せば、殆どが若い女性で、ざっと数十人はいる。
そして部屋の前のほうに大きな水槽のようなガラスケースが幾つも連なり、その中には何匹いるのか想像が付かないほどの鈴虫が、リーンリーンと輪唱しつつうごめいていた。
風流とは程遠い騒音の洪水状態に正直気色悪さを感じる。これが寺の名の由来なんだろうな。
これから何が始まるんだと緊張しつつも寛いでいると、やがて袖から坊主が登場、法話をし始めた。
それがまた軽妙なトークで、場は和み、いい雰囲気となってきた。ただ寺を見るだけのつもりだったが、思いも寄らない趣向が用意されていて嬉しくなる。
しかしだんだん雲行きが怪しくなってきた。この法話、結局はこの寺のお札やお守りを買わせるための霊感商法ではないか。
そう感じた途端、席を立ちたくなったが、大人なので(小心者なので)最後まで我慢して話を聞くことにした。
BGMは鈴虫の鳴き声。まるで目覚まし時計のアラーム音のようだが、逆に眠気を誘う効果音のように感じる。
舟を漕ぎはじめそうな私。話に引き込まれている方々には法悦の音に聞こえているのかもしれない。
数十分に及ぶ話が終わった途端お守り売り場に長蛇の列が出来た。わらじを履いたお地蔵様が参拝客の住所まで願いを叶え救いを差しのべるために歩いて来てくれる、そんな御利益を信じる人々。単にアミューズメント気分の方も多そうだが。
果たしてこれが禅寺のやることなのだろうか?単に私がひねくれた物の考え方をしているだけなのだろうか?
何の予備知識もなしに訪れて、前半は充分楽しんだものの、後半その分落胆してしまい、楽しさは相殺されてしまった。
まあいい。6千匹の鈴虫やわらじ地蔵など、滅多にお目にかかれないものも拝めたし、良しとしよう。
話によれば、シーズン中は書院へ入るのが3時間待ちの日もあるということだったが、今日は待ち時間なしに座れたので運が良かったと思わなければ。
こうして信心深い人々を横目に、とっとと外に出て庭園を回遊し、駐車場へと戻った。
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2010年旅行記
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2023/05/20 16:58:32