
今回取り上げるのはこのルノーの25です。25と書いてフランス語でヴァンサンクと読みます。
1983年に登場したルノー・25は一見普通のセダンに見えますが、、

実はハッチバックなんです。いわゆるセダン風ハッチバックの一つで欧州車ではよくあるスタイルではあります(日本では中々売れませんでしたが…)。日本車で言うならダイハツのアプローズのようなモノと考えておくべきでしょう。

全長4,640㎜、全幅1,770㎜という当時のフランス車にしてはかなり大きなサイズで、フラッグシップに相応しい堂々たるものでした。それでいながらメッキ類が一切無く控え目で地味なデザインなのはいかにもフランス車らしい…といったところでしょうか。
またCd値0・28と空力特性に優れていたのも売りでした。
ハッチバックなのでこのようにダブルフォールディングも可能となっています。最上級グレードのバカラの場合はトランクに何と専用のスーツケース付!
しかもこのスーツケースは取り外しも可能です!言うてかなり大きいサイズだとは思いますが…

地味な見た目と裏腹にインパネの変態度が凄くて、2段重ねのかなり凝った形となっています。
ただやはりフラッグシップに相応しく装備はだいぶ充実しています。イコライザー付きの高級オーディオ(フィリップス製)やマルチディスプレイ、ステアリングリモコンまで装備…
しかもこのエアコン、ダイヤルを回してカーソルを合わせて調節するというかなり独特の形なんですよ~

シートは勿論本革で見た目的に昔のホテルのソファーに近い感じ…座り心地めっちゃ良さそう…
勿論全て電動でシートヒーターまでありますが、今の主流であるレバー式ではなくボタン式となっています。
エンジンは30から引き継いだV6・3.0LのPRVエンジンを搭載しています。

1988年にマイナーチェンジを行い、フェーズ2と呼ばれるモデルとなります。5角形の異型ライトを採用した新しいデザインとなりました。
個人的にはこっちの方がスッキリしたデザインで好みですね~

またこの25にはリムジンもありました。とは言っても後ろを延長したものでドアがその分大型化されています。当時の大統領専用車にも使われていました。
もちろんフランス車の中ではトップクラスの高級車ですから、政府関係・重役用途には広く使われており駐日大使のクルマもこの25だったそうです。
この時期、ルノーはその1988年に登場した19を最後に長らく続いた数字の車名をやめ、それまでの主力だった5を1990年にクリオ/ルーテシアにバトンタッチさせたのを皮切りに数字の車名から新しい名前の車名に切り替えていきました。
そして25も1992年、サフランという新たなフラッグシップに後を託して絶版となりました。
この時期の車名変更の一覧を出すと、
Aセグメント…4→トゥインゴ
Bセグメント…5→クリオ/ルーテシア
Cセグメント…19→メガーヌ
Dセグメント…21→ラグナ→タリスマン
Eセグメント…25→サフラン→ヴェルサティス→ラティチュード(消滅)
他の車名が2020年現在も多く残っているものが多く、また今は無きラグナの名前も比較的長く続いた中、やはり25に当たる高級車だけはドイツ勢のBMW・ベンツ・アウディに勝てず苦手のようで、何度も車名を変えたが売れず今や撤退しています…
ルノーの高級車にも伝統的な最高級グレードの設定があったり、実用性の高い5ドアハッチバックになっていたり、フワフワしたシートの座り心地…などなど個性もあるのですが、やはりフランス車らしく見た目が地味で下のクラスと変わらないも多かったですし、あとはEセグメントの高級車となるとかなり大枚はたいて買うモノですからブランド力の差も出ますし、やはりそういった面でで不利になるのでしょうね…
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自動車研究 | クルマ
Posted at
2020/12/16 10:20:51