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2022年03月21日 イイね!

新時代の幕開け

新時代の幕開け F1が開幕した。
昨日のバーレーンGP、月曜祝日という幸運もあって翌日のことを気にすることなく楽しむことができた。
今年のF1は新時代とも言えるレギュレーションの変更があった。既にご存知の人も多いと思うけれど、シャーシ下面がフラットボトムからカーブドボトムがOKとなり、いわゆるウイングカーが復活した。
タイヤもこれまでの13インチ径から18インチとなり、マシンの外観も大きく変わった。ここ十数年のマシンに比べて、今年のF1マシンは総じてカッコイイ。
個人的には特にフェラーリがクールに見える。

 さて、その新時代の開幕戦。
やっぱり素人の予想などアテにならないと痛感した。
私はレッドブルのマックス フェルスタッペンが横綱相撲で優勝すると思っていた。
予選でポールを逃した時点でも。

 なぜなら昨年も予選では上位10台くらいはけっこうタイムが拮抗していても、
いざレッドシグナルが消えるとその差は大きく広がったからだ。
予選で0.5秒の差として、単純計算だが10周で5秒。
ところが実際には5秒以上の差があっさりついてしまっていた。

 つまりレッドブルやメルセデスは予選の速さも決勝の強さも、
他のチームを頭一つも二つも抜きんでていた。

それがレギュレーションが変わったとはいえ、
そう簡単に他チームに追いつかれないのではないか?そんな風に思っていた。

 しかし、終わってみれば昨年は中団だったフェラーリの完勝。
しかも1-2フィニッシュというオマケつき。
ポール、1-2フィニッシュ、ファステストラップと
完全に「フェラーリの日」となった。



 レース終盤、フェルスタッペンがリタイアし、
続いてペレスが1コーナーでスピンしたとき、
日本列島から悲鳴が聞こえてきそうだったが、まだシーズンの1/23である。
今度はフェラーリが2台全滅ということだってあるだろう。
ただ、ホンダ系のPU搭載4台のうち完走1台というのは、
ホンダファンは気がかりだろうと思う。
PUに関しては大幅なレギュレーション変更はなく、
E10燃料になったくらいだけれど、何か関連はあるのか。
(チームからは「燃料ポンプが原因」と発表があった)
そういえばマンセル&パトレーゼ時代のウイリアムズが、
燃料のレギュレーション変更で市販燃料を入れた途端
トラブルに見舞われたことがあった。
市販燃料ではエンジンの振動が大きくなり、
確かアクティブサスペンションが不調になったような記憶がある。

 新時代とは言ったものの、かつてウイングカー元年と言われた’79年と
似ていると思った点があった。
レース終盤、レッドブル2台がリタイアする直前を思い出していただきたい。
この時点での順位はFerーFerーRBーRBーMerーMerである。
つまりキレイにマシン順になっている。
43年前のメディアはこの状態を「ドライバー不在」と批判的だった。

 ただ、今年は予選も決勝も43年前を思い出させるが、
各チームの実力はまだ分からない上に、昔よりもコトは複雑になっている。
今シーズン最大のトピックはウイングカー復活であるけれど、
私が思っていたほどマシンは劇的に速くなっていない。
いや、昨日のタイムを見る限りでは、むしろ遅くなっている。
ポールタイムで比較すると、昨年も開幕戦だったバーレーンGPのPPは
今年のルクレールより1秒以上も速い。
これにはタイヤも影響しているのかも知れない。
まだ、どのチームもけっこう手探りの状態なのではないか。

今年、タイヤの使い方、いわゆるタイヤマネジメントが勝敗を分けるかもしれない。
そしてパワーユニットの良し悪しも見逃せない。
フェラーリが復活し、
下位を彷徨っていたアルファロメオやハースが入賞するということは、
間違いなくPUが「キマっている」ことに他ならないからだろう。


アルファロメオもカッコイイ!
予選から好調でボッタスも周も揃って入賞。
個人的にはライコネンとジョビナッツィにこのマシンをドライブさせたかった。


 しかし、メルセデスがこのまま鳴かず飛ばずのままで終わるとも思えないし、
マクラーレンやアルピーヌももう少し上位に割り込むのではないか。
ホンダ系PUが最適化されれば、
ガスリーも角田もシングルグリッドの常連になる可能性がある。

 いずれにしても、昨日の結果は今後を予想する上では
あまり参考にならないと思っている。
ということは、今年のF1はかなり面白いといことになる。

時代が変わっても、やっぱりF1GPはエキサイティングだ。
Posted at 2022/03/21 20:24:49 | コメント(1) | トラックバック(0) | F1 | 日記
2022年03月08日 イイね!

1982年

1982年 最近YouTubeで1982年のF1を視聴している。
このシーズンは’79年に一度は引退したラウダが復帰したこともあり、自分にとっては非常に興味深いものだった。
さらにUPされている動画は30分ほどのダイジェスト版。15分程度のモノはよくあるけれど、それだと今ひとつレースの見どころがカバーし切れていない。かと言ってフルで観るには長過ぎる。
レースにもよるが、30分ほどのダイジェスト版は「イイトコ取り」な編集となる。

 まだ82年すべてのレースを観たわけではないが、ふと気が付いたことがある。

このシーズンがもっとも2022年のF1に近いのではないか?

もちろん40年前のF1と今を比較するのはナンセンスなのだが、
グランドエフェクトカーが復活する今年、
過去を参考にするならこのシーズンが最適ではないか。

 前置きをすると本格的なグランドエフェクトカーがGPに登場したのは、
1977年のロータス78が最初だと言われている。
(70年代前半にマーチがウイング形状のシャーシを導入したことはあった)
そのロータス78は、翌年79でさらに進化を遂げ、
全16戦中8勝(2勝は78)を上げ、うち3回の1-2フィニッシュを記録した。


リアウイングに貼られた優勝を表すマークも誇らしげなロータス79。
この年、グリーンシグナル直後にロータスの1-2体制が常だった。


 この圧倒的な強さに各チームは即座に反応した。
そして迎えた1979年、グリッドに並ぶほとんどのマシンがウイングカーとなる。
ここでちょっとややこしい話になるけれど、
グランドエフェクトカーとウイングカーは似て非なるものではないかということ。
グランドエフェクトカーというのは、
シャーシ下面と地面の間に流れる空気を積極的に利用するものだ。
それはシャーシ下面の形状に関わらず、である。
そういう意味ではフラットボトム規定のマシンでも
F1に限らず近代のレーシングカーすべてがグランドエフェクトカーということになる。
しかし、一方でウイングカーはシャーシ下面の形状がカーブドボトムとなり、
フラットボトムとは明らかに違う。

 そう考えると、今シーズンからのF1はウイングカーと呼ぶことができる。

では、なぜ私が今シーズンから始まる新しいウイングカーと
1982年が似ているかというと、それは空力の重要な部分が根拠となる。
まずはこちらの画像をご覧いただきたい。



ウイングカー時代の幕開けとなった1979年、
開幕2連勝で周囲を驚かせたリジェJS11。
フロントからシャーシ下面に入った空気が逃げないように、
可動式スカートでシールしているのがお分かりいただけると思う。
このカーブドボトムとサイドスカートにより、
強烈なダウンフォースを発生させることが可能になった。

 しかし、ドライブフィールは大きく変わったという。
コーナーリング中は固定されたかのようにステアリングは重くなり、
シャーシ下面を流れる空気は極力乱れないほうがいいので、
前後左右のロールを抑えるためにサスペンションは石のように硬くなった。
ドライバーは皆、これまで以上の重労働を強いられるようになる。

ラウダの著書によると
「ウイングカーにはドライビングテクニックというものは存在しない。」
「速く走れたかどうかはまったく分からず、時計を見るしかない。」等、
我々が想像できないような世界で当時のドライバー達は走っていた。

「物理の法則がひっくり返った」とも。

その状況を危惧したF1(現FIA)は81年からスカートを禁止にした。
ところが抜け道を見つけたチームが出てきたため、
本当の意味でスカート無しのウイングカーでレースをするのは、
この’82年まで待たなければならなかった。
そして’83年からカーブドボトムは禁止となり、
ウイングカーはGPから姿を消した。

 ということは、スカート無しのウイングカーというのは、
1982年のGPだけということになる。



 40年前のレースは実に興味深い。
チームによってマシンの造り、考え方が微妙に違っている。
上の画像のマクラーレンもリジェも、フロントウイングを外している。
シャーシ下面で充分なダウンフォースを発生するウイングカーには
フロントウイングさえ必要がなくなり、むしろ空気を乱す邪魔者となったという。
一方でフロントウイングを滅多に外さないマシンもあった。
同じチームでも一台はフロントウイングありで、
もう一台は無しということもあった。


今も話題になることがある、1982年サンマリノGP。
ヴィルヌーヴとピローニの関係は修復できないほどのものになってしまった。
2台のマシンに注目していただきたい。
前を走るヴィルヌーヴはフロントウイングが無く、
ピローニのマシンにはシルバーのフロントウイングが装着されている。


しかしどのチームも手探りの部分があり、
結局もっとも正解に近い最適解を見つけたのが、
タイトルを獲得したウイリアムズであり、
最後まで競り合ったマクラーレンだった。
ブラバムもシャーシの性能はよかったが、
BMWターボの信頼性はまだ充分とは言えなかった。

 今のF1では40年前ほど各チームで考え方が異なるということはないだろう。
フロントウイングを外すようなマシンが登場するとも思えない。
ただ、事前の情報を見ると各チーム、
微妙にサイドポッドの形状等が異なるらしい。
テストと本番では違うフォルムのマシンも現れるかもしれない。

 私の予想では、やはりレッドブルとAMGメルセデスが
頭一つ抜け出ると思うけれど、蓋を開ければ・・・なんてこともある。
ちなみに今回取り上げた1982年は波乱のシーズンだった。
悲しいことにジル ヴィルヌーヴとリカルド パレッティ、
2人のドライバーが命を落とした。
さらにランキングトップだったディディエ ピローニはドイツで負傷。
この事故が原因で、二度とGPを走ることはできなかった。
ただ、不幸な事故はあったものの、
チャンピオン争いは最終戦までもつれ込み、全16戦中ウイナーは11人を数えた。
ケケ ロズベルグは1勝でタイトルを獲得したが、
シーズンを通して安定して上位に入賞した。


波乱の’82シーズンを制したロズベルグ&ウイリアムズFW08。
マクラーレン同様、シャーシの熟成が進んでいたウイリアムズは
フロントウイングを外していることが多かったが、
モナコのような低速コースではウイングを付けていた。


これは一発の速さはずば抜けているが、
信頼性の乏しいターボ勢とは対照的に見えた。
パトリックヘッドの手による質実剛健なウイリアムズらしい、
オールラウンドな強さが光った。
どのチームも空力とエンジン(ターボ)に躍起になっている中、
既に時代遅れと言われた3リッターV8のコスワースDFVを搭載する
ウイリアムズとマクラーレンが活躍したというのも興味深い。

 間もなくF1が開幕する。
最終的には誰が勝ってもいいから、優勝者が10人くらい出るような
最後まで接戦になるシーズンが見たいものだ。
Posted at 2022/03/08 21:15:09 | コメント(2) | トラックバック(0) | F1 | 日記
2021年12月13日 イイね!

これもレースというスポーツなのか

 まさかあのような結末になるとは。
私はどちらかというと、キレイなレース、クリーンなファイトで終わるなどとは思っていなかった。
過去にもあった、非常に後味の悪い結末になるほうに賭けていた。

 しかし、スタート直後こそ危ういシーンはあったものの、
その後ハミルトンとフェルスタッペンの間で接触などはなく
むしろ淡々とレースは進んだ。

 ハミルトンはシナリオ通りにレースを進め、
必死に食い下がるフェルスタッペンに対し、
残り5周の時点で約10秒のアドバンテージを築いていた。

絶対に負けられないレースで、王者にふさわしい完璧と言えるレース運びだった。

ところが残り5周となったところで、
タイトル争になんの関係もない未熟なドライバーのクラッシュで状況は一変した。

 私は今回の結果に関しては、とやかく言うつもりはない。
チャンピオンはフェルスタッペンであり、
タイトルを獲ったチームはレッドブルである。
そしてそのエンジンはホンダである。
決してホンダF1というチームではない。

フェルスタッペンはシーズンを通して速かったし強かった。
チャンピオンになることに異論はない。

 ただこの4戦で、苦しい状況にあったハミルトンは3連勝し、
この最終戦でも見事な走りを見せた。
タイトル獲得のかかったレースで、
残り5周の時点でライバルに10秒差をつけていたことは、
すなわちこれ以上はないという完璧なレースだった。
しかしチームとドライバーが一丸となって築き上げた10秒が、
たった1台の単独クラッシュで吹き飛んでしまうことに、
私はどう考えても釈然としない。

 確かに勝ったのはフェルスタッペンだ。
シーズンを通してもっともポイントを獲得したのもフェルスタッペンだ。
しかし負けられないレースで、負けないレースを展開したのは
フェルスタッペンではなくハミルトンだ。
チャンピオンになるべくレースを展開できたのはハミルトンのほうだ。

 私がフェルスタッペンというドライバーが好きになれないから言うのではない。
ハミルトンが勝ち続けたころも、面白くないと思っていた。
それでも、昨日の両者同点で迎えた最終戦で
先にフィニッシュしたほうがチャンピオンというレースで
チャンピオンに相応しいレースをしたのはハミルトンであり、
たった1台の単独クラッシュで10秒のアドバンテージがご破算になるルールに
どうもスッキリしないのである。

 最後に、ホンダに関して書いておきたい。
まずは日本人として、ホンダエンジンがチャンピオンマシンに搭載されていたことを誇らしく思う。
マクラーレンホンダとして復帰したときは、
周囲の期待とは裏腹に不本意な結果だったことに、
スタッフの心中は如何ばかりなものであったか。
そこからタイトル獲得まで昇りつめたのだから、その苦労は計り知れない。
世界屈指の自動車大国であるわが国でも、
モータースポーツ世界最高峰のF1でタイトルはおろか
1戦でも優勝経験があるのはホンダただ1社である。

 残念ながら今シーズンでホンダは撤退し、
今後もF1に戻ることはないであろうという報道がある。
60年代にF1に挑戦し、チャンピオンエンジンにまでなったホンダが
この先F1でその姿が見られないということに、
一人のF1ファンとして、そして日本人として寂しい限りだ。
Posted at 2021/12/13 22:15:54 | コメント(1) | トラックバック(0) | F1 | 日記
2021年06月07日 イイね!

よもや、よもやだ・・・

よもや、よもやだ・・・ よもや、よもやだ・・・である。
昨日のF1アゼルバイジャンGP、よもやこんな展開になろうとは。

 長いことF1を観ているが、こんな予想もつかない結末になるレースはそうあるものじゃない。
そして昨日のレースは、すっかりシステム化されてドライバーの能力のみならず、チーム戦略やレギュレーションが複雑に入り組んだ現代のF1でさえも、やはりレーシングドライバーという生身の人間がやっているスポーツなのだということを世界中に知らしめたと言ってもいい。

 チェッカーまで残り5周というところまでは、実に退屈なレースだった。

レッドブルの戦略は見事と言うほかなく、
フェルスタッペンの速さと安定感は非の打ちどころがなかった。
しかも開幕からマシンの特性からか、結果を出せないでいたペレスが覚醒した。
「マシンの扱い方が分かった」とコメントしていたらしく、
それをコース上で見事に証明してみせた。

このままフェルスタッペンとペレスで、
レッドブルホンダのワンツーフィニッシュでレースが終わると、誰もが思ったはずだ。

 しかし現実には、そうはならなかった。
日本中にいるホンダファンの悲鳴が聞こえてくるようなシーンが
PCモニターの向こう側にあった。
今時点での情報では、左リアタイヤがデブリの破片を拾ったことによる
タイヤバーストだったとのこと。
フェルスタッペンの心中は察するに余りあるものがあるけれど、
これがF1、モータースポーツなのかも知れない。

 もうひとつ、人間臭いドラマはまだあった。
フェルスタッペンのクラッシュによる赤旗中断が開けての、
2周の超スプリントレースがそれだった。
1コーナーに並んで入ったハミルトンとペレス。
一瞬ハミルトンが1コーナーを獲ったかに見えたが、
彼にとってコーナーにはならなかった。

 いろんなことを考えた。
レーサーなら、あそこで狙うのは当然だろう。
むしろあの場面で「2位でいい」と考えるなら、それはもうレーサーではない。
いや、待て待て。
F1はチャンピオンになるために走る。
ハミルトンはまさにタイトルを獲るための走りをすべきじゃないか。
25ポイントか0ポイントかというギャンブルは利口ではない。

ド素人がプロのやることに口を挿むのは、
あまり格好のイイものではない。
ましてや相手は世界最高峰である。

 だから違った角度から言うことにしよう。
今回フェルスタッペンが優勝+ファステストラップの26ポイント失ったのは、
彼の責任ではないだろう。
すなわちドライバーの力では「どうにもならない」ことが原因だった。

一方ハミルトンが確実に獲れたであろう18ポイントは
自らの意思で勝負に出た結果、失うことになった。
そしてこの18ポイントが、シーズン終盤になって大きな意味を持つかもしれない。
しかし明確な答えは出ない。
あのときハミルトンが一か八かのの勝負に出たと事が正解なのか不正解なのか、
それはシーズンが終わってみないと分からない。
とはいえ、それが分かったところで時計の針を戻すことはできない。
つまり「やっぱりあのときは無理しなければよかったんだよ」と
外野が言ったところでそれは結果論でしかない。

 モナコに続くメルセデスの失速、ペレスの覚醒、
フェラーリの2戦連続ポールなど、今後のレースを面白くする要素はいくつもある。
ガスリーやノリスといった若手の台頭も興味深い。
角田も瞬間的な速さ、ドライバーとしての力量は充分なはず。
一方でベテラン勢もまだ死んではいない。
苦戦していたベッテルが2位表彰台を獲得し、アロンソもレース巧者の片鱗をみせた。
ライコネンだってマシンがもう少し速くなれば、まだまだ上位を狙える。

 そんなことを考えると、今シーズンはまだまだ楽しめそうだ。
どんなにテクノロジーが進化しても、
やはりモータースポーツもスポーツである以上、主役は人間だ。
Posted at 2021/06/07 21:39:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | F1 | 日記
2021年05月18日 イイね!

レーシングドライバーの能力とは

レーシングドライバーの能力とは 気が付けばF1もシーズンは開幕しており、
すでに4戦が消化されている。
今年はレッドブルホンダとAMGメルセデスの力が接近している上に、
わが国では久々の日本人ドライバー角田裕毅が参戦していることもあり、なかなかの盛り上がりを見せている。

 この角田選手、これまでの日本人ドライバーと違い、ヨーロッパのレースでその力を認められ、中堅チームとも言えるアルファタウリのシートを手に入れた。
中堅チームとはいえ、昨シーズンは優勝もしているのだから、
ルーキーが加入するには願ってもない環境と言えるだろう。
しかもトップチームのレッドブルの傘下なのだから、
結果次第では将来フェルスタッペンとチームメイトになれる可能性だってある。

 開幕戦のバーレーンGPでは見事9位に入賞したこともあり、
海外メディアも角田選手を絶賛した。

 ところが、ここにきて歯車が狂い始めている。
走り慣れたイモラということで注目されたエミリアロマーナGPでは
クラッシュでQ1敗退。
決勝では粘りのレースをしていたがスピンで後退。

 トドメは第4戦のスペインだった。
ギアボックスのトラブルで0周リタイア。

そして逆風はコースの外でも吹き始めた。
角田選手のコメントが、若干の波紋となっている。
早い話「口は災いの元」というヤツである。
元来この人はコース上の無線では、お世辞にも紳士的とは言えない。
Fワード連発で、なかなかヤンチャである。
これだけでも「不安材料」ではあったが、メディアへのコメントがまずかった。

チーム批判と解釈されるような話をしてしまったからだ。
のちに彼はその件について釈明し、チームに謝罪している。

 そこでふと思った。

レーシングドライバーの能力とは一体どう考えればいいのだろうか?

 単純に考えて、レースにおいて「速い」は正義である。
しかし1ラップの速さを言うのか、あるいはレースディスタンスの速さを言うのか。
そして完璧にセッティングされたマシンで比べるべきなのか、
あるいはセッティングから始めて比べるべきなのか。

 そう考えると判断は難しいところではあるけれど、
レースである以上、ワンラップを競う競技ではないし、
全員が完璧にセッティングされたマシンで競うことはあり得ない。

ということは、マシンのセッティングも含め、レースで結果を残すことが
レーシングドライバーに求められる能力ということになりはしないか。
そうなるとF1のようなトップカテゴリーなら尚のこと、
セッティング能力、さらにはエンジニアとのコミュニケーション能力、
さらにはチームのモチベーションを上げるというのも、
レーシングドライバーとしては必要な能力になるだろう。

 かつてAUTO-SPORT誌でこんな話を読んだことがある。
『どんなにベテランのドライバーでも、ニューマシンに初めて乗った時は
そのマシンの感触が悪くても決してそれを口にしないものだ。
まずはニッコリ笑って「うん、上々だね」と。
出来上がったばかりのニューマシンに不平不満を言おうものなら、
たちまちメカニック達はやる気をなくしてしまう。』
ドライな世界と思っていた本場のレースでも、
こういったメンタル的な側面も重要ということなのだろう。

さらに・・・



 あのアイルトン・セナがマクラーレンホンダをドライブしていたときのこと。
まだフジTVが地上波で放送していたときだ。
何年のどこのGPかは忘れてしまったけれど、
レース序盤から後続を引き離したセナが、
終盤に差し掛かろうとしたときに、マシントラブルで止まってしまった。
優勝間違いなしという展開から、一転してリタイアである。

 しばらくして、テレビの画面はピットに戻ったセナを映し出した。
そのシーンに、ゲスト解説者の高橋国光氏はこうコメントした。
『いやぁ、さすがですね。トップ独走からリタイアで悔しいはずなのに
冷静にエンジニアと話していますよね。』
確かにエンジニアと思しきスタッフと話すセナの表情は
まるでセッションの途中のような淡々としたものだった。

確かにセナはレーシングドライバーとして
天井知らずのワガママだったことで知られていた。
私もセナの輝かしい実績は、ホンダというセナのワガママと聞き入れてくれるスタッフがいたからこそだと思っている。
ただ、それはセナが純粋に速さを求め、
スタッフを鼓舞する振舞いができたということも考えられるだろう。
そして激務の後に仕上げたマシンで圧倒的な速さを見せる。

 最後にやっぱりラウダの話をさせてもらいたい。
ラウダには1974~79年まで、専属のメカニックがいた。
イタリア人のエルマノ・コーギーである。
この、口髭の穏やかな雰囲気のメカニックに
ラウダは全幅の信頼をおいていた。

 ラウダがフェラーリ在籍時からその関係は始まり、
映画「POLE POSITION」では『僕と同じくらいスゴイ仕事をする』と話している。
しかし’77年シーズン終了後、ラウダがフェラーリをドアを蹴飛ばすように出ていったとき、
コーギーはフェラーリからクビを宣告される。
後年、コーギーは語っている。
「長年尽くしたフェラーリからの仕打ちはひどいものだった」と。
なんと遠征先で解雇通告を受けたというのだ。
しかも「イタリアに帰るのは自分でなんとかしろ。」と言われたという。
それを聞いたラウダは、すかさずスポンサーのパルマラットに話をつけ、
コーギーはパルマラットが用意してくれた飛行機で
無事にイタリアに戻れたという。

 そしてラウダから信頼を得ていたコーギーは
今度はブラバムでアルファロメオエンジンと向き合うことになる。



 再開を喜び合う二人。
これは恐らく2019年にラウダが逝去するほんの数年前に撮られたワンショットではないかと思われる。

この1枚の写真から、レーシングドライバーとスタッフの信頼が
いかに重要でかつ尊いものかが窺い知れる。
通算25勝、3度のワールドチャンピオンは
ラウダ一人の力で勝ち取ったものではないと、
恐らくニキ・ラウダ本人もそう言うだろう。

『ニキは紛れもない紳士だった。
 私は彼が現状に不満を言っているのを聞いたことがない。』
               ~エルマノ・コーギー~






Posted at 2021/05/18 22:04:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | F1 | 日記

プロフィール

「@ぼうんのう さん、バッテリーとエアコンまでやれば、走り出してすぐに効果を体感できますよ(^^)」
何シテル?   06/04 11:05
アルファ156 2.5V6で走ってます。 家内用にGTV3.0V6。
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