
これは半年程前の話。
私がいつもの様に流し営業をしていた時の事だ。
都内某所にある片側一車線の主要道を走っていると、前方の横断歩道の無い場所の反対車線側から男性のご老人が道を横断してきた。
それもかなりゆっくりとしたペースで…😨
私はその少し手前で車を停止させ、彼が道を渡り切るまでじっと待っていた🚕💬
彼は杖を持っていて、かなり足が不自由なご様子だった🧑🦯…
かなりの時間がかかったが、そのご老人がようやく道を渡り切り、安心して通り過ぎようとした時、彼の手が上がった🖐️👴🏻
(あら?タクシーをご利用したかったのね😅)
私
「こんにちはーどうぞー☺️どちらまで??」
老人男性
「そこを右に…」
その方向は道の狭い住宅街で坂道もある。
(散歩に出て帰りはタクシーで帰るのかな??☺️💭)
私は勝手にそう想像しながら右折する。
老人男性
「真っ直ぐ。」
しかし曲がって程なく一方通行に突き当たってしまった。
私
「ここは右か左しか行けませんけど、どうしますか?」
老人男性
「困ったな…左にお願いします。」
「…次を右に…この辺りなんだけど…。」
(えー…目的地は自分家じゃないの?😂)
私
「もう近いですか?ここはお分かりになりますか?😅」
一方通行も多い狭い住宅街だ。
私は心配になってきた…。
私は彼の指示通りにゆっくりと走ったが、曲がるべき道を通り過ぎてしまってバックしたり対向車をかわしたりしながら、何とか目的地の手前まで来た。
老人男性
「この後一人拾って〇〇医科大学病院に行きます。」
(なるほど😅)
老人男性
「そこ。そこの先の右側から出てきます。」
狭い交差点の手前で停車して程なく、その交差点の何件か先にある右側の家から老婦人がひょっこり頭を出した。
こっちを見ているが全く気がつかない。
老人男性
「何してんだ…!」
「おーい!早く!こっち!何してるんだ!」
老人は激しく手招きしながら不機嫌そうに叫ぶが、車内の後部客席に座ったままなので彼女からは見えるはずも聞こえるはずも無かった…😂
ようやく気がついた老婦人はやはり足が悪いらしく、杖をつきながらやはりかなりのゆっくりとしたペースでこちらに歩いて来た👩🦯…
老人男性
「早く!何してんだ!」
(上り坂だし早くは無理でしょ…😂)
そんなこんなでようやくご婦人が乗ってくる。
老婦人
「お待たせしてごめんなさいね、よろしくお願いします。」
ご夫婦だった。奥様はご主人とは対照的な穏やかな性格の様だった。
私はもう一度だけ目的地を確認してから〇〇医科大学病院へ車を走らせた。
住宅街を抜けるまで奥様は丁寧に道を指示してくれたが、ご主人はそれを遮る。
ご主人
「うるさい、分かってるんだから黙ってろ。」
奥様
「ごめんなさいね。」
私
「いえ、ありがとうございます大丈夫ですよ☺️」
私は気遣いながらも住宅街を抜け、更にしばし走って目的地の病院に到着した。
2人を無事に降ろし終えると、私はまた流し営業をする為に車を走らせる。
そして思った…。
今は2月。
天気の良い日中とはいえ外はかなりの寒さだ。
狭い住宅街の中ではタクシーなど捕まらない。
今は電話しても断られる場合もあるだろう。
ご主人が立っていた所は家からかなり歩く場所だ。
しかも彼等の足では本当にゆっくりしか歩けないので時間もかかる。
それでも同じ様に足の悪い奥様を家に待たせて自分だけ表通りに歩いて出て、タクシーを捕まえる為に寒い中ずっと立っていたのだ。
そして奥様が私に道を指示するのを制したのも私を気遣ってくれての発言だったのだ。
一見すると、言葉使いも悪く語気も強い話し方の彼は他人には良い印象を受けないかもしれず誤解され易いだろうが、彼には確かに愛があった。
飾らない不器用な愛が…。
奥様も決して何も言い返さずに穏やかに従っていた。
理解しているのだ。
…不器用なその愛を。
本当に良い夫婦だなと思った。
最初はどうなるかと思ったが、お陰様で心がほっこり温まった…。
そう、私はタクシードライバー✨🚕
直接誰かの役に立つ仕事。
そんな仕事が割と好きだ。
そして今日も都内のどこかでハンドルを握っている…。
🙋♀️
『あ、お客様だ😲』
👈👩🦰『運転手さんこの方乗せてあげてください』
『あなたは乗らないのね…🤓💦』
🧓🏼
『…日本もまだ捨てたものじゃ無いな🫶』
文:コーコダディ
画:AI描画アプリ
⚠️内容の無断利用は固くお断り致します🙇
Posted at 2025/08/18 11:59:58 | |
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