マッチ売りの少女

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
最近ある街で、行方不明者が多発しているという噂がありました。

ひどく寒い夜。辺りはすっかり暗くなり雪も降っています。

そんな寒さと暗闇の中、一人の少女が道を歩いていました。

頭には何もかぶらず、足は何もはかず、小さな裸の足で歩いていました。

少女は古いエプロンの中にたくさんのマッチを入れ、手に一束持っていました。

「マッチはいりませんか・・・マッチはいりませんか・・・・」

ここは人通りの少ない路地、めったに通る人もいません。

そこへ一人の男が通りがかりました。

「マッチはいりませんか・・・」

男はある噂を思い出しました。

街のどこかの狭い路地でマッチを売っている少女がいる。

その少女からマッチを買い火をつけると、そのマッチの日が消えるまでの間、スカートの中をのぞかせてくれると・・・

本当かどうかはわかりません。

しかし男は半信半疑でその少女からマッチを一本買ってみることにしました。

男はマッチに火をつけるとかがみました。

すると少女は男のそばへ寄り、スカートを広げました。

噂は本当だったのです。

しかし男の見たものは・・・

少女が送ってきたこれまでの悲惨な人生だったといいます。

男は狂ったように悲鳴をあげながら、暗い闇の中へ消えていきました。

少女が見せるものは一体どんなものなのか、それはわかってはいないそうです。

よくこの街では人がいなくなるようです。それも男性ばかりが・・・・。

また一人の男性が狭い路地へ入ってきました。

「マッチはいりませんか・・・・・。」