廃れないもの

毎度おなじみ日本酒ブログです。
JLDお土産シリーズはあと一本を残していますが、JLD前に酒商山田さんで仕入れた酒が冷蔵庫の底で眠っていたので、そちらを先に飲みました(^_^;)


本日紹介するのは菊姫・山廃純米生原酒です。無濾過・山田錦100％使用。

菊姫合資会社は石川県白山市の蔵です。なんと安土桃山時代の天正年間に小柳屋(おやなぎや)として創業し、昭和3(1928)年に現在の合資会社に改組されたそうです。戦前より宮内庁御用達となり、戦後の混乱期を乗り越え、昭和58年から当時ほとんど消滅していた山廃仕込みを復活させました。「米の旨みを生かした清酒本来の味」を追求し、「酒マイスター」という若い後継者を養成することにも力を入れ、世界へ発信しています。

山廃仕込み(山卸廃止酛)とは、空気中の乳酸菌を取り込んで乳酸を作らせる打瀬という行程により雑菌を排除して酒母を造る生酛系のやり方です。醸造乳酸を加える速醸酛(現在の主流)が２週間程度で酒母が完成するのに対し、山廃は１ヶ月以上の期間と労力がかかるので長らくすたれていました。しかし山廃酛はアミノ酸組成が高く濃醇なしっかりした味わいの酒が出来るため、最近の本格志向もあり再び行われるようになりました。その先鞭をつけたのが菊姫です。


いつものとおりひやで頂くと･･･

口に含んだ瞬間、キリッとした酸味。しかしそれに見合うだけの甘みも旨みも充分で、とても濃醇です。「はるか」や「直」に匹敵する濃醇さですが、甘みと香りはやや控えめなぶん、酸味のスッキリ感が際立ちます。後味のトータルバランスの良さはやはり山田錦か。

単独でグイグイ飲んでも飲み疲れることが無く、料理と供に飲んでもそのコクの深さと酸味のキレの良さで料理の味が引き立ちます。こりゃあ旨いぞ！

優等生と思っていた山田錦が山廃仕込みで個性際立つ酒に仕上がりました。菊姫、ファンになりました (*´д`*)


日本人に生まれた幸せ(^o^)