パノラマルーフ駆動部分のグリスアップ (ダイジェスト版)
目的
修理・故障・メンテナンス
作業
DIY
難易度
中級
作業時間
1時間以内
1
ここでは、2代目オーリスのメーカーオプション、パノラマルーフの駆動部分のメンテナンスとして、グリスアップにチャレンジした記録です。
ダイジェスト版なのは、作業時にほとんど写真を撮っていないから。(最初は整備手帳をアップする予定がありませんでしたが…やっぱりアップした方がいいのかな~と思い直したため、一部の写真を除き作業後に写真を撮って作成しています。)
メーカー推奨の方法とかではありませんので、同じようにされる場合は自己責任でお願いします。
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購入時点では問題無かったパノラマルーフですが、これまでに車内の静音化、異音対策が進み、最近の車内が静かになったからなのか、それとも使用頻度が多いからか、パノラマルーフを開ききるぐらいのところ (シェードが後席よりも少し後ろにきたところぐらい) からカリカリカリ…と音がするときがありました。それ以外は動作に支障も無いため、おそらく故障ではありませんし、故障の前触れでもないのですが動作すればカリカリカリ…と音が鳴る頻度が多いため、グリスアップをしたら異音が消えるかもしれない…と思ったのが作業を始めるきっかけになりました。
まずは構造から知らないと意味のないグリスアップになってしまうため、電子技術マニュアルを読む。
図は電子技術マニュアルからの抜粋で、シェードのクローズ状態を示しています。
詳しい仕組み、正確な仕組みはわからないのですが、前方にあるバーにシェードが取り付けられていて、シェードが前方に移動…クローズ状態状態になるときはそのバーに引っ張られる感じでシェードが前方まで張られるのではないかと考えています。
またその棒は樹脂製の表面にギア (歯車) のような加工がされているドライブケーブルに固定されているようです。
なのでシェードが前方にクローズ状態になるときは、車両後方にあるモーター (図では右側中央) が動き、ドライブケーブルは収納位置から移動して伸びきる形で前方に移動します。
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*1 サンシェードトリムSUB-ASSY
*2 ドライブケーブル
*3 電動ルーフサンシェードモータ
*a 車両前方
2
逆に、シェードが後方に移動…シェードのオープン時は左右のドライブケーブルが引っ張られる感じで後方に動き、右のドライブケーブルは車両左側に、左のドライブケーブルは車両右側に移動して収納されているようです。
シェードがクローズ状態になるときはおそらくですがシェードは引っ張られる感じだと思いますが、オープン状態になるときは後方に巻き取られてると思われます。(ただ電子技術マニュアルには巻き取りとは一切書いてないため他の方法で実現している可能性もあります。)
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*1 サンシェードトリムSUB-ASSY
*2 ドライブケーブル
*3 電動ルーフサンシェードモータ
*a 車両前方
(オマケ情報) …普通は使いません。
・IG ONで、ルーフサンシェードスイッチ(マップランプASSY)のオープン側を押し続け、サンシェードトリムSUB-ASSYが全開して停止するまでスライドさせます*。サンシェードトリムSUB-ASSYがいっぱいまでスライドした位置を基準位置(原点0)として記憶します。その後、全開正規位置で停止すれば“学習”完了です。
初期化操作中にサンシェードトリムSUB-ASSYへ過負荷がかかり、全開位置に達するまで約20秒以上経過した場合やモータの回転数を検出するセンサに異常が発生した場合は、サンシェードトリムSUB-ASSYの位置を“学習”できません。
万一、挟み込み防止機構の異常によりサンシェードトリムSUB-ASSYが閉じきれない(全閉位置で停止しない)トラブルが発生した場合、ルーフサンシェードスイッチ(マップランプASSY)の「CLOSE」側を約10秒以上押し続けることにより、強制的に位置情報が“学習”できていない状態の制御に移行させることができます。この後、初期化(イニシャライズ)操作を行うことにより、位置情報の修正を行うことができます。 (ルーフサンシェードスイッチ(マップランプASSY)を押し続けることによって、未学習状態に移行後すぐ学習作動を開始するので、サンシェードトリムSUB-ASSYが全閉するまでスイッチ操作を保持してください。)
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●電動ルーフサンシェードモータの駆動に関するフェイルセーフ
・電動ルーフサンシェードECUによるモータ駆動時間(リレー ON時間)が約20秒を経過すると自動的にリレーをOFFすることで、電動ルーフサンシェードモータおよび回路を保護します。(連続作動制限機能)
3
--- 以下は電子技術マニュアルから抜粋
●電動ルーフサンシェードドライブギヤ(スライディングルーフドライブギヤSUB-ASSY)は、電動ルーフサンシェードモータ、ドライブギヤ、電動ルーフサンシェードECUなどで構成されています。
●電動ルーフサンシェードECUには、モータの回転数/回転方向/回転速度を検出するパルスセンサとして2個のホールIC* が取り付けられています。
参 考 :
*: モータから出力されるN/S極信号を電気信号(パルス信号)として取り出すように構成した個体電子部品。
2個のホールICは、モータ(スライディングルーフドライブギヤSUB-ASSY)の回転に同期したパルス信号を電動ルーフサンシェードECU内のCPUへそれぞれ出力しています。
1.
電動ルーフサンシェードECU(スライディングルーフドライブギヤSUB-ASSY)内のCPU は、ホールIC1が出力するモータ回転軸1 回転あたり1周期のパルスをカウントすることで、スライディングルーフガラスSUB-ASSYの移動量を検知しています。これと合わせて、ホールIC2が出力するモータの回転方向によって異なるパルスのHI/LO周期を検出することでサンシェードトリムSUB-ASSYの移動方向を検知し、これらを記憶することにより現在のサンシェードトリムSUB-ASSYの位置を認識しています。 CPUは、これら2 個のホールICから得られる位置情報をもとに各種機能の制御を行います。
2.
同時にCPUは、ホールIC1が出力するパルスの間隔からモータの回転速度の変化を検出することで、サンシェードトリムSUB-ASSYの移動速度の変化を検知しています。これにより、サンシェードトリムSUB-ASSYにかかる荷重を認識し、挟み込み防止機構および過負荷停止機能の制御を行います。
---
*1 ドライブギヤ(ウォームホイール一体)
*2 電動ルーフサンシェードモータ
*3 電動ルーフサンシェードECU
*4 ドライブケーブル(樹脂ベルト)
--- 電子技術マニュアルから抜粋 ここまで
これまでの情報でわかったことは…
・モーターのギアに直接グリスアップは難しい。(天井の内装…ライニングをはずして、しかも分解してモーターに直接アクセスする必要がある。)
とすれば、ドライブケーブルのギア側に、ある程度の油膜ができるぐらいのグリスアップができるのであれば、モーターのギア側にもある程度の油膜ができるはず。
・そもそも、ドライブケーブル自体も何かしらのレールに沿って動いているようだ。なのでドライブケーブル自体もグリスアップの対象。特に樹脂製なので将来的にはこすれてすり減りガタがでるはず。
・バーの固定部分も移動しているのでここもグリスアップの対象。
このように考えました。
4
ということで、作業を開始。
写真は運転席側の写真で説明を進めますが、反対側の助手席側も同じ手順で進めます。
写真はシェードを一番後ろ…全開にしたときの運転席側の写真です。
とにかく頭上にあってそのままでは見えないので写真のように、手鏡を使ったり、車外からガラス越しに見たり。(車外から見るときは光りの強い LED ライトをあてて見ました。)
最初にプラ部品のこすれそうな所をグリスアップ。
使用したグリスはいろいろと迷ったあげく呉工業のシリコングリースメイトを使用しました。 (これにした理由はパーツレビューを参照)
また、この時にドライブケーブルがどこを移動するのか確認しておきます。
車両前方…クローズ状態になるときは、ライニングの上にあるレールに沿って動くようです。
先ほどのプラ部品もレールに沿ってなので、レール側をグリスアップ。
車内からは見えませんし、車外からも目立ちませんが、グリスがどっぷり付いていると見た目が悪いのでほどほどに。
ちなみに運転席側は車内側…車両左向きにギアが見えますが、助手席側も同じく車両左向き…つまりギアが車外側を向いているため、ギアを見ることはできません。
5
さて…と。
今度はオープン状態になったときにドライブケーブルが収納される場所にグリスアップをしたい。
ライニングをはずしたことはないし…電子技術マニュアルの図ではあんな風に書いてあったけど…実際はどんな仕組みになっているのか。
いろいろ考えて思いついた確認方法が、PC やスマホに取り付けられる USB の内視鏡を使用して奥をのぞくこと。
どれどれ…っと。
… …。
天井のガラス側には厚めの黒いエプトシーラーが (黒いセラミック部分に) 貼ってありました。ほこりの侵入防止とブラックアウト化が狙いのようです。
その下にレールがあります。(これは車外からガラス越しにも見えます。)
実は、そのレールの裏にオープン時のドライブケーブルを収める別のレール (パイプ) があるのです。
パイプの末端はちょうど写真の矢印 (または線) で示した辺りにあります。
また手鏡は薄いのでエプトシーラーの下に押し込んだ状態だとこんな感じで止まります。(実は手鏡には少しだけパイプが映っているのですが…)
6
ということで USB 内視鏡で見ると…
こんな感じでパイプがありました。(もちろん助手席側にもあります。)
この状態で途中までシェードをクローズ状態側へ動かすと中にあった白い物が遠くに行く様子 (写真では奥に行く様子) が見えました。
逆にシェードを開くと奥からまるで列車が来るように白い物がやってきます。(笑)
ということで、どうやらここをグリスで満たせば、ドライブケーブル自体の潤滑とそれに付着したグリスによるモーターのギアの油膜の形成ができそう。
ということで、
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事前に買っておいた別売の長いステンレスノズルに付け替えて、パイプに挿入。
できるだけ奥に押し込んでグリスをスプレーしながら少しずつ抜いていく作業を行いました。
(ステンレスノズルは USB 内視鏡がなくても差し込めます。慣れたら手探りでも…。ただスプレー缶側だけ握って差し込もうとするとノズルの先がふらふら揺れて差し込みにくいため、空いている手で先端をつまんで、パイプの末端まで導くと差し込みやすくなります。もしくは先にステンレスノズルだけを差し込んでおいて、ノズルをあとでグリスのスプレーに取り付けてもよいかと思います。この時ステンレスノズルはバネのように戻ろうとするので手を離したら奥に入って取れなくなった!…といった事態にならないように注意してください。)
そして最後に内視鏡で状況を確認。
私は大丈夫でしたが、グリスが多いとシェードオープン時にグリスがドライブケーブルに押されてパイプの末端まで集まります。最悪の場合はパイプの末端からあふれるので注意が必要です。
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作業後は気になっていた異音はなくなりました。
よかった。
しかし、別の音が聞こえるようになったような気も…。気のせいかな。
最初にお伝えしましたが、同じように作業を行われる場合、くれぐれも自己責任でお願いします。
(図の引用・文章の抜粋:電子技術マニュアルについて)
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