
第一次ソロモン海戦・三川艦隊は駆逐艦夕凪に始まり、鳥海以下5隻の重巡洋艦を完成させたので、残るは軽巡洋艦天龍と夕張の2隻となりました。
まずは天龍を組みます。
キットはハセガワのリニューアル版。
箱を開けると、旧キットとほぼ同じ色合いのプラパーツが出現。
だいぶ前にリニューアル前の旧キットを使って龍田改二を建造したことがありますが、その時はプラの硬さに閉口した記憶があり、そのトラウマが甦りますw
しかしパーツ構成やモールドは当時の比ではありません。というのもプロモデラー・春園燕雀氏が徹底リサーチして旧キットを見事に仕上げた記録があり、これを全面的に参考にして作られたのがリニューアルキットだからです。
天龍型についてはその後、凄腕モデラー&艦船研究家のアルセノ氏が更なるリサーチを加えており、以下のサイトにてその内容が公開されています。
模型の標本箱
両氏によるチェックでは、リニューアルキットはかなり正確に天龍型の姿を再現しており、龍田に至ってはそれまでキット化の例がなかった「リノリウムの縦張り」まで導入されているとのこと。
こりゃ楽が出来そう♪
ということで、今回の製作はこれらの情報を基にしつつ、自分なりの確認作業をしていくという工程で進めていくこととしました。
さて作業開始。
まずは船首付近からチェックします。錨鎖甲板の各種装備の配置等は特に問題がないようです。
錨鎖甲板後方はリノリウムが敷かれています。キットでは4基ある14cm主砲の周囲はリノリウムが矩形になっていますが、アルセノ氏の研究によれば5500t級の例を見る限り、1番主砲のみ円形ではないかとのこと。
少なくとも3番4番主砲は↓の写真で矩形と確認できます。

しかし1番2番主砲周囲がどうなっているか確認できる資料が見当たりません。
やむなくアルセノ氏の研究を参考に1番主砲周囲のみ円形にすることにしました。
0.2mmの銅線を直径6mmのプラ棒に巻き付けて形を整え、瞬着でセット。

モールドされたリノリウム押さえがかなり細いので若干の違和感がありますが、やむなしw
スプーンバウの形状は少し気になります。↓の写真を見ると線から下はかなり鋭角的に作られているように見えます。

キットでは左右の舷側パーツを貼り合わせる形式としている関係上さほど鋭角的ではないので、ヤスリで軽く削りました。
船首楼甲板後端部はカーブを描いた形状となっており、これは燕雀氏のリサーチによって判明した部分でもあり、リニューアル版キットの特徴でもあります。龍田改二を作った際にも旧キットをそのように改修しました。
今回、改めてその部分の実艦を確認すると1932年撮影のこんな写真を見つけました。

カーブではなく直線になっています!
しかも日本帝国海軍全艦船・巡洋艦編(以下「巡洋艦編」)の天龍最終時のイラストでも直線で描かれています。

なんだ、旧キットのほうが正しいじゃん。そう思って直線状に修正し、プラの厚みを薄く削りました。

しかーし!
その後、改めて実艦写真を洗い直してみると、カーブを描いていると判明した写真は昭和17年に撮影されたものであり、先ほどの写真よりはるかに新しいものでした。

やってもうた…orz
今更元の形状に修正し直すのも躊躇われたので、「きっと誰も気付かないだろう」という根拠のない楽観によってそのままにすることにしました(爆)
しかし転んでもタダでは起きないザクとは違う。
↑の写真2枚を見ると、新造時は直線だったものが途中に改装されてカーブが付いたということになります。実際、直線時代には張り出し甲板後端に通風筒のようなものが3本設置されていますが、直線時代にはそれが確認できません。その境目を調べたところ、どうやら昭和9年から10年あたりではないかと思われました。
ではそのあたりの改装内容を当たれば、何か分かるかもしれない。そう思って巡洋艦編の年表を見ると、こんな記事が。

赤枠のあたりが怪しいと考え、アジ歴を当たります。当たります。当たります…。
何も見つかりませんでしたorz
ま、ここは宿題ってことでw
艦尾のチェックに移ります。
まず気になったのは艦尾端近くに立つ4つの円柱。

これは煙幕を作るための発煙缶と推察しました。しかし新造時の実艦写真を見る限り、その存在が確認できません。
根拠なしにこうしたモールドを施すはずはないので、なんらかの根拠があるはず。
巡洋艦編を確認したところ、装備一覧に「88式発煙機5型×1」という表記が見つかりました。これが根拠か???しかし「×1」とは?
88式発煙機がどんなものか調べましたが、分かりませんでした。困ったぞ…。
ということで、思い切って燕雀氏とアルセノ氏に尋ねてみました。
すると燕雀氏からは以下の画像が提供された上で、5500t級では1935年頃が発煙缶装備の端境期だったようであり、文字資料で存在を確認した上で他艦の装備方式を参考に再現したものと思われるとのこと。
またアルセノ氏からは「一般計画要領書」に天龍の発煙装置の項に「八八式 1」という表記があり、同様の表記が5500t級の項にもあること、特型駆逐艦などでも同様の記載があり、「×1」というのは4缶で1式ということであろうとのこと。
なるほどー、それならモールドはそのままで大丈夫ですね♪
次にチェックしたのは艦尾鉄甲板エリア。
↓の写真では滑り止め甲板のエリアがあることが明確に確認できます。
艦尾からどのくらいの面積であるかが明確ではありませんが、リノリウム材の幅を考慮し、↓のような範囲としてみました。

滑り止め鋲は↑のように100°に開いた線を紙に書いて、その上に船体を置いてその線を甲板に鉛筆で書き込み、その交差箇所を目印にデザインナイフの先で凹みを作っていくという方法で表現しています。
併せて、その前方にモールドされたリールの下端あたりを削り込んでディテールアップしました。
次に気になったのは爆雷投射機。
モールドでは前から投射機、装填台2基、投射機の順に配置されていますが、巡洋艦編では装填台、投射機2基、装填台の順になっています。

これはどちらが正しいのか…。
実艦写真でその判定が出来るものがないので、推定に頼ります。
参考にするのは駆逐艦。似た配置なのは樺型と睦月型です。
樺型と睦月型の各1番艦の起工は1914年12月と1924年5月。同じく天龍は1917年5月なので、樺型の配置を踏襲している可能性が高いと考えました。
爆雷関係では、投下台が6基分モールドされていますが、その位置は舷側の縁から少し中に入った個所になっています。実際には舷側の縁ぎりぎりに設置されることが、古鷹の沈船調査で判明しています。
これで爆雷装備のチェックは完了したので、爆雷装填台と投下台のモールドを切除。
ここで船体に甲板を設置して接着します。
これまではパーツを組み立てて接着するだけという作業でしたが、その場合どうしても甲板と舷側の間に微妙な隙間が発生してしまい、仕上がりがきれいに決まりません。よって今回は基本に忠実に、接着後、その接合をしっかりさせるためにマスキングテープで緊縛しました
しかしここまでやっても艦尾周辺の右舷側には隙間が空いてしまいました。古鷹型や青葉型でも同様の現象が見られたので、ハセガワキットの特性なのでしょうか。
古鷹型青葉型はそれを放置してしまいましたが、今回はこの隙間もしっかり埋めます。
隙間に合わせてプラバンやプラペーパーを差し込んで接着剤を流し込む工程を数回繰り返すとある程度は埋まってくれました。

このあたりはキットの改善が望まれますね…。
さて初回はここまで。
次回も地味な作業が続くと思います(笑)