徐々に寒くなってくると夜半には冬の星たちが見られるようになってきます。
今年は仕事の関係でなかなかキャンプに行けず、曇りや雨の日が多かったこともあって「見事な夏の星空」というのをほとんど見た記憶がありません。
そんな中、豊田市博物館で「深宇宙展」が開催されるという情報が!
早速チケットをゲット。

招待券とありますが、メルカリで買ったものです。前売りよりも安くてよかった♪
そして先日、会場へ。

受付前にはルナクルーザーの模型がどどーんと鎮座しています。

高さは5mくらいありそうで、これほど大きいとはちょっと驚きです。
受付を済ませて展示スペースに入ると最初に出迎えてくれるのが宇宙飛行士3名のサインです。

そしてそのすぐ近くにはH3ロケットのフェアリング(実物大模型)。

巨大!
大迫力!
近づいて表面を見ると、意外とツルツルではありません。音速以上で大気圏内を飛行するにあたっては僅かな凹凸も空気抵抗になりそうなものですが、意外と大丈夫なんでしょうか。
さらには実際に使われて海に落着したフェアリングの破片も展示されていました。
さらにはロケットを構成するパーツの実物を触ることもでき、いかに軽く作られているかを体験することも出来るようになっています。

燃料タンクの断熱材は、表面部分は固く作られていますが内部の材はぎゅっと押すと少しへこみました(笑)イメージ的にはスタイロフォームのような硬さですね。
展示の後半部でははやぶさやはやぶさ2が持ち帰った試料の実物も展示されていました。

大変貴重な展示であり、実物を見ることが出来てうれしかったです♪
今回は実物や実物大を展示することで、その迫力や説得力を感じさせるという展示方針があると感じられました。これだけでもチケット代は安いと思いました。
更に奥に進むとソユーズで宇宙へ行った前澤友作氏が着用した宇宙服もありました。

そのソユーズのフェアリングもあり、大きく「M」と書かれていました。

ロシアもお金で動くのでしょうか(笑)
前澤氏が乗って地球に降りてきたソユーズ本体も飾られています。
大型モニターでは前澤氏が今回の宇宙飛行について語っていましたが、「挑戦していないと生きている感じがしない」というフレーズが印象的でした。
既に語りつくされているかもしれませんが、彼はなぜ宇宙に行ったのか。
・子供の頃からの夢の実現
・民間人でも宇宙に行けることを示す
・自身の話題作り
主にはこの3点だったようですが、軸は「夢」と「お金」ですね。
民間人がほとんど宇宙に行けない世の中で、彼のように宇宙に行けるのはお金の力以外の何物でもありません。羨ましいけど。
ではそこで彼は何を得たのか。
・青い地球を見たことによる人生観の変化
・月旅行に向けた経験
・世間からの注目
人生観の変化は宇宙飛行士の多くが同様の感想を語っています。宇宙からは国境は見えない、美しい地球の環境を守り続けなければならない、など、時の為政者にも感じてほしいものです。
彼は地球帰還後に以下のような行動を取っています。
・スペースデブリ問題に取り組む企業「アストロスケール社」へ約30億円出資
・衛星データを使って地球を仮想空間で再現しようとする企業「スペースデータ社」へ出資
この他にも事例があるようですが、特にデブリ問題には強い意欲を示しているようです。これまでは特にロシア中国がデブリを膨大に増やしてきた経過があり、今後の宇宙開発の障害となり得るため、こうした取組みに熱意を示してくれているのは嬉しいことですね。
彼の宇宙飛行に関する見方の一つに「単なる売名行為じゃないか」というものもあるかもしれませんが、月旅行や宇宙ホテルなどといった夢やロマンの側面ではなく、デブリ問題という地道な世界に巨額の投資をするという方向性を取ったのは価値のあることだと思います。
願わくばこれを一過性のものとせず、今後も継続的に関わっていってほしいものですね。
さて、こうした前澤氏の支援などもあって、国内の宇宙開発企業も近年は精力的に活動しているという展示もされていました。北海道のインターステラテクノロジズ、和歌山のスペースワンなどがその代表的な事例です。

またNASAが進めている月面探査プログラム「アルテミス計画」にはTOYOTAなどの日本企業も参画しており、入り口にあったルナローバーの開発などを進めています。そのローバーのタイヤはブリジストン製でした(笑)
展示にはこんなグラフもありました。

合計123社。
スタートアップだけでもこれだけ多くの企業が取り組んでいるんですね。こりゃ打ち上げ需要が高まるってもんだ。
少し前は「宇宙開発なんて、学者が遊んでるだけでしょ」とか「税金使って余計なことしてんじゃねーよ」などの冷めた意見が多く見られましたが、スマホやカーナビにGPSが仕込まれ、衛星画像に基づく天気予報が当たり前の時代になった今では、そのような意見はほとんど聞かなくなった気がします。それは「自分の生活に密着した話だから」でしょう。
そう考えたときに問題となるのが「月や火星にはなぜ行くのか」。
考えられる要素は主に3つ。
①資源を持ち帰って地球で活用する
②宇宙開発の過程で得られた技術を民生転用する
③国家間競争(例えば月の土地を独占するなど)
①はコスト的に全く見合いません。②は現在の宇宙開発でも一定に実現されます。結局③となるのではないでしょうか。いずれにせよ日々の生活には直接的な関係性を見出しづらいです。このあたりはこれからの議論や研究などに期待したいと思います。
場内各所で流されている映像のナレーションは女優の蒼井優さんが務めていました。彼女の声は落ち着いた印象なので、こうした役割は合っている気がしますね。
さて、これらの他にもものすごく多くの展示があり、一通り見終わると既に2時間が経過していました。平日午前中にもかかわらず場内にはかなり多くの来場者があり、この展示の注目度の高さを物語っていました。
東京開催時の総入場者数は現時点で未発表のようですが、かなりの入場があったものと推察できます。豊田の総入場者数がどのくらいになるのか楽しみです♪
豊田市博物館の常設展でも深宇宙展関連の展示があり、地元企業による宇宙開発が紹介されていました。

発射場からロケットへ液体水素を注入するためのホースです。こうした製品の開発技術が民生転用されることで、私たちの生活水準が上がっていくのでしょうね。
館内のミュージアムショップでは私の星座の箸置きを買ってきました。

図録も欲しかったのですが、ちと高かったので断念…
その脇に置かれていたチラシを見ると、会期中に豊田市内で様々な宇宙関連イベントが催される様子。

こうした連携イベントは市全体で盛り上げる動きとなるので、大変よい取組みですね。
ここでふと思い出したのは名古屋市科学館。
豊田の深宇宙展は当然ながらJAXAの協力のもとに開催されていますが、名古屋市科学館はかなり前からJAXAとの連携協定を結んでいます。しかし、その後JAXAと連携したイベントはごくごく少数しか開催されていません。しかもその開催に合わせて名古屋市内で関連イベントがあるわけでもない。そんなことだから名古屋は「豊田の城下町」などと揶揄されるんじゃないの?大都市名古屋のプライドはないの?などと悪態をつきたくなります(汗)
閑話休題。
先ほどのチラシには興味をそそられるイベントがいくつかあったので、早速参加申し込み。しばらくは宇宙漬けの日々が過ごせそうです♪
イベント参加までにキャンプ場で宇宙を見上げてくるかな(笑)
↑以外の画像はフォトアルバムに収めました。
深宇宙展(2025年豊田市博物館)
Posted at 2025/11/16 20:55:57 | |
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