全力を出し尽くして作り上げた鳥海ジオラマは、未だに高い自己満足度を維持しています。
約50年前に設計された「大改装後の高雄」から鳥海への改造は全長の5mm延長、バルジ&飛行機作業甲板の撤去から始まって上部構造物のフルスクラッチへと進み、それぞれの工程の前に図面や写真などを可能な限り調べ上げるというステップを踏んだため、平日3~4時間+休日10時間以上という長時間作業を毎日続けても完成までに11か月かかるという、尋常でない膨大な作業量をこなしました。
パーフェクトな作品とまでは自惚れていませんが、ドラマ性なども含めると自分のイメージをしっかり昇華できたと感じており、これまでの私の作品から大幅に引き上がった工作精度も含めて、自己満足度の根源になっていると思います。
工作面では以下の点がポイントだと思っています。
・ファッションプレートの曲面形状を瞬着で表現
・1番主砲及び旗甲板の被弾後再現
・艦橋脇機銃座の考証
・煙突白線をうっすら表現
・高角砲薬きょうの配置
・探照灯の電飾
・艦載艇の考証
・水偵格納庫内部の再現
・海面のスモーク塗布により夜戦感を演出
・主砲爆圧の海面への影響検証
作品はいくつかの展示会へ出品したところ、かなりの反響がありました。
模型作りそのものがマイナーな趣味であり、中でもスケールモデルは凋落の一途で、更にその中でも艦船模型はパーツが細かすぎるなどのために最も嫌われるジャンルです。それでもなおこの作品が多くの方に見ていただけるのは、主砲発射爆炎のインパクトだけでなく、旧キットからの大改造とジオラマに込められたドラマ性の3点セットによるのではないかと思います。
とある凄腕モデラーさんからは
「売ってほしいくらいだ」とのご発言まで頂きました。
別のプロモデラーさんからは
「それぞれの要素が、手段が目的化することなくバランスを保ったまま綺麗に作品に収斂していくのが唯一無二」とまで激賞して頂きました。
「全力を出して作る最後の作品」に最高の栄誉を頂けたと実感しています。
とはいえ、若干リメイクが必要な部分もあるので、その作業を行いました。
まずは後マストのヤード形状。
作品では様々な資料を調べた結果、確実な確認が取れないことから横1本としました。
しかしその後、こんな写真を発見しました。

これは昭和17年10月12~15日の撮影とされているようで、第1次ソロモン海戦(8月8~9日)の直後であり、ヤードは既にV字型となっています。
さらに私が重要視したのはこちらのイラスト。

これは第1次ソロモン海戦による被害図で後マストのヤードがV字型で示されています。これは雑誌の記事を撮ったものですが、その元となる図を戦闘詳報か何かで見た記憶があります。
たかがイラストではないかという意見もあろうかと思いますが、実物がV字でないものをV字として描くことはないはずなので、第1次ソロモン海戦時のヤードはV字型だったと推定することができます。
本来なら作品のマストを取替えるべきですが、繊細な構造に手を加えると破損の危険性が高いので、諦めることとしました。
次に取り掛かったのは戦闘旗の掲揚。
ジオラマでは後マストのトップに中将旗、その下のガフに軍艦旗を掲げましたが、前マストトップに戦闘旗を掲げていませんでした。これでは画竜点睛を欠く…。
しかし手元の旗は、シールはあるものの水転写デカールはありません。
すると、別の凄腕モデラーさんから「シールの上にマークソフターを塗ると、シール表面が剥がれますよ」との情報がっ!
早速やってみると、見事に薄皮が剥がれました♪

そして施工。

旗の下端をマストから離すようにするとロープに掛かっているように見えるという魔法もそのモデラーさんから教えてもらいました。この方法ならいくつもあるシールを全て活かすことが出来ます。よしっ♪
これまでは作品の正面を「爆煙が手前、フネが奥」という向きにしていましたが、この作品の真のテーマは「戦争の悲惨さ」。そのため破壊された1番主砲後部に水兵を配置しています。
しかし正面からは見えない…。
その対応として、ネームプレートを反対側にも付けて両A面状態としました。

こうすればどちらを正面にしても作品のアピールが出来ると思います。
そして作品に当たる光の調整。
この4月に出品した展示会は天候が良かったこともあって、作品に日光がよく当たる環境でした。その結果、探照灯や爆炎の電飾があまり目立たなくなっていました。
作品の前を通りかかった人の目に止まるのはやはり電飾だと思うので、それが目立たないのは少しもったいない気がします。
なので作品全体に被せる覆いを作りました。

この手法については、とある凄腕モデラーさんから少し批判的な意見をもらいました。曰く、作品の最大のアピールポイントは主砲などの被弾による人の死だが、それが見えづらくなってしまう、と。おっしゃる通りですが、それも想定済みです。
覆いは置いただけのものなので、展示会で興味を持って見てくださる方がいればその時に覆いを外して「実はこの作品の真のテーマは…」と説明すると、一粒で二度おいしいことになり、単なる見掛け倒しではない作品と感じていただけるのではないかと考えています。
電飾については、主砲爆煙用LED4つを単4電池2本で光らせていましたが、全体の光量が落ちているのではないかと考え、電池ボックスを1個増設しました。
さて、これをもって真の完成を迎えました。
そして一眼レフで改めて撮影。

これからもあちこちの作品展示会に持ち込んで、できるだけ多くの人に楽しんでもらいたいと思います。では、展示会を探すとするかな(笑)
Posted at 2026/05/22 06:52:33 | |
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