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2022年05月07日

第9号輸送艦製作記(資料とキットのチェック)

2022GWも終盤。私にとっては今日が最後の休みです。
ペガサスJrは既に完成していますが、ジオラマ化した状態がどうにも納得行かず、再調整する予定としているので、その後完成アップの予定です。もうしばらくお待ち下さい。
さて、その間隙を縫って艦船模型製作を行います。

松型駆逐艦の竹、桑はいずれも第7次多号作戦(オルモック輸送)時のジオラマとし、それぞれ魚雷発射の瞬間と砲撃を受けた断末魔を再現しました。
次は同じく第7次に参加した第9号輸送艦を製作します。

最初に一等輸送艦について少し述べてみたいと思います。
昭和17年から始まったソロモン諸島攻防戦では制空権なき海上輸送を駆逐艦中心に行った結果、大量輸送が出来ないまま多くの艦艇が失われました。この反省を踏まえ設計・建造されたのが一等及び二等輸送艦です。
一等輸送艦は艦尾スロープから大発動艇(海軍での名称は14m特型運貨船)を航走中に発進させられる他、5基の大型デリックにより貨物スペースから迅速に荷揚げができるようになっています。また12.7cm連装高角砲1基、25mm機銃多数を搭載して対空兵装を充実させ、水中探信儀や爆雷投下軌条も装備しています。最大速力は22ノットで、10ノット台前半が多かった民間徴用の輸送船に比べるとかなり高速です。
建造は呉海軍工廠及び三菱重工業横浜造船所の2箇所で行われ、いずれもブロック工法を大規模に採用することで極短期間での建造が進められました。当初の設計は松型駆逐艦を1軸推進にして空いた空間を貨物スペースにすることをイメージしていたようです。フラッシュデッキや集合煙突である違いはあるものの、直線を基調とした全体のシルエットは松型などの戦争後半に量産された艦艇に共通するものが感じられます。
ちなみに両造船所での建造実績は以下のとおりです。
呉:3号-4号、5号-6号、9号-10号、11号-12号、14号-15号、17号-18号、19号-20号、21号-22号
横浜:1号-2号、7号-8号、13号-16号
一等輸送艦は2隻同時に建造されており、今回製作する9号は10号とセットで竣工しました。

では資料のチェック。手元に準備したのは以下の資料です。

①日本海軍艦艇図面集
②写真日本の軍艦別巻1海軍艦艇図面集Ⅰ
③一等輸送艦図面(呉海事資料館所蔵)
④各艦機銃、電探、哨信儀現状調査表
⑤写真日本海軍全艦艇史
⑥丸スペシャル50掃海艇・輸送艦
⑦まけた側の良兵器集Ⅰ
⑧三号輸送艦帰投せず

図面は①から③の3種類ありますが、①と③の図面は細部に異なる点は認められるもののほぼ同じ艦型です。①は艦内側面図により内部の配置を確認することが出来ますし、③は「第8号輸送艦」との表記があります。
また②には艦橋などの形状の異なる2種類の図面が収載されています。

このうち下の図は③と同一のものであると分かりました。上の図は艦橋周辺が9号の写真によく似ていることから図面は②の上のものを基本とすることにします。

写真は⑤⑥中心ですが、↓の写真はいずれも9号のものなのでディテールの参考になります。



この他、呉海事資料館で入手した一等輸送艦の写真10枚も重要な参考資料となります。その中にはネットでは公開されていないディテール写真も含まれていますが、同館の方針によりこの場で公開できないのが残念です。

⑦では多数のイラストによる詳細な解説が加えられており、大変参考になります。
同書では前期型後期型の二種に大別していますが、図面や⑤⑥などの写真を確認する限り、個艦ごとの相違点は確認できる限りで概ね以下のとおりです。
(1) 艦首側面形状が直線のもの(1号、2号、11号、16号)と中程に折れ角があるもの(4号、5号、9号、17号、19号、22号)
(2) 羅針艦橋両側に単装機銃座がないもの(1号、2号、8号図面)とあるもの(4号、5号、9号、11号、13号、19号、22号、うち13号以降には鋼製ブルワークあり)
(3) 前部煙路両側の吸気筒がないもの(8号図面)と両側にあるもの(1号、2号、16号)と右舷側のみあるもの(4号、19号、22号) ※吸気筒も丸形と角型の違いあり
(4) 中央機銃座両側の支柱が2本のものと3本のもの ※左右それぞれに多様な違いあり
(5) 中央機銃台後端の烹炊室煙突頂部が傘型のもの(1号、2号、4号、5号、8号図面、9号、16号)とH型のもの(19号、22号)
(6) 後檣が低いものと高いもの ※9号始め初期建造艦は13号電探増設時に延長
こうして見ると(5)(6)以外は相違点に造船所や建造時期などの法則性が認められず、単純に前期後期と分けられるものではないように思います。
なお同書では特二式内火艇と九七式中戦車チハについても詳説されているため、一等二等輸送艦セットを製作する際の参考資料としての価値が高いです。

さらにネットでググって出てきた以下の資料も参照します。
「一等輸送艦建造ヲ顧ミテ」からみる戦時下の呉海軍工廠(呉市海事歴史科学館研究紀要 第14号)

造船に於ける多量生産(一)~(四)(船の科学1949年Vol.2No.5~8)

これらの資料ではブロック工法について詳説されており⑩のNo6では↓のイラストに寸法まで添えられていました。


さらには⑨⑩とも建造のための治具までイラスト入りで解説されていたので、ここまで見せられると建造中のジオラマも作りたくなってしまいます。ただ呉造船船渠のガントリークレーンを作るのがウルトラ大変なのでやりませんが(笑)

次にキットのチェックを行います。
昭和50年代に設計・発売された古いものですが、ほぼ全パーツを8✕20センチのランナーに収めつつ、艦のフォルムを見事に再現した好キットです。

全長全幅の寸法はさすがタミヤ、完璧です。しかし主な構造物の配置などをチェックすると以下のような点に気付きました。
船首部分は舳先から艦橋あたりへつながるシアーのラインが、キットの方が僅かに急角度になっています。また1番主砲ブルワーク及び艦橋の位置を1mmほど後ろへ下げる必要があります。

シアーラインの修正は手間がかかる割に効果がほとんど分からないので、今回は施工しません。

船体中央付近では中央機銃座の位置を1mm後方へ移す必要があります。またその前後にあるはずの艙口がないため、設置する必要があります。同じく舷側にあるはずの貨物搬出口も新設することとなります。

このあたりはジオラマ化する際にポイントになる部分と想定しています。

船尾付近についても船首同様側面形状が不良です。

図面では複数のラインを経て船体後端に至るようになっていますが、キットでは一直線とされています。またその長さも1.2mmほど短縮する必要があります。
これらの修正を行おうとするとキットの甲板上にプラバンを貼り付けてゴリゴリ削り出す方法もありますが、ラインの出し方が難しいと思われます…。

船体の工作は船尾付近の側面形状修正、甲板上の突起物のほぼ全削除、艙口及び貨物搬出口の開口から始めることとします。
うーむ、最初からなかなか面倒な工事の連続…。
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Posted at 2022/05/07 15:09:31

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この記事へのコメント

2022年5月7日 20:22
面倒な工事と言いつつも

笑顔で資料と見比べいる姿が…。😁👍
コメントへの返答
2022年5月8日 7:37
ん?
え?
もしかして見てました?w
2022年5月8日 22:11
仕事にプライベートにお疲れ様です。
次はタミヤの1等輸送艦なんですね。少し気になっていたキットです。
実際の図面と照合すると、艦尾の形状が全然違いますね!
船体のディティール分析もさすがです!
資料写真もかなり鮮明で当時の停泊中の艦艇の様子がよく分かります。参考になりました。
コメントへの返答
2022年5月9日 7:11
チュンチュン丸さんもチェックしていましたか。
私は主力艦よりも脇役に魅力を感じるので、輸送艦はずっと気になってました。
幸い資料に恵まれてもいるので、ディテールの再現が楽しみです。
大和ミュージアムで入手した資料も貴重です。もっと近ければ常連になるのですが(笑)

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