船体の工作3回目は、舷窓の開口からです。
開戦当初の日本艦船は多くの舷窓を開けていましたが、戦争が進むに連れて「不沈対策」ということでその多くが閉塞されました。また戦争後半に建造された艦船は当初から舷窓を少なく設計されていました。一等輸送艦もそのひとつです。
第9号の舷窓位置を特定するため図面を見たところ、写真日本の軍艦別巻の図面では96番ビームあたりに1箇所だけ舷窓が描かれていました。次に日本海軍艦艇図面全集ではそれに加えて艦橋両側あたりに4箇所描かれていました。第9号の写真でもそのように確認できます。
しかし、図面に書かれた艦橋両側4箇所の位置は次の画像に示すように、喫水線と平行ではなく、船首に向かって微妙に位置が上がっていました。

過去にそのような配置を見たことがなかったので、他艦の写真で確認。

図面よりも写真優先という原則からすると、どうやら喫水線と並行とするのが正しいようです。
舷窓直径は「軍艦雑記帳」下巻によれば小型艦は1/700で0.29mm(倉庫等)、0.36mm(事務室、兵員室等)、0.43mm(海図室、電信室等)となっています。浮沈対策の進んだこの時期の舷窓は直径も小さくしてあるだろうと推定できますが、模型的な「映え」を考えると0.4mmとするほうが良いと判断しました。これらを踏まえて施工したのがこちら↓
第9号の写真で気になったのは、舷側の貨物搬出入口の前後に防舷材のようなものが取り付けられていることです。
不鮮明ながら断面は三角形または台形のように見えますが、このサイズの模型でそれを表現するのは厳しいと考えたので、0.5mm角棒で妥協しました。
艦尾端は喫水線下が鋭角的になっているので、そのように削り込みました。

といってもジオラマ化してしまうとまず見えることはありませんが、こうした部分に手を抜けないのは私が変態モデラーだからでしょうねw
次に取り掛かったのはホースパイプ。
大和ミュージアムで入手した実艦写真から、一等輸送艦の場合、上甲板に空いた孔の縁取りは前方が少しすぼまった形状であることが判明したので、0.19mm径の金属ワイヤーを0.5mmと0.8mmのドリルに巻き付けてRを出して作ってみました。

同じ形状同じサイズのものを2つ作るのに、全部で10個作りました。疲れた…。
また舷側のホースパイプ出口部分の形状はベルマウスだったので、1.5mm径のプラ棒に0.8mmの穴を開け、外周をヤスリで丸くし、0.5mm厚に切り出した後、リングの内側をデザインナイフでカンナがけして整形しました。

当初2.0mm径に1mmの穴を開けて作りました(↑画像の上2つ)がどうにも大きいと感じたので、作り直しました。
これを取り付けたのがこちら↓

上甲板の孔の縁取りは後日取り付け予定です。
ホースパイプがスクラッチ可能と分かったので、アンカーチェーンも自作できないかいう欲が出てきました。ググってみたところ、金属ワイヤーをねじった後、ペンチの平らな部分で押しつぶすとチェーン状のものができるという記事をいくつか発見。早速やってみることにしました。
おおっ、なんとなくチェーンぽいぞw
実際のチェーンは鎖一つおきに90度ずつ角度が変わるのでその表現ができていないとか、鎖一つ一つにスタッド(チェーン絡まり防止のための柱)がないとかのツッコミどころはありますが、こうも安易に「ぽい」ものが作れるならヘタレモデラー的にはこれでも十分です。

試作一発目で成功したので、後日これもキットに取り付けたいと思います。
次はいよいよ滑り止め甲板の表現。
ボンビーモデラーはエッチングパーツを買えない(買わない)ので、自作で頑張ります。
と、その前に、艦橋や機銃台のスペースを甲板上に書き入れます。

この部分は滑り止め甲板の表現は不要となります。
今回はここまで。
次回は滑り止め甲板の施工に取り掛かることとなるので、しばらくは忍耐の日々が続きます…。
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Posted at
2022/06/09 22:48:39