クリスマスと全く関係ないネタでスミマセンw
製作開始から既に8ヶ月目。ジオラマ全体は無理ですが、少なくとも輸送艦本体だけでも年内に完成させたいものです。
艦橋後部の旗甲板と、中央機銃台のセンターにある探照灯台にはそれぞれ柵が作られており、それらにはキャンバスが掛けられます。
従来は柵を伸ばしランナーで作り、水溶き木工ボンドで濡らしたティッシュなどでキャンバスを表現していましたが、今回は探照灯台の柵をエッチングパーツで作るとともに、キャンバスを水溶き木工ボンドの表面張力を利用して表現することを試しました。
水溶きボンドは数回程度塗布しないと厚みが出ないということが分かりました。
一等輸送艦は船体中央付近に2つの艙口がありますが、うち一つを開いた状態で再現します。よって、外されたフタを艙口の脇へ置きます。形状などは荷役中の輸送船を参考にしました。
次にデリックと揚艇棹を作ります。
製作の前にまずはリサーチ。
第9号の写真ではそれぞれこのように写っていました。

デリックには先端及び根本付近に微妙なテーパーがかかっていますが、揚艇棹には無いようです。
またそれらの駆動部の詳細が分かる史料がないので、氷川丸で撮影してきたものを参考にします。
ここまで調べて疑問に思うのが、デリックはどのように使うのか。クレーンとどう違うのか。
ググってもなかなか出てきませんでしたが、ようやくたどり着いたのがこちらの資料。

デリックとクレーンの違いは動力装置の有無。クレーンはその機械の中に駆動装置=ウィンチが含まれており、油圧シリンダーやワイヤーでブームを操る、つまり単体で荷役を行うもので、デリックはその近くに配置されたウィンチがデリックのブームに通されたワイヤーを操り荷役を行うものです。
デリックで荷役を行う場合は、通常、ブームを2本使用する「けんか巻き」という方法を採ります。
まずトッピングリフトをウィンチのワーピングエンドに数回巻き付けてブーム先端を使用予定高さまで引き上げ、チェンストッパーで固定します。次にワイヤーをワーピングエンドからクリートに付け替え、チェーンストッパーを外し、ブームの高さが決まります。
さらにウィンチでブームを左右に動かし、片方のブーム先端は貨物室の上、もう片方の先端は岸壁などの搬出先に位置させ、その後、ブーム・ガイとセンター・ガイを渡すことでブームが動揺しないように固定します。
この状態でウィンチを使ってカーゴフォール(ワイヤー)を伸縮させます。例えば先程のけんか巻きの図で言えば、左側のウィンチでカーゴフォールを巻き取る動きをしつつ右側のウインチで緩める動きをすれば、貨物は左の方へ動きます。
ようつべの動画もありました。
漸く理解できました。ここまで来るのに2週間位かかったでしょうか…。
ではこれらの知識を元に各パーツを作っていきます。
デリックと揚艇棹の図面から算出したそれぞれの太さは0.5mmと0.6mmなので、その太さのプラ棒を適切な長さに切り出して、根本付近と先端付近を削ってテーパーを掛けました。
各所に取り付けられる滑車はプラペーパーを直径0.6mmで切り出したものを2枚貼り合わせて作ります。滑車の数を数えたところ20個だったので、40枚切り出しました。なかなかの修行…。

貼り合わせる際には間にワイヤーを入れ、滑車の支持具もプラペーパーの切れ端で作りました。

ブームの展開角度はデリックごとに異なるので、ワイヤーの長さも一つ一つ異なり、現場合わせで作業を進めました。
デリックポストの根元付近には氷川丸で見たようなデリック駆動部を設置しました。

そしてデリックと揚艇棹をそれぞれの位置に固定し、滑車やワイヤーなどを張り巡らせます。
デリックは荷役中及び荷役準備状態を再現するのでワイヤーはピンと張った状態にしますが、揚艇棹は格納状態とするのでワイヤーはたるませます。しかし複数のワイヤーを同程度にたるませるのが難しい…。スーパーモデラーさん達はどうやってるんでしょうか。
後部デリックポストの上には後部マストが立ちます。
一等輸送艦の場合、後期の建造だとマストを延長し、そこに13号電探が設置しています。
第9号の場合、戦後の写真ではそのように改造されています。
問題はその改造時期。
様々な資料を見ましたが、行動記録などの1次史料は見当たりませんでしたorz
第9号は昭和19年9月20日に竣工し、10月18日にはマニラへ進出し多号作戦(オルモック輸送)に参加しています。
マニラの工廠がどの程度の能力を持っていたのか分かりませんが、数度に渡る輸送を行っているので長期の入渠などは行っていないと思われます。
ググっている中で見つけた情報では以下のような記録がありました。
昭和20年1月21日 呉着、待機。入渠修理
昭和20年2月18日 呉発
ということは、この時に電探を設置しているのではないでしょうか。だとすると第7次オルモック輸送時にはマスト未延長・電探未設置ということになります。
よってこのような姿でマストを作りました。

画像右側は自作した速力信号灯です。
既に艦体はジオラマベースに据え付けてありますが、艦の周囲に若干の隙間が空いています。これを埋めるため水溶き木工ボンドを染み込ませたテッシュを仕込みました。
さて、いよいよ艦本体の完成が近づいてきました。年内になんとか形にしたいですが、年末は仕事も含めて何かと忙しいので…。
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Posted at
2022/12/25 10:52:01