捕鯨母船としての第19号には、中央部機銃台の前後両舷にフェンダーが設置されています。

これは甲板上で処理した鯨肉が舷側から外に落ちてしまわないようにするためのものと思われます。
その形状を特定したいのですが、第19号のディテールが分かる写真がないので、同様の改装が施された第9号の写真を参考にします。

いずれも機銃台より後ろ部分ですが、舷側に立てられた壁の内側に一定間隔で支えが立てられているのが分かります。
また煙突基部周辺にもさらに低い壁が立てられているようです。これは煙突から伝わってくる熱によって鯨肉が腐敗してしまうのを防ぐためのものと思われます。
更にF様より頂いた図面を確認すると、機銃台以後のフェンダー上に手すりの柱とチェーンが描かれています。
第19号のこの写真を見ると、機銃台前フェンダー前端の一定距離は、光の当たり方が違います。
この部分は舷側に沿った形でないのではないか。
ここで思い出すのはフレッチャー級駆逐艦。

一等輸送艦同様のフラッシュデッキなので、艦首に被った波がそのまま艦尾方向へ流れてしまいます。これを防ぐため、フェンダー前端を艦橋基部へ伸ばすことで波除けとしています。
一等輸送艦の場合、主砲前の防弾板が波除の機能も兼ねていたのですが、終戦後に撤去されたため、フェンダー設置時にフレッチャー級と同様の作りにしたのではないかと考えました。
そして工作。
0.1mmプラ板を機銃台前は1.5mm幅に、後ろは0.6mm幅に切り、その片側に1mmピッチで鉛筆の線を入れ、その線に沿って極細伸ばしランナーを貼り付けます。
機銃台後ろのフェンダーには3mm間隔で高さ1.5mmの金属線(径0.19mm)を手すり支柱に見立てて設置しました。
艦橋前両舷には防弾板と高角砲座跡の壁が残されているので、これらも再現。
この状態を上から見てみると、フェンダーが若干うねっています…

んー、これは作り直しか?
めんどくさい…
しかしF様に差し上げる作品だし…
などと悩みながら改めて実艦写真のフェンダーを眺めていると…

あれ、手すり支柱がないぞ。
これは第9号だけがそうであって、第19号には手すりが残されていたのか?
疑問に思ったのでF様に確認すると、第19号も第9号同様、手すりは無かったという見解を頂きました。
では作り直しだ!
いったん設置した機銃台後ろのフェンダーを撤去し、0.1mmプラバンを細長く切り出して艦に設置し、小さな小さな三角ステーを1mmピッチでひたすら設置、設置、設置…
そして二日がかりの作業を終えました。

今度はうねりがほぼ無い状態。
試しに実艦写真と似た角度で撮影してみました。

いんじゃね?(^^)
そしてボラードを設置。
この後、舞鶴色で全艦塗装。
次はいよいよ捕鯨母船としての各種装備を制作していきます。
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Posted at
2024/07/14 22:37:54