少し前に第19号輸送艦を始めとする捕鯨船団ジオラマを完成させましたが、実はその途中、重巡洋艦鳥海の製作も始めていました。
キットは40年くらい前に買ってあった高雄。ウォーターラインシリーズNo2です。

価格が700円の時代ですね。
高雄型は重巡の中でも人気なので、既に多くの方が作られています。
よって考証も相当進んでいると思うので、今回の製作はそのフォローをしながらという流れになると考えています。とはいえ自分なりに調べながら勉強していきたい。
ということで手元の資料を確認。

これ以外にもネットで拾える画像や見解などを参考にします。
ちなみに鳥海の図面は無いようで、新造時高雄の図面を参考に使用することとなります。
まず最初に行ったのが船体の寸法確認。
Wikipediaによると全長203.76 m、全幅18.999m。これを1/700にすると291.1mmと27.1mmとなります。
加えて真総ざらい高雄型に収録された鳥海の図面(以下、「総ざらい図面」)を1/700サイズに拡大コピーしたものを作成。
これらとキットの船体を照らし合わせると…

Wikiと図面の全長は整合しますが、キットでは6.0mm足らないので、延長が必要です。
全幅はもっと複雑で、そもそもWikiと図面の数値が食い違っています。
ちなみに箱の側面に書かれた諸元はこのように記載がありました。

全幅は何が正しいのか…。
手元に資料などではどうにも分かりかねたので、思い切ってXのとあるフォロワーさんに尋ねてみることにしました。
すると、石橋孝雄先生のまとめられた資料では全幅が20.422mとなっており、この1/700は29.2mmとなるので、ほぼキットの寸法が正しいことになります。
なぜこんなことが起きたのか。
全幅についてはWikiや図面において情報の混乱があったのではないかと思いますが、全長についてはキットの箱に書かれた数値とも合わないところを見ると、単なる情報の取り違えなどではないように思います。
ふと、箱のサイズを測ってみました。
おおっ、箱の長さが高雄型の全長より短い!
対角線で測るとようやく全長をクリアするサイズです。
当初のWLシリーズは手軽に艦船を完成させられて、1/700の艦隊が組めるというコンセプトが重視されて始まったもの。よって箱のサイズも重巡と軽巡が同じ大きさでした。その結果、比較的大きな艦である高雄型は、箱に入るように全長を縮められてしまったのではないか。
これはつまり「箱の呪縛」!
実はこうした事象はスケールモデルだけでなく、初期のガンプラ(ベストメカコレクション)でも同様の状況が起こっていました(詳細は
過去ブログ「【悲報】旧キットのスケールは間違っている!?」をご覧ください)。
ちょっと遠回りしながらも全長全幅がはっきりし、「全長のみ6.0mm延長」で確定しました。船体切断後に延長することとなりますが、問題はどこで切断すべきか。このためには、「どこで切断すると、艤装などの配置に最も影響が少なくなるか」を確認する必要があります。
ということで、1/700総ざらい図面を切り出し、キットの船体に当ててみました。
↑の写真では平面の確認を行っていますが、側面についても同様の作業を行いました。その結果、40年以上も前に設計されたキットにしては、かなり正確にそのフォルムを捉えていることが分かりました。
すごいぞアオシマ!
肝心の切断箇所ですが、シェルター甲板後端あたりとするのが最も良いだろうと判断しました。
さて、次はしっかりとモールドされたバルジの切除などを行います。
今回はかなりの大工事になりそうです…。
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Posted at
2025/03/19 21:23:38