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ザクとは違うのブログ一覧

2025年03月19日 イイね!

重巡鳥海の製作(キットのチェック)

少し前に第19号輸送艦を始めとする捕鯨船団ジオラマを完成させましたが、実はその途中、重巡洋艦鳥海の製作も始めていました。
キットは40年くらい前に買ってあった高雄。ウォーターラインシリーズNo2です。

価格が700円の時代ですね。

高雄型は重巡の中でも人気なので、既に多くの方が作られています。
よって考証も相当進んでいると思うので、今回の製作はそのフォローをしながらという流れになると考えています。とはいえ自分なりに調べながら勉強していきたい。
ということで手元の資料を確認。

これ以外にもネットで拾える画像や見解などを参考にします。
ちなみに鳥海の図面は無いようで、新造時高雄の図面を参考に使用することとなります。

まず最初に行ったのが船体の寸法確認。
Wikipediaによると全長203.76 m、全幅18.999m。これを1/700にすると291.1mmと27.1mmとなります。
加えて真総ざらい高雄型に収録された鳥海の図面(以下、「総ざらい図面」)を1/700サイズに拡大コピーしたものを作成。
これらとキットの船体を照らし合わせると…


Wikiと図面の全長は整合しますが、キットでは6.0mm足らないので、延長が必要です。
全幅はもっと複雑で、そもそもWikiと図面の数値が食い違っています。
ちなみに箱の側面に書かれた諸元はこのように記載がありました。

全幅は何が正しいのか…。

手元に資料などではどうにも分かりかねたので、思い切ってXのとあるフォロワーさんに尋ねてみることにしました。
すると、石橋孝雄先生のまとめられた資料では全幅が20.422mとなっており、この1/700は29.2mmとなるので、ほぼキットの寸法が正しいことになります。

なぜこんなことが起きたのか。
全幅についてはWikiや図面において情報の混乱があったのではないかと思いますが、全長についてはキットの箱に書かれた数値とも合わないところを見ると、単なる情報の取り違えなどではないように思います。
ふと、箱のサイズを測ってみました。


おおっ、箱の長さが高雄型の全長より短い!
対角線で測るとようやく全長をクリアするサイズです。
当初のWLシリーズは手軽に艦船を完成させられて、1/700の艦隊が組めるというコンセプトが重視されて始まったもの。よって箱のサイズも重巡と軽巡が同じ大きさでした。その結果、比較的大きな艦である高雄型は、箱に入るように全長を縮められてしまったのではないか。
これはつまり「箱の呪縛」!


実はこうした事象はスケールモデルだけでなく、初期のガンプラ(ベストメカコレクション)でも同様の状況が起こっていました(詳細は過去ブログ「【悲報】旧キットのスケールは間違っている!?」をご覧ください)。

ちょっと遠回りしながらも全長全幅がはっきりし、「全長のみ6.0mm延長」で確定しました。船体切断後に延長することとなりますが、問題はどこで切断すべきか。このためには、「どこで切断すると、艤装などの配置に最も影響が少なくなるか」を確認する必要があります。
ということで、1/700総ざらい図面を切り出し、キットの船体に当ててみました。


↑の写真では平面の確認を行っていますが、側面についても同様の作業を行いました。その結果、40年以上も前に設計されたキットにしては、かなり正確にそのフォルムを捉えていることが分かりました。
すごいぞアオシマ!
肝心の切断箇所ですが、シェルター甲板後端あたりとするのが最も良いだろうと判断しました。
さて、次はしっかりとモールドされたバルジの切除などを行います。
今回はかなりの大工事になりそうです…。
Posted at 2025/03/19 21:23:38 | コメント(4) | 艦船模型 | 趣味
2025年03月15日 イイね!

空前絶後の米本土空襲

空前絶後の米本土空襲約1年にわたる長期製作を終え心地よい満足感に包まれる日々ですが、次の作品も長期間になりそうなネタを考えているので、ここで小休止がてら潜水艦を1隻作ろうと考えました。
キットは冒頭画像のうち、伊58を使用して伊25を作ります。
伊58はいわゆる巡潜乙型と呼ばれるタイプの後期型で伊25は初期型なので、若干の改造が必要となります。大きな違いは艦橋から後ろ。

初期型は14cm砲があり、その周囲にブルワークが設置されていますが、伊58にはそれが無い代わりに殺人兵器人間魚雷・回天を搭載するためのスペースとされています。
それ以外にも甲板上の装備が図面と異なる箇所が多く見られたので、いったん甲板上の突起物をすべて切除し、0.5mmピッチで木甲板をケガきました。


艦橋後半のブルワークの厚みが気になったので、デザインナイフでカンナ掛けして薄くしました。


主砲周囲のブルワークは0.5mmプラバンで自作。ラインの出し方が難しい…


これらの基本工作を終えた後、甲板上のディテールをプラペーパーなどで図面通りに再現しました。


ここで悩んだのがカタパルト。
特に後半部にあるターンテーブルがどのような構造になっているかが、図面からも写真からもよくわかりませんでしたorz




艦橋ユニットも図面や写真を参考に作りこみます。
キットでは後半部のブルワークが一部省略されていますが、これは13mm連装機銃パーツが大きすぎて艦橋の幅に入らないため、苦肉の策としてブルワークを省略したのだろうと考えられます。実艦では後端までつながっているので、プラバンで再現しました。

今回は浮上中の場面をジオラマ化するので、潜望鏡は格納し無線楼のみ上げた状態としました。この後潜望鏡前のループアンテナや無線楼頂部付近の横桁も追加しています。

それぞれのパーツ接着に際しては先日のブログでも触れたように有機溶剤を含む製品の使用を極力控えるため、セメダインスーパーX、木工ボンド、タミヤリモネン接着剤を場面に応じて使い分けました。スーパーXは若干糸を引くので使いづらい印象もありますが、接着力が強く硬化時間も比較的短いので、大きな面積やパーツを接着する際に使うことになりそうです。

巡潜乙型は偵察機能強化のため零式小型水上機を搭載しているので、これも製作します。

キットの出来は素晴らしく無改造でも十分にその姿を再現できますが、以下の追加工作を行いました。
・下向き垂直尾翼の追加
・フロート支持脚の自作
・回転中のプロペラを再現
・主翼下に60kg爆弾を装着
ちなみにプロペラ部はコンビニ弁当のフタを2.0mmのスクリューポンチで打ち抜いたものを使用しています(みん友のチュンチュンまるさんのアイデアを拝借しました)。
また爆弾はWikiの記載を参考にしてサイズ及び塗色を決定しました。


そしてジオラマベースの作成。
100円ディスプレイベースの上に薄く石粉粘土を塗り、耳かきやピンバイスの先などで波の形を整えます。


最後に塗装についてですが、海面を塗った青、水色、白はいずれもダイソーのアクリル絵の具を使用しています。また潜水艦についても、船体などのグレーや甲板色、信号灯などのシルバーやクリアレッドなどはタミヤ水性アクリルを使用しましたが、ウェザリングは黒と焦げ茶色はアクリル絵の具を使用しました。
無論、接着の際も塗装の際も十分な換気を行い、有機溶剤を含む製品を使用したらすぐその部屋を出るということにしました。その結果、完成までに多くの時間をかけることとなりましたが、人体への悪影響はこれまでよりも大幅に低減されたと思います。

それでは完成画像をご覧ください。






伊25は長い歴史上空前絶後となるアメリカ本土空襲を行っており、その飛行機発進場面を再現しました。史実は以下の通りです。
真珠湾攻撃以降防戦一方だった米軍が日本軍へショックを与えるため、1942年4月、空母ホーネットは陸上攻撃機B2416機を日本近海で発進させ、東京名古屋大阪などを空襲し中国へ飛び去りました(いわゆる「ドゥーリットル空襲」)。
これは当時の日本軍幹部に大きな衝撃を与え、その後のミッドウェー作戦立案につながりますが、その後、同年9月9日と29日の2回、伊25による米本土空襲が行われており、大きな被害は出なかったものの「本土が空襲された」という心理的ショックは大きかったようです。
ちなみに伊25はこれに先立って米本土への砲撃も行っており、さらには4隻の艦船を撃沈して撃沈数ランキング7位もマークしているので、戦果の少ない日本潜水艦の中ではキラリと光る1隻です。

【製作後の感想】
タミヤのキットは40年以上前に設計されたものですが、安価な割には素組みでも十分鑑賞に耐えられる素晴らしいモールドを誇るので、「買い」のアイテムだと思います。
今回は簡単製作を目指したのであまりがっつりと考証を行っていませんが、若干の追加工作を行うことで巡潜乙型の初期タイプを再現できたので楽しかったです。特にウェザリングに使ったアクリル絵の具の黒と焦げ茶色が予想以上に良い効果を発揮してくれて、これまで使っていたタミヤ墨入れ塗料を使う必要がないと感じられたのは大きな収穫でした。
またリモネン接着剤も硬化時間が長めではあるものの接着力はそれなりのものがあり、流し込みタイプであることから細かいパーツの接着に活用できるので、有機溶剤対策として今後の主力接着剤として活用できる見込みが立てられたのも嬉しかったです。
その点では今回の製作は今後の製作作業のテストベッドという性格も併せ持っていたことになり、その成果も上げられたので有意義なものだったと感じます。

さて次は大作に取り掛かる予定。
気合いを入れなおして頑張ります!
Posted at 2025/03/15 10:08:31 | コメント(4) | 艦船模型 | 趣味
2025年03月04日 イイね!

モデラーの有機溶剤問題

先日、血液検査を受けてきたところ、腎臓の数値がよくないとの話が出ました。
私は父親方が透析家系なので、いずれ自分もそうなるだろうということは自覚しており、ハモン様にも以前から伝えてあります。
医師からその話を聞いた瞬間は、いよいよ来たか…という感覚でした。
とはいえまだまだ長く付き合っていかなくてはいけない体なので、いたわってやる必要があります。早速対応をググってみました。
しかし近年は食生活を含めた日常生活は同年代の他の人たちに比べてかなり気を付けているので、検索して出てくるような対策をこれ以上加速させるのは少々無理がある気がします。

待てよ、ということは別の要因があるのではないか???

そこでふと思い出したのは有機溶剤。
模型製作はスクラッチが中心であることもあり、更には流し込み接着剤を必要以上に多く付けてしまう悪い癖もあります。塗装も吹き付け以外は部屋内でやることが多く、その際に換気扇も使っていません。特にここ1~2か月は捕鯨船団ジオラマ製作の佳境だったこともあり、それらの作業がほぼ毎日続きました。
実は有機溶剤の成分が体内に入ると異物として認識されるため、腎臓に負担がかかります。その対策で最も有効なのが換気。これは昨年度受験した衛生管理者試験の勉強で得た知識です。まさかこんな形で役に立つとは…(苦笑)

いずれにせよ、原因がはっきりしたのなら早速その対策を講じなければなりません。具体的には以下のとおり。

1 模型製作の部屋にある換気扇を、作業中は常に回し続けること
数年前に換気扇を設置したのですが、ほとんど使っていませんでした。宝の持ち腐れ…orz
2 有機溶剤を含む接着剤や塗料を扱う際はマスクをする
N95マスクが望ましいですが、不織布マスクでも一定の効果はあるだろうと思われます。
3 塗料の一部をアクリル絵の具に切り替える
メインで使っているタミヤ水性アクリルはラッカー系塗料などに比べて有機溶剤含有率は低めですが、さらにその影響を抑えようと思います。
4 メイン接着剤を有機溶剤不使用のセメダインスーパーXや木工用ボンドに切り替える
アロンアルフアも有機溶剤は含まれませんが若干の刺激臭もあるので、ゴム系接着剤の方が安全だと思われます。

現状の作業用デスクは↓のような状態です。

ここへ以下を追加します。
5 作業用デスクの脇の壁に換気扇を増設する
見積を取ったところ、約10万円(!)と少々お高いですが、体のためには必要な出費と考えるようにします。
6 増設換気扇に向けて小型サーキュレーターを設置し、有機溶剤使用作業時に使用する
塗料や接着剤そのものから上がってくる有機溶剤臭が人体に届く前に5の換気扇へ流すためのものです。


これらの対策を取れば人体への悪影響は相当程度回避できるのではないかと思います。
対策の4に記載したスーパーXを先日買ってきました。

ある程度粘性があるため糸を引きますが、コニシのGボンドほどではなく、乾くと透明になります。実際に使ってみると、やはり糸を引くため少量使うのが少々難しいです。艦船モデルは1mm前後の極小パーツが多いので、スーパーXよりも木工ボンドの方が使いやすいかもしれません。いずれにせよ有機溶剤によって溶着するわけではないので、いわゆるムニュ消しが出来ず、合わせ目消しにラッカーパテを使わざるを得ません。
あれ、これじゃまた有機溶剤臭が出ちゃうじゃん(困)

こうしたことをあれこれ考えていると、工作部屋に入ることすら億劫になってきました。仕事をリタイヤしたら毎日引きこもって模型作りに勤しもうと思っていましたが、この感覚だとその人生設計も見直さなくてはいけないのか???
仮にそうなると、毎日を過ごすためのネタづくりを新たに始めないと…。
そこまでのことにならないよう、まずは気持ちと環境を整えていくことから始めたいと思います。
まさかここまで大きな話になるとは…
でも気付かずにそのまま過ごして透析生活が始まってしまうと二度と元には戻れないので、今気付いてよかったのかもしれませんね。
ガンバレ、オレ!
Posted at 2025/03/04 21:42:37 | コメント(4) | 艦船模型 | 趣味
2025年02月22日 イイね!

小笠原捕鯨船団ジオラマ、完成

昨年4月から製作を開始して、延べ11ヶ月。自分史上最長期間を経て自分史上初の「戦わないフネのジオラマ」が漸く、やっと、遂に完成しました。その故もあって、かなりの長文です(笑)
ではご覧下さい。





時は終戦直後の1945年。
長く続いた戦争などにより当時の日本人の栄養状態はかなり酷く、これを改善することも含めた捕鯨再開が検討されました。
しかし、そのためのフネがない。
戦争中は民間船の多くが軍に徴用され、そして撃沈されたので、捕鯨のためのフネは残っていません。
そこで目を付けられたのが一等輸送艦。艦尾スロープはクジラを引き上げるのに適していると考えられました。その最初のフネが第19号輸送艦です。
戦後、復員輸送艦として運用するため主砲や機銃は勿論、13号対空電探なども含めた武装解除を行うとともに復員兵のための居住スペースが設置されましたが、その業務終了後の1945年12月から捕鯨母船になるための改装が施され、2月に捕鯨船(キャッチャーボート)2隻、本土への輸送船7隻と共に総勢10隻の船団が組まれ小笠原諸島沖へ出港しました。

ジオラマの舞台はこの時の1946年4月中旬頃=操業終盤です。当時の船員の日記からは、海が相当荒れていたようなので、波は少々高めに作ってあります。
19号は、艦橋前の主砲を撤去したため船体前半の乾舷が大きくなった状態で浮かべてあります。
この頃には航海用に残された22号電探は暴風により破壊され、中央機銃台にあった探照灯は操業中に艦橋頂部へ移設されています。


中央機銃台上には復員船時代に設置された木造建屋がありました。その後部左舷側には鯨油を採取するためのプレスボイラーが設置されていました。また後部船艙は乗組員の居住スペースとして活用されていたので、既設ハッチの代わりに出入口を設置しました。

艦中央付近の甲板は木張りとなっていますが、これは機関室からの熱で鯨肉が腐敗しないようにするために施されたものです。

艦尾スロープには引き上げられて解体中のマッコウクジラを再現しました。スロープに設けられた左右のエプロン(板張り部両側の壁)のうち左舷側は破損により撤去された状態です。

乗組員によって皮を切断され血を流している様を表現する時は、少々心が痛みました…。
クジラの前方には解体後のクジラの一部を散在させてあります。

肉の色表現には苦労しましたが、なかなかいい感じに仕上がったと思います♪

捕鯨船(キャッチャーボート)の文丸は、幸いにも残っている図面を基にしながらのフルスクラッチです。文丸の写真はほとんど残っていませんが、同型と思われる船からディテールを推定しました。
独特な形状の船首再現は新鮮な経験でした。甲板には実船写真を参考にウインドラスなどを設置し、船首楼甲板後端には伸ばしランナー製のアンカーを置きました。


前マスト周辺も同型船を参考に、極力それらしくディテールを追加していますが、マスト周辺にあるボラードの配置は軍艦などには見られないもので、マスト直後の捕鯨用ウインチも特殊な形状なので、楽しみながら製作することが出来ました。

ブリッジや煙突付近も図面や写真を参考に極力忠実な再現に努めました。


焼き玉エンジンから吐き出される黒鉛は0.55mm針金の軸に着色した綿を付けて表現していますが、空中線アンテナを潜り抜けさせるのに少し苦労しました。また船尾旗竿にはSCAJAP旗を掲げています。船員たちには屈辱的だったかもしれませんね…。

文丸の周囲には捕獲したクジラを繋留しています。

これらも実際の捕鯨船の写真を参考に再現しました。写真では分かりづらいですが、小さな背びれや皮膚のシワも表現してあります。

19号輸送艦の隣には出航し始めた輸送船・第35播州丸を配置しました。これもフルスクラッチです。
35播州の写真は、当初は横から撮った遠景が1枚のみでしたが、F様と一緒に調べていくうちに何枚かの写真が発見され、かなりディテールが分かるようになりました。図面こそ発見できませんでしたが、その姿はそれなりに再現できたのではないかと思います。
船首から船倉甲板あたりはディテールの分かる写真が見つかったので、それを基に再現しています。


右舷アンカーは引き上げ中を再現しました。実際の作業ではアンカーについた泥を洗い落とすためホースパイプから水を流しますが、今回はそこまでの再現は行っていません。

船体のフレアはもう少し強めに出すべきでしたが、その角度が分かる写真が見つかる前に作ってしまったので、少々甘いです。

ブリッジは比較的鮮明な写真が見つかったので、それを基にしていますが、ブリッジ屋根上に何がどう配置されていたかは不明なので、「船体各部名称図」のイラストを参考にしました。


煙突以降の甲板上の配置は遠くから撮ったほぼ真横からの写真1枚のみしか資料が無く、塗装も含めてほとんどが推定ですが、民間船舶らしい形になったのではないかと思っています。
煙突から吐き出される煙は文丸のものより低いですが、これはフネがまだ動き出して間もないことを表現したつもりです。
こちらにも船尾旗竿にSCAJAP旗を掲げました。

付近の海面にはホオジロザメの背びれを置きました。実際の現場でもクジラの血の匂いを嗅ぎつけてサメが多く寄ってきたようです。



【製作後の感想】
一等輸送艦はオルモック輸送時の第9号の製作経験が活かせたので基本的な部分は比較的順調に進捗しましたが、鮮明な実艦写真がほとんどないため、捕鯨母船としての艤装の解明はなかなか困難でした。そうした中でもF様から提供される資料は大変参考になり、概ねF様のイメージする姿を再現できたと思います。
1/700マッコウクジラは石粉粘土で作りましたが、まずまずの形で再現できた気がします。艦尾スロープに横たわったクジラは甲板との間に粘土を追加して隙間が生じないようにしたり、文丸に引っ張らせるクジラや19号甲板上の切断された鯨肉は全体を作ったのちに必要な部分を削り取って作りましたが、何と言っても苦労したのは肉の色でした。
プラカラーの調色を苦手としているので既存の色を使いつつ、どうリアルに表現するかは何度も試行錯誤を重ねました。結果的にはよい色になったと感じています。少し前に作ったカスモサウルスのジオラマの時にも思いましたが、無機物ばかり作っていたところで動物を作ると少し新鮮な気分が味わえて楽しいですね。
文丸や第35播州丸は自身初の民間船製作でしたが、それぞれに独特の船体形状だったり艤装だったりするので、その研究過程も含めて楽しかったです。
製作の最後は煙突からの煙でしたが、単に高さを稼ぐためという目的だったものの、実際に作ってみると想像以上によい印象となったため、お気に入りポイントの一つになりました。

最後にどうしても語っておきたいのはF様のご協力。
非常に大量かつ多岐にわたる資料提供をいただくとともに、製作中も随時意見交換・情報交換をさせていただき、非常に有意義なモデリングとなりました。F様の考証や研究は大変深いものがあり、疑問を尋ねると殆どが即答で資料とともに帰ってくるという驚きの連続でした。そんな中でも私の考証がF様の気付きに繋がった部分もあったのは嬉しかったです。
F様は以前に「鯨追う艦」という同人誌を発行されていますが、その後の研究結果を踏まえてまとめ直したものを来冬のコミケで販売する計画だそうです。今回の私の作品は近いうちにF様にお渡しする予定ですが、そのコミケで飾っていただけるとのこと。
こんなに嬉しいことはない!
今回のジオラマ製作は一粒で何度でもおいしい、良い経験となりました♪


【製作記録】
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(イントロ編)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(船体工作の続き)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(艦橋・機銃台等の製作その1)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(艦橋の製作その2)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(煙突などの製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(船体の塗装など)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(フェンダーの設置)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(木製装備品の製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(各種艤装品の製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(捕鯨船・文丸の製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(捕鯨船・文丸の製作その2)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(艦番号の表記など)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(甲板の処理)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(ブリッジと船首の製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(ブリッジなどの製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(ジオラマベースの製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(ウェザリング塗装など)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(マッコウクジラの製作)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(各船の艤装)
第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(仕上げ作業)
Posted at 2025/02/22 15:48:45 | コメント(4) | 艦船模型 | 趣味
2025年02月16日 イイね!

第19号輸送艦(捕鯨母船)の製作(仕上げ作業)

播州丸の船尾にある短艇甲板上には何があったのか不明ですが、「船体各部名称図」にあるイラストを参考に、ディテールを追加します。
また、合計6本あるデリックには3Dプリンター製の滑車を取り付けます。


塗装すると滑車の軽目穴が埋まってしまうので、まち針の先で開口する必要がありますが、非常に精細なディテールが魅力的です。

播州丸や第19号輸送艦の甲板上には木箱やロープを配置します。
木箱は友人からもらった3Dプリンター製品、ロープは0.19mm針金です。


ここまでの作業でこのような状態にまでなりました。
フルスクラッチにしてはまずまずいい感じ♪


各船には旗を掲げます。
旗は2種類。大洋漁業のマルはマークと、日本の国旗・日の丸です。
マルはの旗を掲げる場所についてF様に確認したところ、文丸は前マスト、播州丸は後マストとのことだったので、そのようにします。
問題は19号輸送艦。
当時の写真は↓のように見えます。

どちらにするか悩みましたが、もともとガフは後マスト中段(デリックポストの上端のあたり)に付いておりそこに軍艦旗などを掲げていたので、捕鯨母船時代も同様だろうと推定しました。
ここでF様から貴重なご指摘が。
私は文丸と播州丸の船尾旗竿に日の丸国旗を掲げるつもりでしたが、今回のジオラマの場面=1946年は日本はまだ占領下。よって日の丸を掲げることはできずSCAJAP旗を掲げることとされていたようです。

これは目から鱗でした。

そしてそれぞれをコピー用紙に印刷し、デザインナイフで切り取ったのち、二本のピンセットを使って揉み解すと裏表の2枚に分かれるので、このうち印刷面のほうを使用します。


19号の6mカッターの設置を忘れていました。
カッターは艦上での作業中は舷外に振り出していたようです。
よってダビットを外側に出した状態に取り付け、そこへカッターを吊るします。
問題はその吊るし方。伸ばしランナーやメタルリギングでは細すぎて作業が大変だし、ぶらぶらするため接着強度に不安があります。
散々悩んだ挙句、0.1mm針金を2本よじってペンチで平らにつぶしたものを使うこととしました。それがこちら↓

これならしっかり固定されるはず…。

それぞれの甲板上には乗組員を配置し、場面に動きを持たせます。
手元にある1/700フィギュアは↓の2種類。

どちらを使うかこれまた悩みましたが、やはりエッチングではポージングが大変なことと、何よりペラペラなのが実感を損ねます。よって3Dプリンター製品に決定。
しかし極めて小さいので塗装が大変です…。


いよいよ最後の仕上げ。
1/700艦船、しかも小艦艇は高さがないので、全体的に平板な印象を受けてしまいます。
よって少しでも高さを稼ぐため、焼き玉エンジンの煙を作ります。
材料は薬局で買った脱脂綿。
これを薄く延ばして両面を黒でスプレーしたものを小さくちぎって丸め、これを大量に作ります。これらを煙突から木工ボンドなどでつなげていくと黒煙になるという仕組み。


さて、これですべての作業が終了。
次回は完成報告となります。
Posted at 2025/02/16 08:54:09 | コメント(3) | 艦船模型 | 趣味

プロフィール

「重巡鳥海の製作(船体の修正その4) http://cvw.jp/b/488285/48472648/
何シテル?   06/07 13:55
模型工作とキャンプが大好きなヘタレをやぢです。 私がフォローする方には2種類あります。 一つは「以前からのみん友さん」 もう一つは「ちょっと興味を持っ...
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