前回まで艦首に錨鎖導板やキャプスタンなどを取り付けましたが、今回はアンカーチェーンを取り付けました。

1/2000というスケールなので極細チェーンはもちろん、ミシン糸ですらオーバースケールになってしまうので、結局伸ばしランナーを使用しました。
さらに舳先に菊花紋章をあしらいました。
金剛型の菊紋は舳先のカーブに沿って回り込むように取り付けられていますが、さすがにこのスケールでその再現まではできません。
なお榛名にはファッションプレートは設置されていないので、船体へ直接取り付けることとなります。

本製作日誌その1で実艦写真の検証を行う中で、3番主砲の脇に機銃台らしきものがあると指摘しました。
上に示した画像は戦後解体中の榛名の上空写真(Wikipediaから見られます)ですが、3番主砲右舷側に凸部が確認できます。
同様に終戦直後に米軍が撮影した動画(画像下)でも同様のものが確認できます。
しかしこの機銃台らしきものは、手元にあるどの資料(学研Vol21金剛型戦艦・各艦機銃電探哨信儀等現状調査表が19年7月時、丸スペシャルNo20戦艦榛名が19年10月)にも示されていません。
それらの資料が正しい機銃配置であるとすれば、19年11月以降新たに設置されたことになりますが、マリアナ後増設したものをレイテ前にさらに増設することは考えづらいです。
レイテ後の榛名はブルネイに立ち寄った後、リンガ泊地へ向かう途中座礁により艦艇を損傷し、その修理は内地でしかできないと判断され、呉へ回航されます。上掲の機銃台はこのリンガ泊地か呉での修理時に増設されたのではないでしょうか。
(※ただし増設が機銃台×2のみとは考えづらく、他にも増設や換装があったのではないかと思いますが、現時点で確認できていません。)
という考証を経て増設機銃台を設置しました。
併せて2~4番主砲上にも機銃台を取り付けました。

機銃台の平面形状は先程の解体中の空撮写真から六角形×2であることが分かります。またブルワークは全面に設置されているわけではなく両側面と主砲砲身方向の一部のみであることが実艦写真や映像から確認できます。
1番2番主砲などにはダズル迷彩が施されていましたが、1/2000でそれをどのように塗装するか悩みます。

①はカッターで軽く溝を入れた上からスミ入れを行ったもの、②は0.2mmプラバンの小口にスミ入れ塗料を塗ってスタンプしたもの、③は水性塗料を同様にスタンプしたものです。
①は作業が楽な反面、黒ラインが細すぎます。溝を入れたことによる凹凸は意外と気になりませんでした。②は塗料が薄いので滲みます。③で練習すればうまく行くかと思いましたが、これがなかなか…。
かといって手書きではきれいに書けないし…。
これはもう少し悩むことにします。
途中まで出来上がったキットを眺めていると、第2煙突根元付近が寂しいと感じ、改めて実艦映像を見直すと設置し忘れていた機銃台があることに気づきました。

↑は米軍撮影によるものですが、キャプションのようなことが分かりました。
この機銃台について資料を調べ直します。

左は丸スペシャルのイラストですが、こちらにはマスト支柱根本を囲むように機銃台が設置されており、先程の米軍撮影映像の情報と一致します。
右は各艦機銃電探哨信儀等現状調査表ですが、こちらにはそれが示されていません。学研Vol21金剛型戦艦ではイラストで設置場所を示しつつも「資料によってはないものもある」と添え書きされています。恐らく現状調査表のことを言っているのでしょう。

結局丸スペシャルの配置を信用して設置しました。
同時に、設置していなかった揚弾筒(左舷のみ)も0.5mm角棒で表現しました。
なおこのあたりの詳細な形状や設置状態は深雪会のCGも参考にしています。
それにしてもこうして画像で作品を眺めると、「1.5流の考証を行い、3流の工作で終わる」というのがはっきり分かってしまい、少し寂しい気持ちになりますね…。
さて次はいよいよ艦橋の工作。
これまたフルスクラッチの予定ですが、前部で7段に分かれており、それを一段ずつ重ねていくので、なかなか大変です。
まずは寸法の計測と工作手順の検討から。
こりゃ年末年始の休み中にはとても完成しそうにありません(笑)
Posted at 2020/12/31 10:32:46 | |
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