約2ヶ月をかけて完成しました。
早速ご覧ください。
今回は電飾を行い、爆煙内部がオレンジに光るとともに、2秒間隔で点滅します。
戦艦陸奥は長門型2番艦。折しも海軍軍縮が議論されており、ワシントン条約締結に当たって陸奥の存在が焦点となりました。
米英などは「陸奥は未完成だから廃棄すべし」と、日本は「既に完成している」と主張(実際は艤装中)しました。
結局陸奥を生かす代わりに40.6cm砲を搭載したネルソン級戦艦2隻(イギリス)、コロラド級戦艦2隻(アメリカ)の保有を認めることとなりました。当時陸奥と同じ40cm主砲を積む戦艦は世界に7隻しかなく、それらを総称して「BIG7」と呼ばれました。
そこまでした陸奥の保有ですが、太平洋戦争の主役は戦艦ではなく航空機と空母。陸奥は出番のないまま訓練を続けました。
そんな中、昭和18年6月8日12:15、3番砲塔直下の弾薬庫で大爆発を起こし、艦は2つにちぎれて一瞬にして沈没してしまいました。乗員1,474人のうち助かったのは僅か353人…。
爆発の原因は未だ特定されていませんが、上官の厳しい指導に耐えかねた水兵が主砲弾薬庫で放火したという説があります。
軍隊は戦争のための組織。戦場では統制の取れた行動ができないと戦力が発揮できないので、普段から上意下達が徹底されています。しかしそれが高じてビンタや精神注入棒などが横行し、行き過ぎた指導が行われた時代もありました。その結果が陸奥の爆沈だったとするならば、これも戦争が生んだ悲劇と言えるでしょう。
そうした思いも込めて、ジオラマのネームプレートにも「約1100名死亡」と入れました。
キットはタカラトミーアーツのカプセルトイを利用しました。
キットは陸奥の姿を大変良く再現しており、各ユニットの姿はかなり正確で、各部の寸法も間違いありません。しかしプラという材質の特性上、どうしてもエッジが甘くなったり表現が省略されています。
従って、船体と主砲塔以外はすべてプラ板プラ棒によるスクラッチです。
特に艦橋、煙突周辺、後部艦橋の製作に当たっては「日本戦艦スタイルブック」を大いに参考にしました。逆に言えば図面や写真などを元にした考証は、今回はほとんど行っていません。
艦首付近には係留ブイを浮かべ、陸奥とつなげました。
また艦尾には少しだけ白波を立てています。

これは爆発の勢いによって艦尾部が後ろへ下がったことを表現したものです。
考証面で特に触れておきたいのは煙突両側の増設フラットです。これは従来あまり注目されておらず、模型化した例は珍しいと思われます。このフラットは一説には曳航標的の配置場所とされますが、昭和15~16年頃の写真では水上機のフロートと思われるものが置かれているので今回はそれを再現しました。
爆煙の上には3番主砲があります。

これは他艦から爆沈の瞬間を見た証言に、3番主砲が艦橋の高さまで上がったというものがあることによります。
またその周囲には小さな水柱を立てて、爆発により吹き飛んだものが海面に落ちた様子を再現しました。
横幅僅か15cmちょっとの小さなジオラマですが、なかなかよく出来たかなと自己満足できる作品に仕上がりました(^^)
Posted at 2024/01/06 15:39:04 | |
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