まずはハイブリッドに試乗

タッチパネルだよ。
写真右端の平均燃費23.5っていうのは、この車両が街中での試乗や営業の足として使われた数値。
JC08モードより、こういう数値をアップする方がよほどいいと思うんだけど、そうしたらそうしたでやはりそのモードに合わせた走りになるんだろうな。
街中で23も走れば上等。
今の初代フィット。最近は街中で14前後。
ドライブに入れて静かに走りだす。と思ったけれど、モーターの音がいろいろ聞こえてくる。
プリウスよりもいろんな音が混ざっている。
ステアリングの感触は特に問題なし。だるくもなく、過敏すぎるところもない。電動にしてはかなりいいレベルだと感じた。
時速20キロあたりで、エンジンが始動した。
モーター走行にエンジンが参加したタイミングはよくわかる。わかるけどそれが嫌な感じはない。
こうやって一生懸命協調制御して、低燃費を出しているんだと思った。
気になるミッションについては、変速が全く分からない。
ツインクラッチで変速ショックなく変速しているんだってさ。直結してるからロスがマニュアル並みなんだってさ。
分からん。
なんとなく上がり下がりするエンジン音がきっとそうだ。
CVTとも、ATとも違う感触だ。
特別な感激はなかったけど、これがツインクラッチか。
街中だけど、踏み込んでみる。
ああ、普通の1,5リッターの加速だ。
モーターが協力しているっていう感じは無い。
無いけど、ちゃんと協力していて普通の1.5リッター並の走行感覚を作りだして、余った分は省燃費に振っているという印象だ。
試乗記なんかでは、フィット3のハイブリッドはスポーツハイブリッドで、とにかくトルクがあって走りやすくて、
しかも低燃費とあって凄く期待していたけど、
別にふつーだ。
いや、ちゃんとそれなりにトルクが出ていて並みの1.5リッター以上の加速感だったのかもしれないけど、
まあ、あいつらは騒ぎ過ぎだ。
速くしすぎるとバランスが崩れるから、余裕を持ってこの程度に抑えてあるんだろう。
いつも僕ばかりが運転している。
初代フィットを一目ぼれで購入した妻に、運転させてみる。
うちらはなんとなくハイブリッドカーの操作を知っているが、妻は初めてだったらしく、
ドライブにいれることができない。
ブレーキを踏んだまま、

これを見て凍結してた。
後ろに座って、後部座席の乗り心地を見てみる。
快適だ。
後部座席の足元は恐ろしく広い。
コルトプラスはシート座面が短く、相対的に足元が広い感じだったが、これを見たらその部分だけは別格だ。
3000cc級のFFセダン以上だ。
カヤバのショックを入れた初代フィットは純正よりも突きあげ感が少なく、かなりアダルトな乗り心地に変わったが、
名前こそ同じだが全く違う足回りに感じる。
トーションビーム式サスペンションで、何も問題がない。
トーションビーム式サスペンション、最高。
まだゴム部品も新しいからということもあるが、特に街中で使う限りスムーズにデコボコをいなす。

15インチのハイブリッドはノーマルモデルより100キロ近く重いが、そのバランスを取るために15インチが標準となっているのかな。
さて、次は一番安い1.3のガソリン。
燃費のアベレージは15.1って書いてあるね。
スカイアクティブエンジンに迫る、圧縮比13.5のアトキンソンサイクルエンジンに電磁クラッチレスのスムーズな走りだし。
知らない単語を並べて格好よさげだけど、ぶっちゃけ初期型フィットの分かりやすい加速感には若干負けている。
いや、負けているんじゃなくて、イマドキのアクセルペダルに比例した加速パターンに変わっているってことでしょ。
スカイガソリンの時もそうだったけど、ちょっとしか踏まない状態だったならばちょっとしか加速しない制御になっているので、そこだけを見ればこのクルマ、遅いねって思われる。
ふっふっふ、見抜いているぜ。
この制御に体が慣れれば、スロットル早開きの一世代前のモデルよりも、スムーズで上質な走りが手に入り、
ドライバーの疲労度も全く違うはずだ。

このシフトノブを見た瞬間、二人で安堵のため息。
ウチら二人は旧世代の人間だと笑った。
水温が上がって青いランプが消えると、赤信号でエンジンが止まる。
青になってブレーキを離し、右足にアクセルを置き直す間に、カンカンカンカンと早いクランキング音とともにエンジンがかかる。
個人的にはこれが大嫌いだ。
ハイブリッドカーは、スイッチを入れてから完全に巡航状態になるまでのガソリンエンジンのギクシャクしてしまうところをモーターがカバーしてくれる。
一番ギクシャクするところとは、信号が赤から青に変わって走りだすあの時だ。
あの時にクリープ現象を作りだし、スムーズに走りだしてくれる。
このためだけに、ハイブリッドカーを選ぶという選択肢が、僕の中では90%を占めている。
クラウンマイルドハイブリッドや、セレナSハイブリッドのシステムが、僕にとっては本当にツボだが、
まあいいや。
右上にあるのはアイドリングストップをストップする装置。
つまり、停止中もエンジンは回る状態になる。
先日ノートを試乗したとき、エンジン始動ボタンとアイドリングストップストップスイッチがハンドルを挟んで離れていることにイラっとしたが、
フィット3についてはその二つが近いところにあり、そこだけ見ればさすがと感じた。
走りだしはCVTが静かに仕事をしている。
少しだけ踏んでいる状態では少ししか加速しない。知らない人にはこの車は遅いと誤解される領域だ。
半分くらい踏めばエンジン音はそれなりに上がり、それに合わせて加速が始まる。
エンジン音に加速がついてきているかと言えばちょっと微妙だが、
CVTってもともとそういうもんなんだ。違和感はあるが、こいつはそういうものなんだ、納得して前向いて走れや!って言われているようだ。
Aピラーの角度が絶妙。

だけど、初期型フィットはこいつが太くてワインディングを走る時には、僕はボクサーみたいに頭を左右に振ることになるのだが、
こうして細く死角が少なくしてあると大変ありがたいと感じる。
14インチのテッチンホイールとタイヤ。

スチールホイールは強度が高く、万が一の大入力時にも割れたりせず凹んで対処してくれるために、
個人的には大好きになってきた。
スチールだからとバネ下の重さを感じることなど全くなかったし、乗り心地はハイブリッドよりもノーマルモデルの方がすっきりしていてはるかによかったと感じた。
飛ばした時のフラット感はきっちり作り込まれているだろう。
ネコ足ともシトロエンとも違うと思うが、とにかく全体でいなして気持ちよくデコボコを駆け抜ける。
結論。
フィットハイブリッドは良くできている!
走行感覚を普通にするために、見えないところで感じてないところで、ものすごい技術が凝縮されている。
プリウスみたいに、分かりやすいハイブリッドカーとしての演出は少ない。
ノーマルガソリンモデルも上等だ!
排気量こそ同じ1.3だが、キャパシタで充電制御をしてみたり圧縮比もこっそりやたら高かったりアトキンソンサイクルだったりCVTもロス少なく制御されていたり。
もちろん、後部座席に乗る人間にはどっちも全く変わらない。
今何に乗っているのか分からなくなるほどの広さと精いっぱい頑張った高級感。
クラスレス感。
大型車から、手軽なコンパクトカーに乗り変えるならば、
迷わずコレ買っとけ。
後部座席までは、同レベルだ。
ただ、後ろにでかくて偉そうなトランクがあるかないかの違いだ。
そういうレベルに達している。
コンパクトカーから乗り換えるならば、
迷わずコレ買っとけ。
斜め後ろに座ってる大蔵省を説得する、最高の選択になるだろう。
新しいモノが欲しいなら、ハイブリッドモデルがいい。
必要最低限の装備で、とにかく故障なく使い倒すなら1,3がいい。
もうちょっとトルクがほしいなら、1、5がいい。
ここから先は、初期型ユーザーのたわごとだけど、
初期型フィットの乗り心地、加速感、上質感を仮に1とする。
で、今回のフィット3のそれら進化具合を10とする。
全ての面で、1から10に進化している。
で、
とにかくコイツをぶっちぎりで選んでもらうために、
付箋だらけで真っ黒になった資料を抱えて汚れた作業着で、
真っ赤になった両手で更にデスクを叩き、
イスを蹴飛ばして額をぶつけて議論したのだろうが、
機械的にそれほどトピックの無かったフィット2は、
さっきの10段階のうち、7とか8あたりに居ると感じた。
数年前、フィット2を乗せてもらった時、同じ名前なのにものすごい進化をしていて
二人ウッキウキで走り回った。
フォルクスワーゲンのゴルフが5から6になった時、価格据え置きのくせに超絶進化をしていて、
6から7へのモデルチェンジで、実は更に更にすさまじく熟成されてきたのに、
哀しいかな、それがいまいち伝わらない。
そういう感じと言ってもいい。
初期型フィットの安っぽい感じが嫌、もうちょっと上質な、だけどサイズはコンパクトでと思うなら、
値引き無しでガンダムチックなフィット3よりも、
そこそこ程度のいい、カマキリみたいなフィット2を探した方が安くて早くて快適じゃないのか。
今日は疲れていたのかな。
乗った瞬間にハートをがっちりロックされて、何年も恋漕がれるあの感じは得られなかった。
まあ、こういう日もあるよ。