
さすがに格好いい!
文句なく格好いい。
中途半端に晴れてたりすると、またCX-5の時みたいに延々と待たされると思い、
今回はばっちゃばちゃの雨の中をねらった。
かわいそうに肩をいからせて寒そうにしている営業さんと妻をよそに、
一人で夢中になってディテールをチェックするアホ一人。
いかにもFF的なスタイルじゃなく、ノーズは長いしAピラーもやたら寝ているわけでもない。
この車のコンセプトカーを初めて見た時はFRかと思ったね。
リアウイングもないしルーフ上にアンテナもない。
いかにも的な空力付加物はなにもないけれど、この今時珍しいスレンダーなスタイルの前では、そんなものはどうでもよくなってしまう。
白い方が2リットルのガソリン。
隣のグレーが2.2リットルのディーゼル。
ガソリンは225-55-17インチ。ディーゼルは225-45-19インチ。
僕等を中で待たせてくれて、そのあいだ試乗車を暖気運転してくれていた。
・・・・・・・・・
正直、暖気運転なんてする必要ないのだがと思いつつ、ひとりそわそわして待つ。
営業さんが僕の挙動を見てクルマバカなんだと嬉しそうな表情。
乗って見た。
申し訳ないけど、内装の写真はなし。
シートが抜群にいい。
大ぶりでレカロシートに近いホールド感がある。これほどいい純正シートは初めてだと思う。
前後の調整、背もたれの角度の調整はもちろん、座面の上下の調整までついている。
座面の調整位置が最も高いところに設定されていて、乗りこむときにルーフに頭をぶつけてびっくりした。
もちろん、僕が乗るときは一番低くして乗る。
普段は低くし、腰痛になったときには座面を高くして乗り降りしやすいようにできる。
もちろん、小柄な方でもゆうゆうと運転できる。
正直、引っこ抜いて持ち帰りたいと思った。
ステアリングはモモジェットの雰囲気で、これまたいい感じ。
エアコンが運転席側と助手席側で別々の制御ができ、後部座席の前にもその噴き出し口がある。
この時点でこの車はアルテッツァなんかじゃなく、もう1ランクも2ランクも上の連中とやりあえる気がした。
なめらかなお尻具合もいいが、そのおかげで後部座席のアクセスは気を使う。
いずれこの車のワゴンが出る。
そうなれば後部座席の問題もないし、ひろびろとしたトランクルームが待っている。
2リットルのガソリンで走りだしてみる。
225-55ー17インチは路面のデコボコをそこそこ拾う。
CX-5で感じた腰の高さはない。
が、バネ、スプリング以上にスタビライザーが渋いような感触で、ほんの少しばかり頭が左右にゆすられる。
タイヤの空気圧をチェックするところまではさすがにできなかったが、空気圧が高すぎる気がした。
おそらく純正で2,4あたりだと思うが、2,2くらいまで落とせば、おそらくもっとしなやかになるだろう。
隣のディーゼルモデルは扁平率45の19インチを履いていた。
ガソリン車以上にフロントヘビーだから、スタビライザーもきっと太いしもっとスポーツカーっぽい雰囲気なのだろうと思う。
あっちの方が好きかも知れないと思う。
2リットルのガソリンエンジンが、いい仕事をしている。
ぐっと踏み込んで加速できなかったが、2000回転にさしかかるあたりですでに太いトルクを出していて、
踏み込んで高回転を使おうという気にさせない。
先日アコードの2リットルに乗った時、音はいいけどトルクが足りなさ過ぎて、たったそれだけで印象が悪かった。
それを思い出せば、モーターや過給機のアシストもなく1,5トンの重量をたかが2リットルの排気量で引っ張り、街中で平均燃費が11も走れば十分じゃないか。
もちろんバイパスや高速道路なら持ち前の空力ボディで矢のように走れるはずで、
これで十分だと思う。
アイドリンク時こそ不思議な音がしていたが、走りだすとエンジン回転の上がり下がりの「一番気持ちよく感じる」部分の音だけが聞こえてくる。
ステアリングの剛性感は抜群だ。
少しばかりその振動が伝わってくる。
路面の感触もステアリングに伝わってくる。
嫌味な部分が何もない。感触だけが伝わってくる。
あえて伝えるセッティングなんだと誰もが思える。
これはヨーロッパでヒットするよ。
伝わるってことが安心感につながっている。
オートマチックのミッションも、これまたいい仕事をしている。
変速は一瞬で常にエンジン回転がタイヤに直結している。
ツインクラッチのマニュアルミッションに乗ってみたいと思うけど、
目隠しをして、このミッションとアクセルペダルを並べて体感したら、多分違いが分からないんじゃないか。
デコボコ道を、非常にしなやかに走りぬける。
水たまりの上を走っても、ハンドルをそちらに取られるなんてまずないし、
遠くで水をかき分けてる音がほんのかすかにするだけで、とても快適に走らせる。
でも、多くの日本人が、きっとこの車のサスは固いと言うだろう。
いいからそのまま高速道路まで走らせてやればいい。
きっとその固さを見直すだろう。
気になるところもほんのささやかだが、ある。
エンジン、ミッション、サスペンション、タイヤ、キャビン、その他もろもろを全部バランスよく支えているボディ。
フロントヘビーでここまで大柄なFFで、環境対策のために軽量化も考慮して設計したっていうことで、
剛性感は十分なんだけど、余力がない感じ。
僕がアルテッツァのボディに眉をしかめて、あれやこれや過剰なまでに補強をして、その上で柔らかいサスで走っているのとはちょっと違う感じ。
ハンドリングはもちろんいいんだけど、さすがにアコードほどじゃないと思う。
なんだろうね。
少しばかりタイヤの空気圧を落としてやれば、大分印象は好転するような気がする。
19万キロのアルテッツァじゃ問題にならないとして、
申し訳ないけど僕の試乗の基準は、ホンダアコードと三菱アイによってものすごく高いところにまであげられていて、
加速力を除けば、全体のバランスはアコードの方がいい。
過剰に強靭なボディを贅沢に使って構築してある三菱アイのほうがいい。
・・・って思った。
難しいクルマだ。
・・・・・・
隣のディーゼルモデルにも乗ればよかった。
CX-5から察すれば、
ディーゼルモデルはもっとフロントヘビーで、それを踏まえたセッティングがされているはずで、
全体のバランスはガソリンモデルより絶対悪いはずだけど、あの鬼トルクのディーゼルエンジンの魅力(魔力)スパイスによって
それもまた個性だ!と叫ぶことができるかもしれない。
初代アテンザを試乗した時は、もっと大興奮して帰ってきたんだけどな~
やっぱり2種類のセッティングを一つのボディタイプで満たすっていうのは難しいのかな。
重箱の隅をつつくような感想なので、あんまり気にしないでください。