
10月23日。
サイドキックは帰って来ました。
文字通り「生まれ変わって」
ここまでの出来事があまりにも紆余曲折すぎたので、つらつらと書き記しておこうかw
・代替候補の価格がフラフラして定まらない!! 
買い替えか、エンジン載せ替えオーバーホールか…
予算の範囲内でどっちへ舵を切るか、慎重な判断が求められる時が来てしまった。
代替となり得る中古車両…黒のエブリィ走行78000キロ、ATFが律義に定期交換されていてメンテ状況良好のものと思われる。
だが、
これがなかなか値段が定まらない。
見つけたときの値段のままだったら有力候補だったんだが、掲載終了しないかわり「何月何日までの価格です(決済が条件です)」
期日更新されたと思ったら、なんと値段が5万上がった。
え、どゆこと?期間特価だったってこと??
タッチの差で、その掲出期間中に決済できる現金は手許に用意することは出来なかったわけで、
仕方ないのでもう少し価格変化の様子を見守ることに。
最終的に、10/8(水)に確定を出して、やるとなったらその日に持ち込みますという段取りを工場に宣言した。
・え、アクトってそういうやつだったの?! 
エンジン交換工事するならいっそリビルトで、と思っていたんですが
なんかヤフオクに大量に出回ってるんですよね、10万円弱のリビルトエンジン。
それは前々から知っていたので、それをアテにしておりました。
したら、ついったで
「ぶろ」氏が言うんですよ。
「リビルトにするんでしたら我らのア〇トで捨て身の人柱を」
…はて?なにやら聞き覚えのある社名…?

ああ!アクトインターナショナルってこのエンジンの出品者か!w
それにしても…ん?ヒトバシラ???
どゆこと??? 
訝しんだわたしは、ネットの海に答えを求めた。
するとまあ、出るわ出るわ 
粗悪エンジンの報告や検証動画の数々!w
え?なにこれ?ホンマにバラシて整備してんのかぁ???
やれオイルが漏れ出しただの、白煙吹いただの…
(エンジンばかりではない、エアコンコンプレッサーが瞬時に焼き付いて煙吹いたとか、
さらにはハイブリッド用バッテリなどはもう惨憺たるありさま)
どうもこいつはヤバいらしい。
これでは銭失いの本末転倒になってしまうこと、請け合いである。
まともなOHがそんな値段で出来るワケあるかよ…という、至極真っ当な結果なのでしたw
・あったぞ走行60000kmエンジン 
こうしてリビルトは早々に頓挫しましたorz
だって、たぶんこれならいけるだろうってエンジンは20万とかしますからね?w
では、いっそ状態のいい中古エンジンがあれば決行、なければ思い切って予算を組んで乗り換えではどうだ…と思ってたら
…渡りに船。

なんと60000km走行、圧縮実測12の上物が60000円で出品されているではないか。
予算対効果が最大となり得る組み合わせ。
サイドキックの運命は決まったようなものだった。
そしてすぐさまこれを落札し、
「工場へ直送しますのでエンジン類載せ替えでオーバーホール敢行します」と連絡したのは、期限2日前のことだった。
これで、もう引き返せない。ここに私は、サイドキックと一蓮托生の道を選んだのだ。
後日到着したエンジンを診て、工場長は一言
「どこも腐ってないな」(と言ってたとお姉さんから伝え聞く)
Gさんどこでこんなん拾ってきたん、やるでぇ…と言われてたという。
当たりを引き当てたらしい。
良かったぜ…
黒いエブリイ、縁がなかったな。7万キロ台の走行距離共々、機器類の状態は悪くなさそうだったんだがね。
・タービンが合わねえ!! 
さて、エンジン到着前にサイドキックは自力回送で工場に到着し…と軽くは言うが
(以前これでサーモ交換して落ち着いた、かのように思われたが)なんと途中でまたもオーバーヒート寸前症状が起きる。
水温計がレッド寸前、水温最大値116度。
見るとリザーバータンクの蓋がポンっと開いて、クーラントがまけまけいっぱい。
ああ…またやったか。
しかも前回は高速でそれをやったのだが、今回は高速を通らず下道だけ(但し一部峠越えあり)
その様子はまさしく「最後の力を振り絞って」工場まで走り切ったかのようだった。
結局、リザーバーに水が上がってラジエータからたまにポコン…ポコンと泡が出て、ラジエータキャップにオイルが付着している…というその状態は
「ヘッドガスケット抜け」の症状そのものだった。
1年かそこら前から、冷間時に負荷が掛かってくると軽い「ビュルルルー」という感じの笛吹き音がして、
(恐らくブロックが熱膨張してスキマが塞がり?)それが出なくなるととたんにグンと力が出る…という状況があったんだが、
これがガスケット抜けの初期症状だったんだろう。
どっちみち、このエンジンは終焉を迎える(か、あるいは面研やってフルオーバーホールする)運命にあったのだ。
ジッキアップして現車エンジンのタービンの現物を確認。
型番は「VZ48」。前期タービンだが後期にも混在しているらしい。
なので、型番VZ48を指定し、その場で落札し、発注。
ところが。
後日到着したのは後期型
「VZ56」
は?どゆこと?私表題のVZ48/56というのを見て「48で」って書いたよね?
商品説明をよく見ると、片隅にこう
「当社の在庫はVZ56です。前期型の場合は加工が云々」
…だったら商品タイトルにVZ48を入れるんじゃないよお前…orz
けっきょく、片手間の加工で付くものではないということだった。
だが工場曰く「最初から中古エンジンに付いてたタービンの状態は悪くないけど、どうする?」
…少し悩んだが、ここは付属していたタービンに賭けることにした。
尚、現車に付いてたタービンはどうでした?と訊くと
「ボロボロ」
の一言w 
ターボメーターを付けていれば、それは可視化されていたのかもしれなかった。
・結局いろいろしてくださって…
エンジンの降りた状態なので、可能ならステムシールなどのパッキンの交換を…と思ったが
「もうさすがに今からは無理やな…」
当然だろう。終業まで、あと2週間。通常業務と工場をたたむ準備を同時並行しながら、この車だけの面倒を専属で見てもらうわけにはいかない。
もう時間がないのだ。

だが、それでも。
診るものは診て下さり、交換できるものは可能なかぎり手を付けて下さったのである。
クランクシール、サーモボディ、カムカバーガスケット、等・々・など…
私が「主治医」と表現する所以だ。
工賃?ただでさえ良心的を通り越して商売っ気が感じられないような価格なんだ、喜んで追加しますとも。
けっきょく最終的に、簡易OHの領域に達した、60000kmのK6A。
くだんのアクト製リビルト?と、果たしてどっちが状態がいいのだろうかね?w
・一方そのころ代替候補だったものは…
なんとボンネットと屋根が塗り直されて帰ってきた!
そのかわり、また5万上がったww 
かと思ったらそこから5万値下がりしたり、どうにも定まらない。
どっちを選ぶのが良かったのかはなんともいえんが、確かに車検までクリアしての30万なら悪い条件ではなかったとは思う。
だが所持金の状態と嚙み合わなかった。
これも時の運、やはり縁はなかったようだ。合掌。
・受け取りの日
こうして、紆余曲折の末、サイドキック号の心臓移植手術は完了した。
二週間程度を見込んでおいてと言われたが、工事自体は10日で完了してしまった。
あんだけの工数を10日で…しかも閉店準備の忙しい時期に… 
この主治医をもうすぐ失うんだな。
では、いざ起動。

エンジン起動軽い。
アイドリングが静か。
走行音がぜんぜん違う。
ちょっと踏み込んだらタービン吠える。中古エンジンにおまけで付いていたタービンとは思えない。
エンジンの底力がすごい。
いままでだと3速に落とさないと維持できなかった速度が、おなじ燃料消費でO/Dのままぬるぬると上がっていく。
国道318号 鵜の田尾の峠道… 楽々と登っていく。
初めて借りたとき工場長の言ってた「本調子ならこんなもんじゃない」という発言の意味が、ここにきてようやく理解できた。
そうだ。
これが本来のK6Aターボの実力だったのだ。

これまでさんざん気になっていた水温は
最高水温95℃、きっかりその温度からすーっと水温が下がり、また上がるを繰り返す。
低速高負荷、つまり曲がりくねった急坂の山道で、時おりファンが回る程度。
ラジエータキャップもちゃんと熱い(その前はオーバーヒート寸前なのに手で触れる状態を確認できた)
ラジエータや水路の支障がなくて本当に助かった。いや、もしそこに問題があったら、施工中に親方が見逃すワケはない。
冷却系統、正常!
─本来なら、どこかの農家の敷地で草ヒロに成り果てていてもおかしくない世代の車が
今こうして往年の調子を取り戻し、力強い走りを披露している。
旧車乗りとはいわないまでも、それは相当にロマンを感じるものです。感無量。
──こうして、サイドキック号は生まれ変わりました。
あとは少しでも長く維持していかなければ。
まあ、昨今は年間の総合走行距離が1万㌔未満で、それを二台で分担しているので、それぞれの負担は軽く
両方が10万キロを迎えるころには自分も定年を迎えそうなところですが。
たまには遠出もできるといいな、サイドキック(相棒)。