y60のミッションに水が混入したいた為にフラッシングを兼ねて安いギアオイルを探していました。Y60のFS5R50A型ミッションは
ニッサン ミッションオイルMP‐G スペシャルGL‐4 75W-90(3.9L)が指定になってますのでAPIグレードは合わせようと思ってましたが、TOYOTA純正のハイポイドギアオイル(GLー4 85W‐90)が丁度ありこれにすることにしました。
粘度指数が狭くなるために低温時にシフトが渋くなるかな?と思ってましたが、もとともとFS5R50Aが渋い傾向があるのであまり気になりません。5速巡航時の駆動系の騒音も若干マシになったかな?という気がするのでちょっと固めのオイルも悪くはないと思いました。今現在日産純正で75W‐90のオイルは発売されておらず、前回入れたのは現在発売されている日産純正ミッションオイル75W‐85でしたので高速巡航時の油膜保持は今の物の方が設計に適合しているということです。
今回オイルを探すにあたってこのAPI規格のGL(Gear Lubricant)がよく分からなかったのでいろいろ調べてみましたが面白かったです。参考までにwikipediaの項を転載しておきます。そこで自分が面白かった、キーワードとなると思った点は太字で示しております。またそれに伴った私見も斜体で記しておきました。長いので時間があるとき、気になる方はご覧いただけると幸いです。
●以下
wikipediaより転載・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ギアオイルは潤滑する変速機の種類によって異なる性質のものが用いられ、主にマニュアルトランスミッションに用いられるものはミッションオイルやマニュアルトランスミッションフルード(MTF)、デファレンシャルギアに用いられるものはデフオイルと分けて呼ばれる場合もある。
ギアオイルは一般的には鉱物油が基油に用いられることが多いが、近年では化学合成油(en:Synthetic oil)が基油に用いられたギアオイルが登場している。全合成ギアオイルは近年の車両に多く使用され、従来の鉱物油系ギアオイルよりもせん断抵抗性に優れている。高い接触面圧がかかる歯車の表面を潤滑するため、このような条件下でも油膜が切れにくくする作用(極圧性)を持つ添加剤が配合されている。
この添加剤は
極圧添加剤(EP、en:Extreme pressure additive)と呼ばれ、硫黄化合物を主成分とする場合もあることから、しばしば硫黄特有のにおいを持つギアオイルもある。また、歯車表面の摩耗を低減するための耐摩耗添加剤(AW、antiwear additives)と呼ばれる添加剤も配合されている。特に、縦置きエンジン構成の車種ではデファレンシャルにハイポイドギアと呼ばれる種類のかさ歯車が用いられるのが一般的で、高い極圧性や耐摩耗性が要求される。こうしたハイポイドギアに対応したオイルはハイポイドギアオイルとも呼ばれる。
ギアオイルが用いられる装置の多くはギアケースに溜められたオイルに歯車の一部が浸されていて、オイルポンプを持たずに歯車の回転によってオイルがかき回されるだけの循環方法であるため、高粘度の潤滑油が必要となる。
しかし、粘度が高いと粘性抵抗(en:parasitic loss)が駆動トルクの損失となり、燃費の悪化や、変速機の操作のしやすさに悪影響を与える場合もある。そのため、変速機と差動装置を一体化したトランスアクスルでは、
粘性抵抗を減少させ燃費やギア入りを改善する目的で低粘度の油圧作動油(en:Hydraulic_fluid)やATF、エンジンオイルなどを用いる場合がある。同時に、オイルポンプによる圧送を併用するものが存在する
SAE規格
ギアオイルの粘度の表記はエンジンオイルに用いられるものと類似しているが、その数値が示す実際の粘度領域は異なる。工学的な区分であるISO粘度で比較すると、
例えばギアオイルで粘度表記が75W-90のものはエンジンオイルでは10W-40とほぼ同じである。マルチグレードのギアオイルほどこの傾向が顕著となる。これは両者の粘度表記を所管するSAE規格においてエンジンオイルの粘度はSAE J300、ギアオイルの粘度はSAE J306という異なる規定が用いられているためである。
GL規格
ギアオイルは米国石油協会(en:American Petroleum Institute)によって、GL規格が定められている。GL規格は6等級に区分され、数字が増えるほど添加剤の割合が多く、極圧性が増す。
API GL-1
軽負荷条件向け。無添加の基油で構成されており、時には抗酸化剤、腐食防止剤、消泡剤などの若干の添加剤が含まれる。GL-1はトラックや農業機械のスパイラルベベルギアやウォームギアを用いたノンシンクロメッシュのトランスミッション向けに設計されている。
BP社の資料 では、GL-1はレギュラータイプとして区分され、使用条件としては「低荷重、低速のスパーギヤー、ヘリカルギヤー、ウォームギヤー及びベベルギヤーに用いる」とされており、自動車向けの用途としては「自動車の潤滑条件を満足させないため全く用いられない」とされている6等級に区分。今日ではこの規格のギアオイルはほとんど販売されていない。
API GL-2
中程度の負荷条件向け。耐摩耗性添加剤が含まれており、ウォームギアを用いたデファレンシャル向けに設計されている。トラクターなどをはじめとする農業機械のトランスミッション潤滑に推奨される。
BP社の資料では、GL-2はウォームタイプとして区分され、使用条件としては「速度、荷重のやや過酷な条件下のウォームギヤー及び、その他のギヤー(ハイポイドギヤーを除く)に用いる」とされており、自動車向けの用途としては「自動車の潤滑条件を満足させないため、特殊な場合を除いてほとんど用いられない」とされている。今日ではこの規格のギアオイルはほとんど販売されていない。
API GL-3
中程度の負荷条件向け。耐摩耗性添加剤を2.7%含んでいる。ベベルギアやその他の種類のギアで構成されたトラックのトランスミッション向けに使用されるが、ハイポイドギアには使用しないことが推奨される。
BP社の資料では、GL-3はマイルドEPタイプとして区分され、使用条件としては「GL-1、GL—2レベルのギヤーオイルに不適当な条件下のギヤーに用いる(ハイポイドギヤーには不適当)」とされており、自動車向けの用途としては「トランスミッション、ステアリングギヤー及び条件の緩やかなディファレンシャルギヤー(ハイポイドを除く)に用いる」とされている。一部を除いて差動装置が存在しない二輪車のギアオイルとしても広く用いられるほか、
今日広く販売されているギアオイルの中では極圧添加剤が最も少ない規格の為、変速機の設計によっては四輪車のトランスミッションオイルとしても純正指定されることがある。
私見:ランクルのMTミッションはGL-3が指定の物があるが、これが設計によるものであろう。
API GL-4
軽負荷から重負荷まで様々な条件に対応。耐摩耗性添加剤を4.0%含んでおり、ベベルギアやハイポイドギアで構成された軸変位の小さなギアボックスやアクスルユニット向けに設計されている。ノンシンクロメッシュのギアボックスを搭載した米国製トラック・トラクター・バスでの使用に推奨される。また、ヨーロッパではシンクロメッシュのギアボックスに使用する基本的なギアオイルとされている。
BP社の資料では、GL-4はマルチパーパスタイプとして区分され、使用条件としては「ハイポイドギヤー及びきわめて過酷な条件下のギヤーに用いる。高速低トルク、低速高トルクに耐える」とされており、自動車向けの用途としては「ディファレンシャルギヤー、トランスミッション及びステアリングギヤーに用いる」とされている。自動車においては2WD車のトランスミッション、トランスアクスルの他、FRのリアデフ、4WD車のトランスファーや前後デフなどあらゆる用途に使用が可能である。
私見:y60のGL-4指定は標準的なギアボックス、高負荷の耐久性を考慮した選択ということである。日産のFS5R#0A系ミッションは固めのオイルの方がシフトフィーリングが良いと言う話を時々聞くがこれもミッションのシンクロを含めた設計を感じる。
API GL-5
過酷な負荷条件向け。耐摩耗性添加剤を6.5%含んでおり、軸変位の大きいハイポイドギアのために設計されたギアオイルである。この規格は機械的な変速機を有する全ての機器に対する普遍的な潤滑油として推奨されているが、
自動車用トランスミッションに関しては、極圧添加剤の部材に対する攻撃性の問題により、自動車メーカー<や変速機製造メーカーの特別な承認を得て純正指定が行われているシンクロメッシュ式MTでのみ使用することができる。GL-5規格のギアオイルのうち、さらにMIL規格のMIL-L-2105DかZF TE-ML-05のいずれかの規格に対応するものはLSDが装着されたデファレンシャルで使用することができる。この場合、API GL-5+やAPI GL-5 LSなどと表記がされることがある。
BP社の資料では、GL-5はマルチパーパスタイプとして区分され、使用条件としては「GL-4よりも過酷な条件下のハイポイドギヤーに用いる。高速低トルク、低速高トルク、高速衝撃荷重に耐える」とされており、自動車向けの用途としては「特に過酷な条件のディファレンシャルギヤーに用いる」とされている。
私見:ATF指定のギアボックスに一般のギアオイルを使用した場合に極圧材のシンクロへの攻撃の可能性がこの一節で予見できる。粘性の上昇による燃費の悪化は勿論だが機械的ダメージが懸念される。
API GL-6
極めて過酷な負荷条件向け(高速での摺動及び大きな衝撃荷重がかかる条件下)。耐摩耗性添加剤を10.0%以上含んでおり、軸変位が非常に大きいハイポイドギアのために設計されたギアオイルである。今日ではGL-5が十分に厳しい要件を満たしていると考えられているため、GL-6という区分はこれ以上は適用されない。
BP社の資料では、GL-6はマルチパーパスタイプとして区分され、使用条件としては「GL-5よりも過酷な条件のハイポイドギヤーに用いる。高速低トルク、低速高トルク、高速衝撃荷重に耐える。FORDの規格ESW-M2C105A(特にオフセットの大きいハイポイドギヤーに使用)を満足するもの」とされており、自動車向けの用途としては「非常に過酷な条件のディファレンシャルギヤーに用いる」とされている。元々この規格は米国フォード社のESW-M2C105Aと呼ばれる「特にオフセットの大きいハイポイドギヤ」での使用に耐えることを目的とした特殊規格であり、現在ではこうした特殊なデファレンシャルの採用が廃れて久しいためか、分類試験に使用する機材の調達が困難となったことが理由で新規の認証試験は行われなくなった。そのため、過去にこの試験をパスした記録を持つ歴史ある銘柄を除いては、現在市中に出回るハイポイドギアオイルにはこの規格が新規に記載されることは無くなっており、古くから存在する銘柄の廃盤や配合の変更などによって、徐々に市場からは姿を消している。
多くの近代的なギアボックスにはGL-4規格が用いられ、ギアボックスから独立したデファレンシャルケースにはGL-5規格のギアオイルが工場出荷時に充填される。ギアオイルにどの程度の添加剤(化学物質)を要求するかは、ギアボックスのメーカーにより差異がある。多くの日本製ギアボックスにはリン青銅(en:phosphor bronze)が構成部品に用いられており、ギアオイルの添加剤の中にはこうした材質に対して高い攻撃性を持つものがある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
MTにおけるギアの入りやすさは、
そのギアボックスの元々の設計のほかに、ギアオイルの粘度と油温が密接に関係している。
一般的に粘度の柔らかいオイルの方が作動抵抗が少ないためにシフトレバーの動作が軽くなり、硬いほど作動抵抗が大きくなるために動作が重くなりやすい。しかし、油温が上昇すると粘度指数も変化するために、柔らかすぎるオイルを入れた場合、高速走行などギアボックスが高温になった際に油膜切れを起こしてミッションブローを起こすリスクも増えていく。
また、前述のように停車したままでの暖機運転ではエンジンオイルの油温は上昇しても、ギアオイルの油温はあまり上昇しないため、走りはじめてしばらくの間はギア入りが悪いというだけの理由で安易に粘度を変更することは避けるべきである。
厳密にはミッションオイルもデフオイルも、油温計設置やケーシングへのサーモテープ貼布などにより、様々な走行条件下での油温を把握したうえで粘度を変更することが望ましいが、下記の簡易判定によりある程度の類推は可能である。
冷間・温間双方でギア入りが良い
概ね正常な状態である。粘度が同じでブランドを変更した結果このような状態になった場合には、そのブランドは交換前よりも高品質であったという事でもある。粘度を低粘度にした結果の場合には、この状態でも安心はせず、サーキット走行など極端に激しい用途で用いる場合には油温計を設置して状況を監視することも必要である。
走りはじめはギア入りが悪いが、しばらく走ると改善する
低温側の粘度指数がやや堅い傾向がある。85W-90などの場合には75W-90等の低温側粘度の低いものに交換してみる。
走りはじめはギア入りが良いが、しばらく走ると悪化する
高温側の粘度指数がやや不足している傾向がある。80W-90などの場合には80W-120等の高温側粘度の高いものに交換する。もしもギアオイルのみの変更で改善しない場合には、油温を厳密に測定し、判定結果によりオーバーホールか電動ポンプ及びオイルクーラーの設置も検討すべきである。
冷間・温間双方でギア入りが悪い
オイル交換履歴が不明の場合、本来75W-90等の柔らかめのギアオイルや、ATFなどの油脂の使用が指定されているギアボックスに、デフ用の#90シングルグレードなどの極端に堅いギアオイルが用いられていたり、或いはその逆のパターンなど、極端な粘度のミスマッチが考えられる為、まずは純正指定の粘度に変更してみる。それでも改善しない場合には油温を厳密に測定し、判定結果により油温対策か分解かの対応を検討する。
なおこうした
粘度のミスマッチは、前輪駆動やリアエンジンのトランスアクスルにLSDを組む場合や、この形式から派生した四輪駆動車の場合には、時として絶対に避けられない場合もある。前輪駆動車やリアエンジン車のLSDや、ある種のフルタイム4WD車の簡易式トランスファーには、多くはヘリカル式やビスカスカップリング式などの極端な高粘度・高規格ギアオイルを要求しない形式が用いられるが、モータースポーツ、とりわけラリーやダートトラックなどの用途上の目的で 機械式LSDを組んだ場合には、シフトノブの重さよりもフリクションプレートの保護を優先して極端に堅いギアオイルを使わざるを得ない場合がある事に注意が必要である。
GL区分の変更は、LSDに関連した部品交換を行った場合を除いては、純正指定からの極端な変更は行わないことが望ましい。一般論としてはGL-4にGL-5などの一つ上程度までの上位規格を入れることは問題が比較的少ないが、GL-5指定のデフにGL-3などの下位規格を誤って充填してしまった場合、極圧性が不足してギアの異常摩耗や破損など、差動機構の直接的な故障に直結しかねないため、安易に規格を下げることは絶対に避けるべきである。