かれこれ20年前の話になります。19才の頃、北海道のレーダーサイトで仕事をしておりシフト勤務の日々でした。大学に行きたいという希望があり休みの日は山から降りて札幌の予備校に潜り込み勉強してました。レーダーサイト勤務になる前、術科学校で無線の勉強をしていた際に同室に北海道出身の先輩がいらっしゃり仲良くさせて頂いておりましたが自分が術科学校を終了する前に退職され郷里の北海道へ戻られました。この先輩が予備校にいらっしゃったのもあり休みになると山から降りて予備校で勉強するのが楽しかったですね。
ある日先輩が美味しいカレー屋さんが有るから食べに行こうと連れて行っていもらったのが、札幌の商店街狸小路一丁目にある「デリー」でした。とても質素な感じのお店でしたがここのカシミールは本当に美味しかったですね。店主のカレーに対する情熱を感じその本当のカレーはこういう物なんだと初めて知ったのがここのお店でした。その店内に漂うスパイスの香りが北海道を後にしても残っておりました。
その後自分は制服を脱ぎ予備校生活、大学進学、医学部再受験失敗、留年、国試浪人、大学院進学となんともスムーズにはいかないのは私の車道と同じでありますがこんな感じで時は流れます。そして就職、結婚、親になりまた夜間学校に通う日々が始まります。この夜間学校の修学旅行で北海道に行くことになったのです。
最終日すすきの近くの雑居ビルでジンギスカンらしき肉を詰め込まれる時があったのですが、この時にふと思い出したのが「デリー」でした。こんなもの食ってられないあの店に行かねば!横に座っていた10才下の仲良くしていた同級生に耳打ちして「ここであまり食べるな。もう少ししたら美味いカレー屋に行こう。ただまだ店が残っていたらだけど。。。」というと彼は「是非行きましょう!」と話はまとまり皆が不可思議なたんぱく質をアルコールで流し込んでいる年下の同級生達を横目に僕の頭の中では自分が10代最後に通っていたあの薄暗いスパイスの香りが漂う店内にタイムスリップしてました。
そのまさに酒池肉林な現場を抜け出すと5月の札幌の夕方の風はちょっと肌寒いぐらいで、客引きをはじめようとする横を足早にすり抜け目指すは狸小路一丁目の本当に端っこの方に有るあのお店です。20年前はバブル真っ盛りでこの界隈もそうとう賑わってました。山の上と予備校潜り込みの時代の僕には余計に眩しく写っていた街並みはその当時に比べるとやはり様変わりしてますね。でも僕の心の中は当時の一番気力体力が充実していた当時の思い出が足を早く進めます。
「あと一本通りを超えると狸小路一丁目だ」と同行の物に告げあの店を目指します。「まだ有るだろうか?」昨今の不況で大丈夫だろうか?時間が経っているから店主が引退していないだろうか?いろいろ頭の中を想いが駆け巡ります。確かあの辺だったなぁ。。。。懐かしい再開となるか、現実を知ることとなるか。。。。
「有ったぞ!!」思わず声を上げてしました。
僕が19の頃と大して変わらない飾りっけのない店の雰囲気はそのまま。中はどうなっているんだろう!?ご主人はお元気かな?なんて思いながら本当に懐かしいドアを開けます。薄暗い店内からふわっと漂うあのスパイスの香り。何もかもが懐かしくタイムスリップします。落ち着いて店内を見回すとテーブルの配置こそは変わりましたが質素な感じの店内はそのままで帰ってきた気分ですね。
早速ラム肉の入ったカシミールを注文し当時の思い出話を交えながらあの味に再開するまでのひとときを楽しみました。暫くするとあのカレーが目の前に。。。。あぁ このカレーの色と香りとこのステンレスのお皿が目の前に現れます。20年ぶりの味は。。。。ふぅぅ この味だ。格別の味に思い出が重なりなんとも感無量な一時でした。そのカレーに入っていたラム肉最高でした。本当に美味しかった!先ほどのタンパク質とは別世界の夢見心地の世界が口の中に広がりました。同行の者も「これ美味しいですよ」と
満足そうな様子でした。
お会計を済ませお店の人に「ご主人いらっしゃいますか?」と告げレジ後ろの厨房の中にいらっしゃるご主人に「20年ぶりに来ました。美味しかったです」 と言うと「ありがうございます。 ようこそお越し下さいました」 と微笑まれたのが印象的です。
来年の春に大学の教授が退官されます。その記念パーティーが札幌であるので参加できるならばまた足を運んでみたいと思います。
食ベログ「デリー札幌店」
Posted at 2011/12/09 08:46:25 | |
トラックバック(0) | 日記