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イイね!
2018年11月18日

ロールセンター高について解説

栃木でのオフでたくさんの方にウチのヴィヴィオを乗っていただいて、多数感心の声を頂き、できればどこかで動態保存したいというオーナーの意向にも肯定的な意見がでたものの、現実問題なかなか難しい。

というわけで、ヴィヴィオが廃車になってしまったあとでも、せめてその理論というか、何が起こっちゃったのかぐらいは記録に残しておきたいと思い、本記事を執筆することにした。

一応書籍等を参考にしてはいるが、いかんせん素人の書く記事なので、細かい誤りなどあるかもしれないということは先に謝っておく。

なお、今回作成した画像について補足しておくが、新型車解説書内の構造図から確実に寸法のわかる個所として、ドライブシャフトハブ側のスプライン中心からハブボルト中心までの距離(50mm)を基準とし、おおよそ1ピクセル:1mmとなるようリサイズしたあと、トレッド間1220ピクセル(1220mm)となるよう反転画像を配置したものを作り、そこからリサイズを行っているので、画像内の距離感については実車と同じと思っていただいていい。

前置きが長くなってしまったが、ヴィヴィオのフロントサスに使われているマクファーソン・ストラットのロールセンター位置の求め方は、まずストラット軸と直角方向に線を引き、その線とロアアーム取付角度の延長線との交点を求める(交点を画像内に収めると非常に横長になってしまうので、説明画像ではトリミングしている)。
そして、その交点とタイヤ接地面の中心点を結んだ線を左右それぞれ引くと、その交点が静止状態でのロールセンターとなる。
このロールセンターという物は、車がロールして左右のサスが伸縮するとその位置も連続して変化していくが、そのあたりを説明していくと非常にややこしくなるので、今回は静止状態だけを考える。

まず、ノーマル状態はこんな感じである。

(図中の水色線は、比較のためにロアアーム先端同士を繋いだものです)

ここでは画像の下端を接地面と仮定しているが、そこからロールセンター中心までの距離は元の画像で127ピクセル=127mmであった。

では、ここから車高を15mmアップするとどうなるか?
車高が上がる場合、ストラットの頂点とロアアームのボディ側は固定されているので、ロアアーム先端が下方に移動することになる。
したがって、画像内でロアアーム先端の点と、それに連動して動く接地面中心をそれぞれ15ピクセル(=15mm)ずつ下に移動してみたのが下の図である。


どうだろうか?
ロアアームの移動量は、わずかにボールジョイントのボール半分ぐらいである。
にも関わらず、ロールセンター位置は大きく上方へ移動しているのがお分かりいただけると思う。
この状態では、接地面中心からロールセンターまでの高さは174ピクセル(=174mm)、つまりノーマル状態から実に47mmもアップしている。

勿論ボディが持ち上がっているわけだからそれに伴って重心高も上がっている。
しかし、仮に車高の上昇分だけ重心高が上がったとしても15mmである。
実際の重心位置にはバネ下の重さも関わってくるため、ボディが15mm上がっても重心高は15mmも上がらない。
つまり車高を上げるとロールセンターと重心が近づくのだ。
逆に、ロアアームがバンザイするほどローダウンしてしまうと、ロールセンターは地面より下まで下がってしまう。
車の重心を地面より下に下げるなんてことは物理的に不可能なので、ロールセンターと重心の距離は大きく離れてしまう。

ここに「低重心」という言葉の落とし穴がある。
確かにローダウンすれば車の重心位置は下がる。
ただしそれは「地面に対して」である。
車をロールさせる力、ロールモーメントは「(重心にかかる力≒遠心力)×(ロールセンターから重心までの距離)」で決まる。
重心が下がっても、ロールセンターとの距離が離れると、逆にロールは増えてしまうのだ。
そのため、増えたロールを押さえつけるために固いスプリングやスタビライザーが必要になり、乗り心地が悪くなり、車重が増えて加速や減速にも悪影響がでる。
車重が増えれば当然遠心力も増え、結果更にロールが増える悪循環である。

逆に、重心が上がったとしてもそれ以上にロールセンターが上がれば、ロールは減る。
更にそこから軽量化したり、重量物の位置を下げたりして重心位置を下げていくチューニングをすれば、重心位置とロールセンターはどんどん近づき、ロールモーメントはどんどん小さくなっていく。
車が傾くからスタビライザーなんてものがいるのであって、そもそもロールしなければスタビライザーなんてものは要らない。
スプリングも柔らかいままでいいから、ロールを抑えつつ路面のギャップで跳ねない足になる。

これがウチのヴィヴィオの秘密である。

大事なのは「地面から重心までの高さ」ではない!
「ロールセンターから重心までの高さ」なのだ!
例えどれだけ重心が高くても、ロールセンターが重心高と同じなら、理論上全くロールしない車が出来上がる。
ただし重心が高すぎればコーナー外側タイヤの接地面を支点として、てこの原理で内輪が浮き上がってしまうが…。

このように、マクファーソン・ストラットに限って言えば、ロールを減らしたければ、ローダウンより先にバネ上の軽量化&マスの集中化を行うべきであるというのが私の見解である。

勿論「見た目が一番大事だからローダウンするんだ!」という方を私は否定しない。
しかし、サスチューニング=ローダウンという安易な考えでローダウンしたり、「なんかこのパーツ、社外の強化品があるらしいから交換してみよう」と思う前に、一度立ち止まって「自分はこの車で何がしたいのか?この装備は本当に自分の車に必要なのか?」ということを考えてみてほしいと思うのである。

長々と読みにくい文章を書いてしまったが、この記事がチューニングという薄暗い裏通りに点在する泥沼を回避する助けになれば幸いである。
ブログ一覧 | ヴィヴィオ | クルマ
Posted at 2018/11/18 22:44:33

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「一時期、車のカタログを集めるのにはまってた時期があったんですが、コレクションの中でも相当レアだろうなと思うのがこの2台ですね。ラ・セードはカタログ自体が600円(!?)だったし、ガライヤは結局販売されることは無かったので・・・。」
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