ジャガーは壊れるんだって@ひでエリです。
あけましておめでとうございます、みんカラ界のみなさま。
今年も皆様と同じ世界線で生きていきたいと思っております。リアルはさすがに真面目に仕事し始めないとまるっと2年夏休みだったんでね~、とは思っています。えーと仕事はしてはいるんですが、完全省エネモードで全くまじめにやってないので、渋谷時代の1/2くらいの力は出したいと思っています、今年は。
はい、思っているだけですけど。
ところでジャガーが壊れるのは知ってるわ。
英国車で壊れないクルマとかあるんなら知りたいわ。
母は四六時中Youtubeをみてソロキャンパーのヒロシが昔ジャガーに乗っていたことを聞き、そういう話をしています。
黒メルを買うときに実は白ジャガーを買うつもりだったんです、ええ、嫁さんが唯一割と好きな外車ということで。
そしたら蓮仲間の人たちから
「全力で背中を押された」ので止めました。
ええ、間違いなくネタを欲してた顔だったんで。
そして、亡き父が小金を持った時に最初に買った高級車?がX30型2600ccグランデのジャガーオマージュのマークⅡでした。彼にとっては初めてのATオーナーでした。そして駅前交差点でクラッチ踏むつもりでブレーキ全踏みかまして急停止。人口が少ない町で良かったです、後続車はいなかったため追突事故には至りませんでしたが、まったく思っていなかった場所での急ブレーキはシートベルト着用義務がない時代に後席に乗っていた従妹がしこたま顔を前席に打ち付けるくらいのアクシデントはありました。父は真っ青な顔をしていましたが、良い薬になったのかもしれません。
さてそんな話はおいておいて、一部の読者の方からマンガやってくださいというありがたいリクエストがありまして、毎日の2時間近くをマンガに突っ込んでいて、もはやマンガをブログに起こしている暇すらない状態の私が厳選した100%個人の好みで選んだ珠玉のマンガをご紹介します。
熊本県天草出身筑波大学芸術専攻、高浜寛(たかはまかん:女性)センセの長崎3部作です。
1.ニュクスの角灯(1-6巻完結)
2.蝶のみちゆき(1巻完結)
3.扇島歳時記(1-3巻続刊、たぶん4巻で完結)
です。
まずもって九州出身で母の郷里である天草出身(要は私の祖母は天草本渡の人で今でも本渡にはたくさんの親戚がいます、そして私は熊大出身です)の方が、長崎の話を描くという点だけで既に2割増しな親近感を勝手に覚えます。
が、2割の上を行くレベルでマンガの完成度が高いです。
出版順は2→1→3の順で、「長崎三部作」と勝手に私が評したように、すべては長崎出島と丸山遊郭まわりに関係した話になっています。
話の主人公は全て異なるのですが、登場人物が絶妙な関係で重なり合っており、世代の人には分かる強敵のときにゾフィーが助けに来てくれたり、ライダー1号がさっそうと現れたりする感じで身もだえします。
と書いたところで違うなコレと思いました、酔って書いたらいかんな、忘れてください。
1.ニュクスの角灯(ランタン)
長崎で身寄りを無くした美世が主人公です。
美世はフランス人ハーフ百年(ももとし)に思いを寄せ、彼の輸入雑貨屋「蛮」の手伝いをするようになりますが、今の時代のハーフとは違い、場所柄遊女や「先進的な女性」が結果としてハーフの子供を産んでしまう時代。
百年にはヴィクトールというフランス領事館の息子の友達がおり、彼と一緒に輸入雑貨屋を長崎とパリの双方で始めます。
百年の母は歴史上の人物である「大浦慶(おおうらけい)」です。
彼女は日本茶の貿易で一財産を築いた長崎の女傑です。そして彼女を支える百年の継父親役の岩爺がいい味を出しつつ話を支えます。
美世は主人公ではあるのですが、気持ちが弱く、親と死に別れて叔父に引き取られているためか、自己主張が上手くできません。
そんな彼女が世の中にもまれて百年にフラれ、しかし百年のフランス人遊女の彼女に光を与える「角灯」のような存在になる、という話です。
と書いておいて、うーん、そういい切っていいのか悩みます。
百年がフランス人の恋人ジュディットに思い悩む尺がたいそう長いのです。
もしかしたら百年が主人公、といってもいいのかもしれません。
SWにおけるアナキンとか、ガンダムにおけるシャア的な立ち位置です。
主人公である美世の成長を描いた話であるはずなのですが、読了感としては脇役のキャラが立ち過ぎていて、もはや主人公だけではこの話の世界観を表現することは無理になっています。まあ作者は分かっていたでしょうし、リイド社もお分かりだったのか、次作をだすことになります。
2.蝶のみちゆき

長崎の丸山遊郭の話です。東京の吉原と並んで有名だった長崎の丸山遊郭でのお話。
主人公は几帳(きちょう)。彼女は一度、身請けをされながら、丸山に戻ってきたという過去を持ちます。
彼女の禿(太夫衆(たゆし)の付き人の水揚げ前の娘)に「たまを」。
この几蝶と漢方医の息子健蔵、出島の蘭方医トーン先生を中心に話は回っていきます。
何故、身請けしてもらったのに、また丸山遊郭に戻ってきたのか、という点が今作のポイントなので、そこは外して書くことにします。
で、いきますと、ともかく几帳が美しい。
白黒なのに匂い立つ色香というか、純粋な几帳のエロスの表現が素晴らしい。
遊郭なのでもちろんそういう場なのですが、直接的な表現はなくても間であったり、やり取りの中で表現される微妙なやり取りが大人な雰囲気です。
エロ漫画万歳な厨二のやつらには分からない、美しい表現なのです。
女丈夫の大浦慶も欧州に密航し、痛い思い出を作って帰ってきます。
トーン先生は几帳の紹介で健蔵の父を懸命に看病しますが、たぶん症状的にリアルマイ父と同じ良性の脳腫瘍だったのでしょう。
ゆるゆると進行し、令和の現代でも手の打ちようがない病気では大正?では無理です。健蔵の父の死を起点にトーン先生と几帳の関係は壊滅的に瓦解し、すべてを知った健蔵は几帳に戻って欲しいと懇願しますが、几帳はすべてを知ったうえで...
3.扇島歳時記
一転して前述の禿「たまを」が主人公です。
少し時代が1部からさかのぼっており時まさに明治維新、1部のニュクスの登場人物、百年やヴィクトールが10代の子供です。たまをの大きさから時代としては2部と同じだったのだというのがわかります。が少し過ぎたところか。几蝶はでてきません...。
明るくはつらつとしている「たまを」は丸山遊郭や出島の人々におたまと呼ばれ、いろいろな人に慕われています。ヴィクトールはおたまに淡い恋心を抱いています。ニュクス最終盤でヴィクトールが日本に帰るシーンがありますが、それはおたまに会うためです。
おたまは下働きも一生懸命にやり、14歳で水揚げどころか「赤いおしっこ」もまだな年頃です。
しかし彼女は丸山遊郭の遊女が母であり、帰るところすらないのです。
この強い伏線すら充分に使わずに話をもっていく作者の力が凄い!
私だったらこの伏線だけで1冊かけそうな気がします。
とまあ、私の話はおいておいて、ここでは百年の母である大浦慶もまだ40代の女ざかり。百年に対しては自分が母であることを伏せて、元使用人である岩爺に父親代わりの里親をやらせています。
たまをが主人公なのですが、ここでも作者のサブキャラ無双趣味が出てしまい、このシリーズでは1部で活躍した彼、「岩爺」が強キャラとして出てきます。
キリシタンである彼は幕末から明治初期において隠れキリシタンとして捕まっていく同胞たちに対し、自責の念を持ちつつ息子代わりである百年を育てなければならないという理由で信仰を隠していいという理屈そのものに矛盾を感じ、すべてを洗いざらい吐き出したうえで同胞と同じように捕らえられ処罰されることを望んでいました。
牢獄につかまっている彼の友人、流刑になることを聞いていてもたってもいられなくなりますが、前作の蘭方医トーン先生の弟の宣教師に諭され、明治維新後も邪宗扱いのキリスト教に帰依したまま隠れて生活を重ねることになります。
時は戊申、西南戦争直前の明治。
長崎鎮守からも政府側の義勇兵として岩爺の知り合いが出兵していきます。
というところで最終巻(予定)の4巻に続く、です。
====
全編通して、独特の上手いマンガといっていい絵柄でまとめてきます。
ニュクスから扇島まで10年近く経過していると思いますが、もちろん絵は上手くなっているのですが、なんだか芯の部分が変わらないので全く時間的な違和感がなく読み込めます。
むしろ2部の「蝶のみちゆき」がいまのところ一番絵が美しく、この辺に作者の懐を感じる次第です。
絵も必要充分なのですが、このマンガのコアはこの「ザ・日本の夜明け」的な時期の長崎をリアルに切り取って表現するという手腕ではないでしょうか。
ともかくネームが素晴らしい。
単行本では話の間にコラムが載るのですが、それもたいそう勉強している背景が垣間見え、非常に好感度が高いです。
キメツのように主人公をドンと据えて、サブキャラを描きこむという手法ではなく、むしろ主人公はやんわり決めておいて、好きなキャラを好きなだけ描きこんだらこうなった的な印象を受けます。
現熊本県天草地方は地政的に長崎(藩)だったことがあったようで、熊本よりも長崎に気持ちが近いのか、高浜さんの長崎への思い入れが伝わります。
大分県はそのほとんどが「豊後藩」なのですが、北の中津市(私の居住地)は「豊前藩」なんですよね。文化圏、言語圏的にも大分よりも北九州を強く感じる土地柄です。気持ちは個人的にすごく良く分かります。
大分は豊後豊後言われると「は?」的な心境になります。
ああ、こういうところで「県庁所在地コンプレックス」とか「メジャーなどタヒねばいい」的なニッチ志向が培われたのかもしれないと今思いました。
新年早々、こんなブログでよかったのか良く分かりませんが、ザわたしな感じのスレとなりました。
2022年もどうぞよろしくお願い申し上げます。