2014年09月19日
車の調子のピークとヤレ、そして飽き。その他いろいろ。
車の調子と言うのは、「購入時点から売却もしくは廃車するまで同じ状態であることは全くない。」というのは少し考えれば分かることだけど、できればよい味を末永く楽しみたいと思うのが普通であろうと思う。
経年変化の振れ幅については、車の作りこみの如何によって大きく変わる。それはペーパー上の設計の上手下手から始まり、シャシーや部品の素材の選択、それらの組み付け精度でも変わってしまう。
ずいぶんと長いこと(自分にとっては)所有している2006年式3.6ℓの997カレラについていえば、記憶している限りでも結構な乗り味の振れ幅があった。
例えばエンジン。新車当時は回転が重くて固くて不思議に思ったものだ。ところが1万キロを超えるころから少しスムーズに回り始め、それから一本調子で調子が良くなっていっている。10万キロを超えた現在、最も調子が良いと言えるかもしれない。ただ、振れ幅に故障の有無を含むのであれば、こいつは何回か本体をばらす故障をしているから、その度にOHをしているようなものだと考えると、10万キロ一本調子で良いとは言えないかもしれない。
ボディに関していえば、一番変化が少なく感じるポイントだ。
しごく様な運転はしないし、今まで1度もぶつけてもいない。おそらくヤレは相応に進んでいるはずなんだけど、それを感じることは一度もない。スチールの特徴=ヤレがある一定のところで止まる(もちろん所定の溶接をきちんとされていれば)、ということを考えれば、こうゆう風に感じるのは当然かもしれない。
余談だけど、アルミボディの開発について、VW社内ではPorsche開発陣の理論的な反対が数多くあり(彼らはグループ内で開発パワーのマジョリティになりつつある)、今後、彼らがどのようなオファーをマーケットに提示するか興味深いところではある。確かにアルミはリサイクル性に優れており、資源量も鉄よりはるかに多い。アルミの原料は簡単に言えばそこら辺にある砂だから…ただ、素材特性から耐久消費財には向いていないかもしれなく、特にポルシェのように残存率が高くて修理される割合が高い車両はスチールのほうが向いているのかもしれない、と思う。もちろん5-10年で廃車にされる量販車種ならアルミでもいいと思うが。
足回りとタイヤ。
997の足回りリフレッシュを終えてちょうどあたりが出つつある今日のこの頃、これが一番厄介だなと感じるのは、その劣化の寒暖差が大きいと思うから。
新車なら1万キロ前後から3万キロあたりまでの美味しい時期の感触が蘇ってきているゆえ。
まずタイヤだけど、今回4輪とも買い換えているし、メーカーさんのご厚意で工場出し出来立てホカホカのタイヤを装着することができた。
装着して路上を走ればグリップの高いこと高いこと…路面に噛みつき、まるで首都高のカーブで首が持っていかれるようだった…。だったと言うのは、現在は買い換えてから5千キロほど走っているけど、残念ながら最早そんなことはなく、普通のハイグリップタイヤの感触に落ちている。
タイヤの溝は、フロントとリアで寿命は違う。普通の走りでアライメントがきちんと出ていれば3万キロ前後は持つとは思うけど、足回りが期待するグリップは精々0.5~1万キロであろうと思う。
ダンパーを含む足回りについては997では開発者の意図する動きを担保できるのは精々4万キロを切るくらいまでではないだろうか。それ以降何もしないならば、ほんとに変な動きになってくるに違いない…というか必ず感じるはず。こんなはずじゃないって思うはず。普段動かさない人は、それが原因でその半分以下かもしれない。
これらの要因が上手いこと良い状態を発揮している現在、たいへん気持ちの良いドライブを毎日しているわけだが、リフレッシュに大枚をはたいて手にした愛車の足回りの調子を測るメジャー…それはガソリンの量による変化を走りから感じることができるかという点(笑)。これが分かるうちは各部分がベストに近い動きを発揮している証拠かと…まあ、笑い話の類と思われる方も多いはず。
フロントの燃料タンクには65ℓのハイオクガソリンが入っているから、その重量がかかるフロント方向への荷重は0kg(空)から約45kg(満タン)まで変化することになる。911に乗っている人ならわかると思うけど、無視できない重量の変化だ。以前、やけにフロントのグリップが良くて不思議に思っていたら、フロントトランクに20kgほどの荷物を入れたままにしていたことがあった。
ガソリンの量は車全体のファクターのうちでもっとも寒暖の差を発揮するサイクルが短い要因だとおもうし、それを感じることが出来ないというならMY997にはなんらかの不正規な動きがあると考えることにしようと思っている(笑)。素人の雑談だから真に受けないでね…。
結局、こういう味の経年変化はめんどくさいどころかクレームに発展しかねない話なので、それにそんなにシビアなセッティングは多くの人が求めないので、殆どのメーカーは車自体を最初からぼんやりとした車として作っている気がする。はなからぼんやりとしていれば、ボンヤリ度が多少多くなっても気にする人はいない。でもスポーツカーは違うし、ポルシェのスポーツカーはそうであってはいけないと思う。
997が劣化ゆえに何だか思った通りに走ってくれないなぁ、こんなもんだったかなぁ、と思う瞬間は何度かあって、もう寿命かなと思った時さえあった。足回りの交換前なんか、まさにそうだ。そういう時に他社の新車や新車に近いデモカーを乗ると、こっちの方がいいのではないかと感じてしまう。バカにされる話だけど、リアだけ新品のタイヤに変えたときなんか、プッシングアンダーみたいになっちゃって、疑問符だらけになった時もあった。
どうして手放さなかったかというと、みんからで足回りリフレッシュの記事を拝見したことを思い出したこと、あの気持ちのいい瞬間が蘇る可能性にコストをかけても良いかなと思ったことがその理由。
結局、車に飽きる一因の一つは車の劣化ではなくて「消耗品の問題」なのではないかと思う。車自体が消耗品と思う方もいるだろうが、数百万の機械式時計を消耗品と捉える方は殆どいないと思う。時計はOHするから、欲しい車が別になければ、一度でもその車のよい瞬間が記憶に刻まれたならば、多少お金を使ってタイヤとダンパー位、新品にしてみたらどうかと思う。良く作られた車ならば殆ど新車みたいになるはず。
勿論、中古で買うなら状態にもよるけど、自分ならそうするかな。もちろん初期性能を知りたいので純正部品で組むに違いない。
最後に追加のお話を一つ。
足回りのリフレッシュを実施した我997だが、どうしてもある一定の状況だけ納得がいかない状況が発生していた。リフレッシュ後、どうしても気になるのでPCに持ち込み精査をした、交換した各部品は正常な状態であり、中々原因が見つからない。メカさんと相談して初心に戻ってホイールバランスから確認しようということになり、確認したところPCが許容する調整範囲の3倍近くずれていた。
これ、大手のメーカー系のタイヤショップで交換したものだが、アライメント調整用の鉛を貼る位置がポルシェが指定する位置には貼られておらず、その場所も量も違う故、不具合が発生したと判明した。
車の調子を整えるのはかくも難しい。
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ポルシェ メンテナンス | 日記
Posted at
2014/09/19 16:47:56
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