”1978年から1983年にかけてエンジンの排気量は2リッターからSCモデルの3リッターに拡大され、1989年までに3.2リッターまで達しました。トランスミッションは1速追加して4速から5速に、名称を915からG50へと変更しました。サスペンションは改良され、タイヤは幅広くなり、価格も為替レートの変動に合わせて徐々に上昇しました。それでもジャーナリストはシュトゥットガルトの近郊にあるシュヴァルツヴァルトから言葉を借りて、911をこう呼ぶことにしたのです。エバーグリーンと(引用:ポルシェの70年より)。”
"Der Schwarzwald"
911の歴史は「変えてはいけないものを変えていく歴史」であったともいえる。
ほんの少しだけ例外はあったけど、変えてはならない要件はRRの2+2レイアウト、フライライン、丸目のヘッドランプ、そして十分なヘッドクリアランスだろうか。
時代の変遷と共に徐々に大きく、そして速くなっていったけど、それでも深い愛情の発露として「エバーグリーン」と語りかけるに相応しい存在であり続けたように思う。
ドライバーから見れば911という車は、歴史的に極めて内面的な車だったと思う。
派手な外観や聴衆を虜にする快音も無く、富を象徴するほど高価格でもない。
すなわち外部に対するアピールとして使う装飾品としては効果が薄かった。
その一方で乗っている本人だけは純粋な運転の楽しみに浸れるという点で右に出る車は無い車でもあった。
992を最初に試乗して、良く出来たと車と思いつつもすっきりしないというか、モヤモヤした感じが残って、消化不良となってしまった。
そこでもう一回試乗をお願いして、その原因を探ってみることにした(もちろん、すっきり腹に落ちれば購入の可能性はある…カブリオレだけど)。
試乗した車は乗り出し2400万を超えるオプション盛り沢山の車だった。
営業さんから鍵を渡され1時間ほど好きに走ってきてよいと言うので、遠慮なく街に繰り出してみる(いつもありがとうございます)。
相変わらずエンジンからトルクをたっぷりと供給されるシャシーは、安楽で静かで快適で速い車内を成立させている。
空いた路でアクセルをぐっと踏み込むと、ほんの僅かなターボラグをドライバーに感じさせつつも、一直線に盛り上がるパワーは軽いとは言えなくなった車重をものともせずに加速させていく。その様はやはりターボエンジンといって良いだろう。
それなりに走り回ってみたけど、日中の都内の環境ではRRっぽい素振りは全く見せない。
991シリーズ全般もそうだけど、この車の場合はそれをさらに上回る。
RRっぽく走るためには街中では到底無理なはず…それにしても自分が知っている「911感」とは程遠い。何を意味するかと言うと、どんなに走り込んでもあの「フロントタイヤに両手が、リアタイヤに両足が直結されている」ようなダイレクト感には結び付かないだろうということだ。
最近の車にありがちなというか、車がドライバーに忖度しすぎな味付けというか…前回と同じように、911の出来が良すぎて何に乗っているか分からなくなるというへんてこな状況に陥ってしまう。
ちょっと降車して外観を眺めてみる。
大きく拡張されたフロントトレッドや、平べったくなったフロントデザインは上手く派手さを演出している。そして盛り上がった瘤の如く巨大化したリアセクションはマッシヴな印象を確実にしている。
そして車に乗ろうとするとニョキっと飛び出てくるドアノブを見るに、昔のエンジニアだったらここにモーターを載せる重量と複雑化する構造を嫌っただろうなぁと感じる…いずれも911の伝統からは限界ぎりぎりと言ったところに立っている感じがする(もしかするとこの構造の方が軽くて単純なのだろうか)。
はっきりと分かるのは、古の911の要件定義の殻では新技術や年々厳しくなる安全基準を抱えきれないということだ。911のボディシェルを様々な要素がパンパンに膨らませていて、弾けんばかりになっているようにも感じる。
そうなるとポルシェの本音は、いつかの様にRRやフライラインなんて邪魔でしょうがないのだろう(リアのハイデッキ化はかなりすすんでいるので伝統ラインはもはや風前の灯火だ。これ以上行くとHBになってしまう)。
結果的に、992は”アンダーステートメント”なんて言葉は似合わない位に成長してしまった。
あとは値付けの成長についても言わなければならない。
991.2GT3を大きく超える値付けなんて、自分にとっては高い安いというよりナンセンスに感じる。
走り好きでこの車を購入できる財布があるなら、なぜマクラーレンを選ばないのだろうと思うのは余計なおせっかいと言うものかもしれない(残念ながら992は”快適装備と+2シート”を除いて570を凌駕したとは言いにくい。この価格帯となると走りはMcが抜きんでている。720Sなら遥か高い空の上のレベルかも)。
それに自らが気付いたのか、営業店からの猛烈なフィードバックがあったのかは知らないけど、スタンダードモデルは装備の標準化を含めると、なんとか納得できそうな値付けのような気がする(良顧客なら支払額の調整もしてくれるだろうし)。
走り云々以外の価値観で992を選ぶなら…自分は全く興味のない分野だが…McやFをチョイスする方が目的に適うだろう。
さて、どうしようか…。
自分にとって最新のMT車を追求する旅は終わりを告げている。
992は自分にとって「エバーグリーン」とは言いにくい。
自分の所有する991だってそうとは言えない。
DCTを受け入れる気持ちは芽生えてきた。
ミンともさんに納車された素晴らしいナローには心惹かれるものがある。
あとは、車に対する熱が盛り上がってくるかどうかなんだが、それはいつのこととになるのやら…。
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