9月末頃、大阪のAMG SHOさんからメッセージをいただきました。
R230後期SL63AMGを後期65仕様にされておられ、内外装は65になっているがメーターが320km/h、タコのロゴが6.3V8なのが気になります・・・何とかならないでしょうか。
というご相談でした。
私が230のメーターを弄り捲くっていた頃は怪しげなドイツ人が後期メーターのパネルや前期65メーターのパネルを手配してくれていたのですが、去年あたりから音信普通になりましたTT
恐らくもう在庫がないのでしょうね^^;
後期65メーターの中古品などまず出てくることはありませんので、やるなら新品をバックオーダーするしかありません。
で、新品メーターをオーダーすることになりました。
このところ230パーツの新品在庫が続々と生産終了&在庫切れしている中、
セントピアK社長に探していただき奇跡的に65新品メーターを入手することができました♪

新品メーターを拝めたのは以前運送中に宅配業者が落下事故を起こして以来です(爆

おお!
新品だけあって素晴らしく綺麗です。
こんな高価な65メーターを購入したのは日本でも1人いるかいないか・・・(笑
AMG SHOさんの気合いが伺えます^^

63メーターとの違いは、
MAX360km/h
240km/h以降が不等ピッチになっていること、

タコのMAXが8000rpm→7000rpmになっていること、
あとV12 BITURBOのロゴですね。
ニードルスウィープは8時スタート、16時リターンで63、65ともに同じです。

新品メーターですのでもちろん未改造で装着し、コーディングを入れてODO表示も可能ですが・・・
それだけならメーターのセットアップ経験が豊富な工場で施工可能です。
後日談ですが私に依頼されたのは理由があったそうで、私が作製した6時スタートニードルスウィープ仕様のメーターを装着していただいているみん友さんのブログを拝見されて「これはどこのショップが施工しているのか?!」とかなり調べられたそうです。
結果、ただのド素人の施工だったことが判明(自爆
あるものをいただけるということで引き受けました。
○○年式以降の230メーターはセキュリティロックがかかっていて内部データを弄れないようになってます。
これを解除するのは非常にリスクが高い作業です。
正直、新品65メーターのセキュリティロックを解除する作業だけで5年は寿命が縮まりますTT

無事に解除成功。
内部データの吸出しも成功し、お好みの仕様(完全に私好みにしましたが・爆)に書き換えていきます。
6時スタートのニードルスウィープはどうやら最優先にして欲しいとのことで^^;
今回の作業は65不等ピッチ、メーターも最新最終基板のAj10という未知の領域でしたのでめちゃくちゃ苦労しました。
作製したデータは200個以上、実走行テストは68回・・・。
完璧とまではいきませんでしたが、いくつか妥協点をお伝えし、完成させました。

そして大阪から遥々と来ていただきました。
ん?
これは・・・?!
どこかで見たことがあるような・・・

なんと!
Veil sideのデモカーだそうです(驚
交換前の動画を取り忘れてしまいました^^;
ニードルスウィープ動作はこちらと全く同じです。
そして、新65メーター改装着!
コーディング&セッティング後です。
元々は8時スタート、16時リターンですが、
6時スタート → 16時リターン → 8時停止 → キーOFFで6時に落下 という仕様に変更、
さらに、ノーマル63&65メーターのAMG表示は油温、スポーツモード、ラップタイム表示の3種類ですが、
油温、ATF温度、ラップタイム、簡易油温警告、スポーツモード、バッテリー電圧表示の6種類表示に変更しました。
これはDAS/Xentryでのコーディングでは表示できません。
まだ改良したいところはありましたが今の私の技術ではこれが限界です。
とりあえずご満足いただいたようで良かったです^^/
では本題です。
以前、記事でR230にW204のステアリングが装着可能?という記事を書きました。
オフセットの問題で諦めましたが、ラブミートさんが後期63で現在挑戦中です。
ウチの230は前期ですのでW204のステアリング以前に後期3本スポークステアリングのマルチファンクションボタンが機能するのか??という問題があります。
昔2008yCLS550の4本スポークステアリングと230の4本スポークステアリングをスワップしたことがありましたがマルチファンクション、エアバッグともに完全互換でした。
パドルシフトの互換性はもちろん×です。
適合するかどうかは全く分かりませんが、「適合しなければ力技で適合させる」という(爆、いつも通りの
「先のことは考えずにまず購入、そのあと悩む・・・」
ということでちゃちゃっと230後期ステアリングをポチりました。

AMGステアリングは滅多に出ませんのでパドル付きのスポパケステアリングです。
清掃のためパドルは外してます。

これ、一応ナッパレザーなんです。
清掃すると新品のように綺麗になりました。
このステアリングをベースに後期63AMG形状のカーボンコンビステアリング加工を行います。
そして、今回は埼玉県越谷市のウッドファクトリーさんにて加工をお願いしました。
個人的な趣味ですが、あまりにもDシェイプ過ぎず太過ぎず、
純正より若干太めのさりげないDシェイプと純正AMG63形状のグリップ。

eBayに出ているステアリングとウッドファクトリーさんのステアリングを二個イチにした感じで赤のユーロステッチを入れて貰いました。
色々と細かいことをお願いしましたがサービス施工してくださり、ウッドファクトリーのN社長には感謝です♪

そして3週間ほどで完成しました♪♪
エアバッグはナッパレザーです。これを付けたかった・・・^^

非常にクオリティが高く、私の要望を完璧に再現していただきました。
取り付けるのがもったいないくらいです(爆

この形状、最高にカッコいいです♪

本革パンチングレザーに赤のユーロステッチもさりげなく入っており、テンション上がり捲くりです。

右のステアリングは以前、前期AMGステアリングをベースにしたブラックウッド加工済みのもの購入したものです。
比べてみるとやはり全然違いますね^^
パドルは以前私が前期4本スポークステアリングのチップシフトからAMGパドルに加工取り付け&スイッチを改造したものです。
スポークの面とパドルの台座がピッタリでしたのでほぼ完璧なフィッティングで取り付け出来ました。

ところが後期スポパケステアリングは上の画像と比較していただければ分かりますが、パドルの部分が逆反りしてるんです。
ただこのパドル、非常に押しやすいんです。
なんとかこのパドルを使えないかと思い、あれこれ挑戦してみました。

前期MRMを

後期MRMに交換。

こちらはR230前期のマルチファンクション、MRMの配線図です。

そしてこちらはR230後期のマルチファンクション、MRMの配線図です。
配線図を見た感じではポン付けでもいけそうですが・・・
各ユニット同士の配線図は載ってますがユニット内の回路図や抵抗値までは載ってません。
ポン付け出来るかどうかは実車接続しないと分かりません。
まずはマルチファンクションの黒・赤・白カプラーを繋げてみます。
カプラー形状は全く同じです。
するとカプラーを挿した瞬間、クラクションが鳴りっぱなしに(撃沈
抜こうとしてもカプラーの受け側が新しく硬くて抜けません(爆
嫁がやってきて「ご近所さんがみんな出てきてるよ! 何してんの??」
で、急遽バッテリーのマイナス端子を外してクラクションの音を止めました^^;
門扉を開けると向かいのおっちゃんがこちらを見ながらホウキで歩道を掃いてます(爆
ウチの近所はこういうタイプの方が非常に多いです。

マルチファンクションがダメならせめてパドルでも・・・
と思い、試してみましたがこちらも×。
スパイラルケーブルをよくよく観察しますと、パドルの配線はMRMをスルーしてました(自爆

その前に後期MRMと前期EWMは適合しません。
ディストロニックも適合しないようです。
R230前期に関しましてはパドルスイッチのプッシュON、プッシュOFFは必須ですね^^;
マルチファンクションボタンに関しては後期MRMにかなり期待してましたが仮にEWMが適合していたとしてもマルチファンクションは機能しません。
前期・後期MRM共に全く同様にクラクションが鳴り響きます^^;

で、諦めがついて以前改造したAMGパドルを移植します。

逆反りスポークにAMGパドルを付けました。
意外にフィットしているのは、両サイドの内部ゴムを中空構造にしたからです。

パッと見では全然分からないくらいにフィットさせました。
骨格のメタルも一部削ってます。

このスイッチの構造は非常に単純で、103Ω、導通100%、遮断、この3つだけです。
自作でも簡単に作製できます。パドルシフトに収まるプッシュOFFスイッチの入手が難しいですが^^;
では仕方なくマルチファンクションボタンの改造を行います。
ボタンを押した際、3本カプラーにかかる抵抗値を事前に見てダメだとは思ってましたが・・・
もしかしたら車両側が自動的に識別してくれるかも?!
ショートテスト後にエラー消去したら認識してくれるかも?!
翌日には動くようになっているかも?!
と淡い期待を寄せておりましたがどれも撃沈でした(爆

秋月電子でピンヘッダと予備のLED(メーター用)を購入しました。

左:R230後期スイッチ
右:W204前期スイッチ
R230後期のスイッチと比較しますとスイッチ自体は形状は全く同じです。
W204のスイッチはOK、リターン、消音、ボイスなんとか?があります。

R230スイッチ基板と変換ユニット

W204スイッチ基板と変換ユニット
試しにW204のスイッチAsseyを車両に接続してみましたが認識しませんでした。

こちらは前期のマルチファンクションボタンから取り出した基板です。
構造は微電流を流し、各スイッチに付いているチップ抵抗の値を車両側が読み取っているというものです。
当初は気合を入れて・・・

後期変換ユニットの基板を改造してチップ抵抗を入れ替えようと思ってましたが、根本的に仕組みが違いますのでパターンを作製して感光基板で自作したほうが早いです^^;
さらに・・・
同一Ω、適合サイズの全種類のチップ抵抗を揃えるとなると国内では見つかるかどうか(殆どなかったです)。
1個必要でもロット(最低10個)からしか入手できず、さらに海外から取り寄せると商品代金の1000倍ほどの送料がかかります(撃沈
というわけで、前期スイッチ基板を移植する方法に決定。

まず左右スイッチを結合して3本カプラーに変換しているこの物体のピンの割り当てと配線構造を解析しなければいけません。

裏面にはホーンスイッチが4つ付いてます。

テスターで測定しながらCANVAS8という15年前のドローソフトを使ってメモ書き替わりに配線図を描いてみました。

共通している配線を削除し単純化するとこのようになります。

スイッチとLEDを外します。

カプラーはニッパーで切り刻みながら基板のパターンが剥がれないように端子のハンダを温めて外します。
もう後には戻れないモードです(爆

テスターで測定&解析し、同じくメモ書きします。

スイッチからの配線は後期230用のものを使いますので基板から取り外します。

基板がうまく収まれば良いのですが・・・

おお!
ピッタリ収まりました♪
マルチファンクションスイッチは敢えてW204のものを使用します。
OKボタンと消音ボタンを光らせたいからです(笑 もちろん機能はしません。

前期204のスイッチ基板、左側。

前期204のスイッチ基板、右側。
これらは左右ともに6ピンカプラー仕様になってます。
↓テスターで解析すると割り当てはこのようになってました↓

↑ピンの割り当てをこのように改造します↑
○印は追加配線です。
なぜこのように改造する必要があるかどうかは・・・ この作業を実際にやろうと思う方には分かると思います。
では具体的な作業方法を・・・
左スイッチから。

赤矢印のチップ抵抗を6箇所外します。
それ以外のチップ抵抗はLED電圧調整用の抵抗ですので外さないように・・・。

そして赤矢印の3箇所をジャンパーします。
それと青矢印にリード線を追加します。
右スイッチ

赤矢印のチップ抵抗を6箇所外します。

そして赤矢印の3箇所をジャンパーします。
それと青矢印にリード線を追加します。

カプラーの番号と一致するように番号を書いておきます。

必要な配線はすべて裏から取れます。
両面基板ですが、ちゃんと裏にテスト用のパターンが来てます。

一部基板同士が重なり合う部分がありますので絶縁しておきます。

そして設計図(メモ書きですが・・・)通りにリード線をハンダ付けしていきます。

スイッチからの配線はとりあえず仮止め程度にハンダ付けしテスターで配線ミスがないかどうか確認した後、短いリード線の長さを延長します。

この3本はスパイラルケーブルに繋がる3本カプラーへ接続するため、

ピンヘッダを使って

放熱クリップで挟みながらハンダ付けします。

スパイラルケーブルの3本カプラーを挿し込み、位置決めした状態でレジン固定しました。
これでカプラーONにて接続できます。
あとはリード線の長さを調整して、

配線完了!

実車接続にて動作確認します。
すべて完璧に作動してます♪
ふう・・・・。

OKボタンと消音ボタンが追加されました。(この2つは機能しません)

内部にうまく収まりましたので見た目は全く分かりません。
スパイラルへの接続もカプラーONです。

やはり見た目はAMGパドルのほうがカッコいいですね。
ストロークが少なくもう少しソフトタッチでしたら最高なのですが・・・。

車両に取り付けました。
いつもステアリング下部を持って片手運転してますので4本スポークでえーわと思っていたのですが、このステアリング下部は片手でも非常に握りやすいです。
さりげないDシェイプがかなりイケてます。

イルミネーションもバッチリ、照度も他のスイッチと同じです。

エアバッグを取り外すと警告が出ますので消去し、再びショートテスト。
すべてOKです♪
という感じで、R230前期は基板のスワップをすれば取り付け可能だという結論が出ました。
極端な話、この作業をすればどんなステアリングでも取り付け可能、マルチファンクションも機能させることができます。
是非参考にしてください。