マンガと芳崖

　下関市立美術館へ、「所蔵品展№154 【特集】マンガと芳崖」を見に行った。
　館内は、予想通りガラガラ。
　ガラガラと言うか、館員の方しかいない。もう丸ごと美術館を貸し切った状態。
　コロナ禍の骨休めにはちょうどいい。

　しかし、「マンガと芳崖」とは、お堅い公立系美術館にしては、攻めたタイトルではないか。
　「日本画のマンガ的要素を紹介する特集」とのこと。
　昨年の、特別展「GLOBAL NEW ART 現代美術の最前線 －タグチ・アートコレクション －」も激しい内容で良かった。
　『シモビ（下関市立美術館）は、地方美術館としては、かなり面白いのではないか？』と、期待に胸をふくらまして観覧したのだが…

　内容は、狩野芳崖をはじめとする、日本画家の所蔵作品を並べただけ。
　かなりガッカリであった。期待が大きかっただけに。
　現代のマンガと芳崖の頃の日本画を並べ、「こういうところが、マンガの端緒となったと思われる日本画の部分ですよ！面白いでしょう？」という展示であってもらいたかった。
　作品に添えられている解説文を読むと、ワクワク感を持って書かれている解説文と、古式蒼然とした紋切り型の解説文がある。
　『これは…』私が思うに、"新進気鋭"の学芸員の方がシモビにいらして、「マンガと芳崖」を意気揚々と企画した。しかし、そんな攻めた展示は、"権威ある"古参の学芸員には認めがたい。
　だから、タイトルだけ攻めたモノで、内容が旧態依然としたつまらないモノになって、中途半端な展覧会になったのではないのか…
　そう思わざるを得なかった。
　まあ、私はシモビの内情を知る立場にもないし、芸術に関しては素人だ。
　だから、あくまで憶測に過ぎないのだが。

　次回の、「【特集】アヴァンギャルド大集合」（2021 5/15～7/11）に期待したい。

　下関市立美術館「所蔵品展№154 【特集】マンガと芳崖」は、2021 5/9まで。
　内容は失礼ながらクサしたが、狩野芳崖「枯木猿猴図」が展示してあり、見る価値あり。