SUVで樹脂パーツが多用されている理由は?

2019年11月7日

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最近のクルマは樹脂パーツが増えてきています。なかでも顕著だと感じるのがSUVへの樹脂パーツの採用です。どんどんバリエーションが増えるSUVで樹脂パーツが多用されているということは、樹脂パーツそのものの採用率もアップしているということになります。どうしてこのように樹脂パーツの採用が増えているのでしょう? 樹脂パーツの優位性とともに考えていきます。

樹脂パーツは何がいいのか?

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かつて、クルマは鉄の塊でした。ガッシリした鉄のフレームの上に鉄で作ったボディを載せていました。ドアもフェンダーも屋根も、そしてボンネットやトランクリッドも鉄、バンパーも鉄といったふうにクルマの外装はガラス以外ほとんどが鉄でした。さらにダッシュボードも鉄でできていた時代もありました。しかしご存じのように鉄は重いのです。鉄を多用すればクルマはどんどん重くなります。

それを防止するために使われるようになったのがアルミです。レンジローバーは古くからアルミパーツを多用していたことで知られています。しかしアルミはコストも高く、鉄と接触すると電食という現象が発生し、腐食が発生します。そこで便利な存在が樹脂なのです。樹脂はコストも安く、加工もしやすく、しかも軽いのです。もちろん電食も起こしません。

強度部材に使われ始めた樹脂パーツだが…

炭素繊維樹脂など強度が高い樹脂などはボディの強度部材に使われます。炭素繊維樹脂を使った例で有名なのはBMWのi3やi8、プリウスPHVなどです。ですが、通常樹脂パーツは強度部材には使われません。金属で骨格を作り、フェンダーやドア、バックドア、ボンネットなどに樹脂パーツを用いることで軽量化とコストダウンを可能にしました。今後、炭素繊維樹脂のコストが下がったり、生産性が向上すればますます多用される可能性はあります。なによりも車重をダウンできることが大きな利点です。

塗装ではなく色つき樹脂を使う

金属パネルはさび止め、下塗り、上塗り、クリアといった何層にも塗装を繰り返しますが、樹脂パーツは塗装ではなく部材そのものに色が付いていることが多いです。樹脂は金属に比べて柔らかく、自由に変形しやすいので塗装の場合は、はげてしまうこともあるからです。

バンパーやフェンダーなどは車軸よりも外側(オーバーハング)にあるので、できるだけ軽くしたほうが運動性能は向上します。そうしたこともあり、オーバーハングに属するパーツから樹脂化が進んでいるということもあります。

SUVの場合はボディも大きくなりがち、タイヤ径も大径となるのでフェンダーなど樹脂化は効果が大きくなります。また、ラフロードを走った際のダメージなども樹脂のほうが少なく、目立たないということもあり樹脂パーツが重宝されます。一方で、クロカン4WDファンなどは、たとえ錆びても、曲がっても金属パーツの方がかっこいいという考えがあり、ジープなどでは金属パーツの方が喜ばれるという傾向もあります。


(諸星陽一)

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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