【体験記】スノードライブの失敗談と注意点

2020年11月26日

スノードライブの失敗談

はじめてスタッドレスタイヤを装着したクルマで雪道ドライブに出掛けるのは、ちょっと勇気がいる瞬間かもしれません。雪道ならではの失敗もあることでしょう。私の失敗もお話しながら、雪道ドライブの豆知識をお届けします。

はじめてのタイヤチェーン装着とスタッドレスタイヤの失敗談

私が自動車免許を取ったときにはまだスタッドレスタイヤは日本で発売される前でした。雪道ではタイヤチェーンを付けるのが当たり前、タクシーなどはスパイクタイヤを使っていました。私も金属チェーンで雪道に挑みましたが、上り勾配の路肩でチェーンを付けるためにジャッキアップしたら、クルマが動き出してジャッキが外れ…とても悲しい目に合いました。タイヤチェーンを付けるときは、平坦な場所で作業しましょう。

初めてスタッドレスタイヤを自分のクルマに履かせたのはクルマ業界に入ってからで、雑誌のテストで使ったスタッドレスタイヤを譲ってもらいました。するとどうでしょう。高速道路、軽井沢、鬼押しハイウェイ、みーんなそのまま走れます。こりゃ快適、どんどんペースが上がります。そして待っていたのが、お決まりのオーバースピードでの雪壁ドンです。当時のスタッドレスタイヤは今のスタッドレスタイヤに比べると、性能がピーキーで限界が突然やってきました。

雪壁に突っ込んだときは、損傷がなくてもラジエーターの行き詰まりに注意

ユーノス・ロードスター(NA6CE)にスタッドレスタイヤを履いて、真正面から雪壁に突っ込んだこともあります。このトラブルは公道での出来事ではなかったのですが、公道でもシチュエーションによっては起きることです。雪がフカフカだったこともあり、外装的には何の損傷もなかったので、そのまま走って高速道路に乗ったところ、水温計の針がドンドン上昇していきます。サービスエリアで点検してみると、グリル内に雪がびっしり詰まっていて、ラジエーターに風が当たっていない状態でした。雪をかきだして走り出すと、何事もなかったかのように水温は下がっていきました。冷たい雪が前面にあっても、風が入らないとラジエーターは水温を下げられないんですね。

気温の低い朝や夜よりも、氷が溶けだす昼が滑りやすい

スノードライブの失敗談

私は少し前まで長野県の女神湖という湖で氷結した湖面を使ってのウインタードライブレッスンのインストラクターをしていました。このあたりは、冬の最低気温がマイナス20℃程度まで下がることがあります。そこまで気温が下がると、路面の氷が溶けにくくなります。そうなると、滑りの原因となる水膜が発生しにくいので、路面は意外にグリップします。

一方、暖かい昼間になると路面の氷が溶けて水膜が発生するので、一気に滑りやすくなります。こうなるとABSもTRCも効きっぱなしの怖い状態になることもよくあります。冬場、標高の高い場所にあるスキー場などから帰るときに、「安全のため暖かい昼間のうちに帰ろう」と考えることがありますが、路面のことだけを考えたら、昼間より夕方過ぎの気温が下がってからのほうがかえって安全だったりすることもあるのです。

スタッドレスタイヤはビックリするほどよくグリップするので、調子に乗って速度を上げてスタックすることも必然的に発生します。自力で脱出できないときは誰かに引っ張り出してもらうしかないのですが、けん引ロープがないと引っ張り出してももらえません。というわけで、スノードライブではけん引ロープをクルマに積んでおくのもいいでしょう。ロープを使って助けてもらった人に「用意がいいね」と言われたときは、「誰かの役に立てればと思って積んでおきました」と返すとスマートだったりします。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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