雪道初心者が知っておきたい、走り方の基本とは?

2020年12月1日

雪道走るときの注意

初めて雪道を走ることに不安を持っている人も多いでしょう。現代のクルマはさまざまなアシスト機能を備えていて、雪道でも比較的安全に走れます。しかし、いかなる機能もクルマ(つまりタイヤ)が本来持っているグリップ性能を超えることはできません。今回は雪道を安全に走るための基本を解説します。

雪道は滑りやすい この当たり前が大切

雪道は滑りやすいものですが、この基本を忘れてしまう人は意外に多いものです。ひとつはスタッドレスタイヤの進化、もうひとつはTRC(トラクションコントロール)やABSなどクルマのアシストデバイスの進化によって、運転が容易になっていることが影響しています。

TRCが働くと、メーター内にTRCが働いたことを知らせるインジケーターが点滅するとともに、アクセルを踏んでもエンジン回転が上がらなくなります。ABSが作動したときもメーター内のインジケーターが点滅し、ブレーキペダルが振動してABS作動状態をドライバーに知らせます。大切なのはその時にTRCが作動している、ABSが作動しているということを強く意識することで、どんなにタイヤやデバイスが進化しても、クルマはタイヤのグリップ性能を超えて走ることはできません。

TRCは駆動力、ABSは制動力が、タイヤと路面の摩擦力を超えたときに作動します。作動しているということは、もうすでに限界状態なので、その先にさらに滑りやすい路面などがあれば、クルマの安定性が大きく破綻する危険性が高いわけです。TRCやABSが作動したときは、もっと穏やかなアクセル、ブレーキ、ハンドル操作で運転しなければなりません。

タイヤチェーンを使っている時はTRCをオフにすること

スタッドレスタイヤではなく、タイヤチェーンを使っているときはTRCをオフにします。タイヤチェーンを装着した状態でTRCがオンになっていると、TRCがスリップを検知してエンジンの出力を絞ってしまうため、クルマが進まなくなることがあるのです。これを防止するために、TRC装着車は必ずオフスイッチを備えています。スタッドレスタイヤでスタックしたときも、TRCをオフにしましょう。

広い安全な場所でアクセルやブレーキを強めに踏んで、雪道でTRCやABSの効くタイミングを体感するのも運転技術の向上に有効です。ただし、一口に雪道やアイスバーンといっても路面状況は様々で、予想を超えるようなクルマの動きには常に注意が必要です。

雪道での急な操作は避けるべき?

雪道走るときの注意

結論から言えば「急」が付く行為はできるだけ避けるべきです。グリップが低い雪道では、ステアリングを切っても反応するまでに時間が掛かりますし、急に操作するとかえって応答性が落ちることもあります。たとえば、ドライ路面で0.5秒で90度ステアするところでは、1秒かけて90度ステアする感覚です。こうするためには速度を落とすか、手前からステアリングを切り始める必要があります。

加速についても同様で、急にアクセルを踏んでもタイヤが反応してくれません。ゆっくりグリップを確かめるようにアクセルを踏む必要があります。ここでTRCが働くようなら、さらにアクセルはゆっくり操作しなければなりません。

雪道では制動距離も伸びるので、車間距離を長く取る必要があります。ただ、急ハンドルや急加速とちがう点として、もしもの時は迷わず急ブレーキ踏みましょう。急ブレーキはブレーキが作動するまでの空走距離を短くできるし、ブレーキが強く作動するので、ここでも制動距離を短くできます。ABSは作動しますが、その状態はほぼ最高の制動力を得ています(条件によりますが多くの場合はそうなります)。また、タイヤの回転は止まっていないのでステアリングもある程度効きます。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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