• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2011年01月03日

多様な祈り

多様な祈り




 今日はシンガポール滞在最終日。
 夜にはチャンギ空港から出発してソウル経由で帰国の途につく。

 だからボーっとなんかしていられない、貧乏家族旅行の性で、観光地を巡りまくった。
 シンガポールといえばマーライオン。現在の場所に移転してからは、初めての訪問。以前はもっと陸地側に立っていたが、シンガポール川河口に幹線道路の橋が完成して以降、川に閉じ込められたような感じになっていた。
 それはそれで橋の歩道からマーライオンの正面が拝めてよかったのだが、やはりシンガポールのシンボルを大海に向けなければ国力が廃ると思ったか、橋を跨いで海側に新しい「マーライオンパーク」を整備、再び海に面して立つことになったのだ。


 シンガポール川沿いの木造商店や倉庫街も、以前は朽ちてスラム化していたが、シンガポールが開けた当時の面影を残そうと再開発され、レストランやショッピングセンターに衣替えしている。 

 後背地に並び立つ冷たい色彩の超高層ビル群と、カラフルなペンキで彩られた木造の低層建築とのコントラストは今も健在だ。


 これら再開発地域とマーライオンは、一度に「リバークルーズ」で川側から見物できる。
 シンガポール川のクルーズ船は、私が最初に出かけた頃はガイドブックにも案内がなく、行き当たりばったりで乗船したのだがとてもよかった。海沿いの幹線道路ができるまでは、マーライオンを正面から見ようと思ったら、その船に乗るしかなかった。
 まともに屋根もないようなボロ船で便数も乗船場所も限られていたが、現在は木製の窓枠に塗られたニスも艶やかな新しい船になり、便数も乗下船可能な桟橋も大幅に増えている。再び海に向いたマーライオンの雄姿を正面からカメラに捉えようとするなら、必ず乗船したい。

 私たちが乗船する直前、スコールの手荒い洗礼を受けたが何とかクルーズ船に逃げ込み、雨に煙る超高層ビル群と倉庫街の景色、シャワーを浴びて少し輝きを増したマーライオンの姿を水上から楽しんだ。

 船を降りる頃には雨も止み、再びバスに乗って市街地へ。なかなか出来合いのツアーでは行かないヒンドゥー教とイスラム教の寺院を見学。
 ヒンドゥー寺院は、シンガポールと同じくイギリスの植民地だったインド系の住民が多い地区を中心に幾つかあるが、バスの便がよく、現地ガイドブックにも載っている比較的大きな寺院を目指した。

 神々の彫像が所狭しと配置され、まさに立体曼荼羅となっている外見がヒンドゥー寺院の大きな特徴。この寺院は創建されてから時間が経っているため色彩が落ち着いてきているが、創建・修理直後の外観は、彫像群が極めて鮮やかに彩られて、ヒンドゥー寺院を見慣れていない異国人の目を驚かす。


 次いで、歩いて20分ほどの場所にあるイスラム寺院へ。
 女性の立入りに制限がないか、などマナーやタブーを侵すことの無きよう、掲示類に注意しながらお参り。
 かつてシンガポールが属していたマレー連邦は、イスラム教徒が多い国。分離独立後もマレー系住民は少なからず住んでいるため、イスラム寺院も所々にある。

 寺院の敷地に入り、一通り見学させていただいた後に、一人の青年が声を掛けてきた。
 あれ、何か気分を害するようなことをしてしまったかな、と心配したがそうではなかった。

 どこから来たのかと聞くので、日本からだと答えると、ちょっと待っててと寺院の建物へ入っていき、すぐに戻ってきた。
 これをあげるよ、と持ってきたのは冊子。ただ、表紙の言語が漢字で書いてはあるが、簡体字なのでどうも中国語版。指摘すると、あれ違ったのと再び持ってきたのが、ひとつがハングル、もうひとつが日本語版だった。異国で日中韓がいっしょくたにされるのはよくある事なので、笑って青年との短い会話を楽しんだ。

 冊子は、イスラム教を子どもにも分かり易く解説した、手作りっぽくも立派な内容だった。
 有名な観光地であれば、日本語始め各国の言葉で作成されたパンフレットを準備しているところが多いが、古い市街地に埋もれるようにして佇むこの寺院は、観光客が大挙して訪れるようなところではない。
 想像するに、シンガポール国内の外国人学校などが、校外授業で訪れたりしたときに配る資料なのではないか。
 シンガポールには3万人ほどの日本人在住者が居るそうなので、日本人向け資料作成の要望がどこからかあったのかもしれない。


 信者だけで狭く小さく固まることなく、見知らぬ異国の異教徒を暖かく迎え入れ、しかも様々な言語で資料を準備していることに、大いに驚いた。
 強権的で経済偏重の政治体制が批判されながらも、華人・マレー人・インド人、そして仏教・イスラム教・ヒンドゥー教が何の違和感もなく共存している国であればこそ、のエピソードか。


 子どもにも、世界には様々な祈りがあることを、実物を示して教えることができたと思う。
 そんな経験を徒歩圏内で、僅かな時間内にできるシンガポールの新たな魅力を見つけた。


 この後、再び海沿いへ戻り、超巨大観覧車「シンガポールフライヤー」に搭乗。
 スコールで洗われた澄んだ空気に、夕日でオレンジ色に染まる活気溢れる都市国家の景色が正月旅行最後のイヴェントだった。

ブログ一覧 | イベント | 日記
Posted at 2011/07/30 11:56:35

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

続編) さぁ〜いくらカネ⁉️ 💰
skyipuさん

失敗しました😅
埼玉の猫さん

脂摂取タイム‼️
チャ太郎☆さん

㊗️V10㊗️愛車ランキング1位 ...
morrisgreen55さん

ラーメングルメメモ(岡山市中区:麺 ...
まよさーもんさん

■予告「TAKUMIアパレルプレゼ ...
TAKUMIモーターオイルさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/9 >>

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

愛車一覧

メルセデス・ベンツ Gクラス カブリオ メルセデス・ベンツ Gクラス カブリオ
 G320カブリオ(V6・ミッドナイトブルー)を愛車にしています。  息の長いGクラスで ...
その他 その他 その他 その他
 サントレックスの軽規格折りたたみトレーラーです。以前所有していたキャンピングトレーラー ...
メルセデス・ベンツ Gクラス ジュラシックワールド・オフィシャル (メルセデス・ベンツ Gクラス)
G550 as a movie star! Coming soon.
メルセデス・ベンツ Gクラス ドイツ連邦軍多目的車輌「ヴォルフ」 (メルセデス・ベンツ Gクラス)
 ドイツ連邦軍が1989年~1994年にかけて10,000両以上もの大量調達を果たした軍 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation