爆発

　読売新聞の記事『ガス充満させ着火か…マンション爆発で住人逮捕』に注目。

　4月27日に発生した爆発が、事故ではなく事件だったという顛末。
　現場は行政としては隣の市だが、完全に生活圏内。ほぼ毎日近くを通っているので、事件発生当初から気になっていた。



　この度の記事で、私は初めて「激発物破裂罪」という罪名を目にした。
　過激派事件等で「爆発物取締罰則」なる法律は知っていたが、こちらは刑法とは別建ての法律で、法定刑は死刑・無期または7年以上の懲役。
　一方「激発物破裂罪」は刑法117条に規定されていて、法定刑は放火に準じ死刑・無期または5年以上の懲役と、こちらも重い。


　「爆発～」と「～破裂」でどう違うのか、字面だけでは判り辛いが、大まかに言って治安を乱し社会不安を惹き起こす目的や、人命を奪う目的で実行される犯罪を取り締まるのが「爆発～」、建物の破壊を目的とした犯罪を取り締まるのが「～破裂」となるらしい。

　「爆発～」のほうは元々犯意を持っている前提なので過失に関する規定はないが、「～破裂」の方は意図せず爆発を起こし建物を破壊してしまう事案(放火に対する失火と同じ)に対処するため、「過失激発物破裂罪」が規定され、法定刑は禁固3年以下または150万円以下の罰金となっている。



　逮捕された中年男は、自殺でも考えていたのだろうか。
　爆発発生当初は会話できないほどの大怪我を負ったが、少なくとも他人への殺意は認められず、爆発のみで火災に発展しなかったことから「激発物破裂罪」適用となったものと想像する。

　マンションの一室で幼い子どもたちが見殺しにされ、母子が餓死したかと思えば、今度は愚かな男がカセットガスで自殺に失敗し大爆発。
　壁を隔てたすぐ隣で何が行われているのか、気になりだしたら寛ぐべき我が家であっても安心して生活できなくなってしまう。飛び散ったガラス等で怪我をした近隣住民も少なからずいたが、直接的な損害がなくても、マンションに暮らす大多数の善良な人々を不安に陥れたとしたら、その罪は決して軽いものではない。

　十分な処罰と償いを果たして欲しいものだ。