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2014年06月22日

分離

分離  老舗有力経済誌・東洋経済が運営するサイト「東洋経済ONLINE」の配信記事から『高速バスの"革命児"が挑む、赤字鉄道の再生~ウィラーは北近畿タンゴ鉄道をどう変える?』に注目。

 鞆鉄道・井笠鉄道・下津井電鉄等々、実態としてはバス会社ながら鉄道営業をしていた際の商号をそのまま用いている(た)企業があるが、逆に純粋なバス会社から鉄道事業に新規参入しようという動き。
 バス業界に、デフレと安全性への疑念を招く結果となった規制緩和に乗じて熨してきた企業だけに、若干ならず不安と蟠りを覚えずにはいられない。とは言え鉄道ファンの一人として、北近畿タンゴ鉄道(KTR)の再生を願う気持ちは当然に持ち合わせているわけで、ウィラーのチャレンジが良き方向へ向かうよう応援するにやぶさかでない。




 巨額の累積赤字の解消に行き詰まり、JR各社へと分割・民営化された旧国鉄(日本国有鉄道)の改革に際しても、地域会社化(=垂直分割)する方法とは別に、今回のKTR経営改革と同じ上下分離(=水平分割)も検討されたが、実現しなかった。

 国鉄の赤字は、採算の悪い地方新線の建設費および利子負担が大半で、純粋な鉄道運行の収支は最末期でも黒字を維持していたという。なれば民営化は致し方なしとしても、地域分割せず運行部門を一体で分離すべし…と考えるのも当然。しかしそれでは、国鉄に赤字を圧しつけて「我田引鉄」を為した政治家の所業が浮彫りとなりかねず、責任追及を嫌って反対したのかもしれない。



 一般的に鉄道会社は、主要な運行設備である軌道を自社で建設・維持・償却している。
 一方ウィラー始めバス会社やLCCを含む航空会社は、公費を投じて整備された道路や空港を利用して運行しており、自ら道路・空路の建設・維持・償却を手掛けているわけではない。

 そこにコスト構造の大きな差異が生じ、特に短・中距離区間で運行コスト負担が低いバスに比して、鉄道が価格競争で勝てないのだ。


 そこで鉄道の建設・維持にも公費を投入して競争条件を均一化(=イコールフッティング)し、価格以外にサーヴィス面での競争を活性化したり、利用者の選択肢を拡充する方策の一つが、鉄道設備を公有・運営を民間委託する形態での「上下分離」である。

 国鉄→JRへの改組では採用されなかったものの、来春開業予定の北陸新幹線を始めとする「整備新幹線」は、国や地元自治体の公費負担に基づき建設され、JR各社が貸付料を払って運行する上下分離方式となっている。



 「上下分離」の採用は、地方路線や新幹線だけに留まらない。
 成田空港へのアクセス改善を期して設立された「成田空港高速鉄道」「成田高速鉄道アクセス」は第三セクター、千葉ニュータウンと都心を結ぶ「千葉ニュータウン鉄道」は京成電鉄の100%子会社であるが、上下分離方式を採っている。
 関西大手私鉄の相互乗入れを促進するために設立された「神戸高速鉄道」は、駅の運営を行っているものの電車を保有しておらず(全て乗入れ各社の車輌を運行)、上下分離の一形態と言える。




 ここから先は私個人の意見だが、大都市の鉄道では、保有と運営の分離から更にもう一歩進めて、運賃収受・精算業務を分離すべきと考える。

 拙稿『印旛日本医大駅』でも記したが、電車自体は乗換えなしで直通するのに、運行企業が違うからという理不尽なルールで、ブツ切りされた区間毎に都度初乗り料金が課され高額な運賃を支払わねばならない。鉄道会社側の論理では正しくても、利用者の立場では納得がいかない。


 欧州の大都市では、都市内を同心円状もしくはセル状にゾーン分けし、そのゾーン内であれば電車もバスも一律料金もしくは一定時間内であれば乗降り自由という運賃制度を布いている例が多い。
 日本と同様にドイツでも公営・民営問わず様々な交通企業が旅客輸送に携わっているが、各企業は安全運行に専念し、運賃収受および精算は「交通連合」なる組織に任せてゾーン制の運賃制度を採用している都市がある。

 利用者一人ゝゝの利用ルートを完全把握することはできないので、「交通連合」が綿密に精算業務を進めたとしても、輸送サーヴィスを提供する企業間で多少の不公平が生じるのは否めない。 
 しかし利用者の利便性を第一に考え、公共交通の利用を促進し利用者数を増やすことができれば、各企業にも利益となって還ってくるので不満は起きないようだ。

 また福祉や環境政策の一環として、公共交通の運賃を低廉に抑えるべく公的支援を受ける場合にも、その受け皿として機能している。



 既に日本でも、関東の私鉄各社が共同出資して企業を設立し、ICカードシステム「pasmo」を導入している。個々の利用履歴を事細かに記録・蓄積できるはずなので、仮に東京でゾーン運賃制を導入しても、精算業務を厳密かつスピーディーに行えるのではと想像する。

 少子高齢化の進行で公共交通機関の利用者が減少に転じることは確定的。乗降や駅構内の移動をスムーズにする「バリヤフリー」と併せ、運賃制度の面でも運営企業間の壁を取り払って「バリヤフリー」化し、利用の梃入れを図る必要が生じてくるだろう。

ブログ一覧 | 鉄道 | 日記
Posted at 2014/06/22 20:56:56

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