下劣

　全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト「YOMIURI ONLINE」の配信記事から『片山氏、外交防衛委でも「ご迷惑おかけした」』に呆れる。

　木曽御嶽山の噴火では、本日時点で47名もの犠牲者を出し戦後最悪の火山災害となったばかりか、今も安否がわからない方が20名前後いるのではないかと懸念されている。

　多数の尊い人命が喪われた自然災害を、あろうことか党利党略に利用するなど言語道断。極めて下劣な発信に接し、政治家としての資質に疑問を抱かざるを得ない。


　現在残されているツイッター上のコメントやブログ記事を閲覧しても、犠牲者や安否不明者を慮る発言は一切読み取れない。あるのは

「予兆現象はなかったのか」
「気象庁係官の説明を聴いた」
「党として予算措置を」

　といった内容だけ。
　問題視された投稿（現在は削除）を含め一連の記事を並べてみると「予兆現象はあったのに予知できなかったのは事業仕分けで予算が削減されたからで、全ては民主党が悪い」というロジックを、かなり早い段階から組み立てていたものと推測する。

　既に噴火が発生し被災した方が多数確認されている状況下では、救助・救出が目下の最重要課題であり、このタイミングで長期的な噴火予知や過去の経緯を云々するのは、正確な現状認識がなされていないからではないか。



　仮に民主党政権時代の「事業仕分け」が原因で被害が大きくなったのだとしても、現在の政権与党は自民党である。
　国民の生命･財産を護り安全を確保するのが政権の責務であり、火山災害での犠牲を防げなかった責任は、その多くを現政権が負わねばならない。

　木曽御岳山を危険な状態で放置した責任が時の政権与党(=民主党)にあるなら、政権奪還して即座に改善を図らなかった自民党もまた、政治責任を問われる。

　また過去の施策に対し遡及して政治責任を負わねばならぬとして、「放射能汚染を招くような過酷事故は絶対に起きない」と根拠のないプロパガンダを垂れ流し、津波で潰れてしまう原子力発電所に操業を続けさせた政権の責任は、一体どこへ行ってしまうのか。



　野党政治家なれば政権の座に無い以上、政府の失策を論い、矛盾点を突いて攻撃する他に存在意義をアッピールできないが、政権与党はそのような野党の追及を往なし、国民生活の安定と向上に邁進するのが在るべき姿だろう。

　片山氏の発言は野党時代の自民党ならまだ許されるとしても、与党に属し、しかも政権中枢に近い位置を占める政治家のものとは思えない。
　「野党根性」から抜けきれないのであれば、いっそのこともう一度下野するがよろしい。