銀杏　

　全国紙・読売新聞のニュースサイト「YOMIURI ONLINE」の配信記事から『潰れてにおう前にギンナン回収、川崎市が配布へ』に注目。

　街路樹および植栽の管理は、道路維持コストの中でも多くを占めており、財政難に苦しむ行政としては頭の痛い問題。
　イチョウは排気ガスが濃い環境下でも枯死するリスクが低く街路樹に多用されているが、反面初冬の落葉および銀杏の落下が、街路の清掃コストを膨らませている。

　沿道住民との面倒を起こさぬよう、或いは管理コストを節約しようと、昨今は枝葉を丸坊主にしてしまう極めて強い剪定が施されたり、場合によっては大きく育ち過ぎた樹を伐採してしまうなど、折角育った街の緑を蔑ろにするような街路樹管理が散見される。
　そんな横着な行政から比べれば、通行する市民を愉しませ和ませる大きく育った街路樹からの恵みを、しっかりと受け止めて活用しようとする川崎市の取り組みは評価に値する。

　一方で、私個人の見立てではもう一つ、裏の目的が潜んでいるようにも感じる。



　かつて私の祖父母が、引き揚げ直後から身罷るまで暮した都営住宅には見事な桜以外にも、毎年たくさんの銀杏が実るイチョウの木が聳え立っていた。

　秋が深まるにつれ落ちて来る銀杏を住民は心待ちにし、例年その滋味を愉しんでいたのだが、ある年のこと、銀杏が一夜にして取り尽くされたことがあった。
　何者かが夜中に樹を大きく揺さぶり、ほぼ全ての銀杏を落として回収したらしい。

　誰でも立ち入れる団地内の、しかも誰の所有物でもない樹になった実。だから実を持ち去ったところで罪に問えないのだろうが、住民の愉しみを奪う極めて非常識かつ下劣な行為として、指弾されて然るべきだ。


　大量の銀杏は、販売目的で持ち去られたものと推察されるが、そこに暴力団員や不法滞在の外国人が絡んでいる場合は反社会勢力の資金源や、別の重大な犯罪を誘発する糸口になりかねない。
　特に昨今は、暴力団排除の徹底から喰い詰めた貧乏ヤクザが、街路樹の銀杏に目を付けて一儲けを狙っている可能性もある。



　街路関連では、側溝のグレーチング(＝網目状の金属製蓋)や、橋梁の銘板が盗難に遭うなど、インフラそのものが犯罪者のターゲットなる事案が多発している。
　安全面での管理は勿論のこと、そういった犯罪行為や反社会勢力の勢力伸長を助長しないよう配慮が求められる時代になってきている、ということだ。