街宣

　公共放送・NHKのニュース動画サイト「NHK NEWSWEB」の配信コンテンツから『警察が規定を誤って解釈 選挙カー２日間使えず』に苦言を呈す。

　社民党関係者が言う通り、結果的に公権力による選挙妨害であり、謝って済む問題ではない。
　警察は絶対に首を縦に振らないだろうが、これが与党側候補だったらスルーしていたのではないか。


　与野党の差別なく、粛々と公職選挙法の規定を犯す恐れのある申請に対し判断を下すとしても、選挙活動の制限を伴う重要な決定となることに鑑み、他都道府県の事例を総浚いして判断に誤りの無きを検証するなど、慎重さを欠かしてはならないと考える。　
　
　宮城県警の猛省を促したい。



　
　さて、今回のニュースをきっかけに公職選挙法を調べてみると、選挙用の街宣車として使用できる四駆は、3ないし5ナンバー登録の乗用車か、4ナンバー登録車を想定していると思われる2t未満の車輌ということになる。それらには含まれない、つまりは貨物登録(1ナンバー)の車輌は使用禁止ということだ。
　我らがゲレンデでもMLでも街宣活動がオッケー(ただし「ベンツかよ」「儲けてるんだな」と有権者の謂れなき反感を招く恐れありww)なのだが、では私の現在の愛車・カブリオも使えるのかといえば、残念ながらダメなのだそうだ。

　公職選挙法の施行にあたり公布された「公職選挙法施行令」では、定員や車輌重量の規制とは別に車体構造についての規定があり、「上面、側面又は後面の全部又は一部が構造上開放されているもの及び上面の全部又は一部が構造上開閉できるもの」は使用できないとされている。

　簡単に言えば、オープンカーはダメということらしい。
　2t未満の幌車ジープについても、幌を展開しての活動は不可になっている。
　


　では、政党が保有している後端部がバルコニー状のボディを架装したタイプの大型宣伝カーは、「後面の一部が解放」されており公職選挙法上アウトぢゃないのか？と疑問が湧く。
　実は、国政選挙で候補者届出／比例名簿提出政党が用いる車輌については制限がなく、党首の全国遊説などで使用されている様子が、選挙期間中の報道でよく見られる。

　また今年春の名古屋市議会議員選挙で、中区から初めて選出された共産党系の若手女性議員が、選挙運動でオープンカー(ダイハツ・コペン)を用いたことが話題となった。
　これこそアウトのような気もするが、共産党躍進のシンボルとして扱われこそすれ、選挙違反で捕まったという話を聞かないので、法的な問題は解決済みのようだ。

　あくまで候補者の移動用であり、スピーカーを用いて候補者名を連呼するなどの活動はしていない……という理屈なのかもしれない。だが屋根を開け放ち襷掛けで乗車して、地声で支持を訴え、沿道に手を振る行為が許されるなら、オープンカーでの街宣活動も認められて然るべきだと思う。




　このように、選挙用の街宣車について調べていくと、疑問に感じることが次々出没する。
　宮城県警の警察官が重大な判断を下すに際し、他都道府県の対応事例を調べなかった迂闊さについては責められても仕方ないが、では法律の条文だけを読んでどんな車輌がオッケーで、何が理由でアウトなのか、即座に判断できる人は皆無だろう。その点において、同情すべき要素もある。

　今回問題となった仙台の社民党市議候補や、名古屋の共産党市議の例を含め、警察の対応にバラつきが無いかを全国的に検証することと併せ、使用可能な車輌の制限についてもっと簡素化する、或いは選挙期間中の騒音防止・エコな選挙活動推進のため、自動車を用いた街宣活動そのものを全面的に禁止する、といった選挙ルールの変更が必要なように思う。