嫌老

　産経新聞が運営する”終活”情報サイト「ソナエ」に掲載されたコラム『【高齢者をいかせ】識者に聞く・作家　五木寛之氏　「嫌老」の感情をあらわにさせないために』に注目。


　弊ブログでは、極めて自分勝手な行動原則に基づき、醜悪な狼藉を働く高齢者を「自分原理主義テロリスト」と定義したが、コラムで言うところの「嫌老」と、かなりの部分でラップするのではないかと思われる。

　五木寛之氏のような知的で良識ある高齢者ばかりであれば、弊ブログが告発し続ける「自分原理主義テロ」など起きる筈がない。
　その意味において、老人自身の真摯な変革と、現役世代への歩み寄りが必要なことはコラムが指摘する通りである。



　ただ、五木寛之氏の意見では不十分な部分が残る。
　超高齢化社会に至り、我が国が「下山の経済」となったとして、確かに消費の中心は高齢者に移行する。
　しかし付加価値を創造し、技術革新をもたらし、租税の負担に耐える経済活動の主体は、やはり現役世代なのである。
　
　高齢世代には消費者としてだけでなく、高い付加価値を生む技術革新をサポートするような「投資」で経済に参画してもらわなければ、その存在の重みと保有資産の多さにに見合う責任を果たしたとは言えない。



　もし投資を通じて間接的に現役世代へ利益が移転する状況が生じなければ、溜め込まれるだけで何ら活かされていない財産を、資産課税を通じて社会へ直接的に還元させる強硬な政策も必要になるかも知れない。


　かつて政治および経済を学んだ者の冷静な判断としては、そのような特定一部を狙い撃ちにする政策に賛成し兼ねる。一方で現役世代および子育てに奮闘中の親としての私は、「自分原理主義テロリスト」の資金源を断ち、自分や家族の生命・安全を護る為であれば、有力な選択肢として迷わず念頭に置くだろう。


　「嫌老」がヘイト化し、抜き差しならない状況に追い込まれるか、コラムの結びにあるように「賢老」へと転化するかは、偏に高齢世代の意識改革に懸っている。