様態

　全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト「YOMIURI ONLINE」の配信記事から『「それは詐欺です」…タクシー運転手が被害防ぐ』に注目。

　タクシードライヴァーの佳き配慮で、犯罪被害を未然に防いだ……という話題。
　騙されかけた老婆がもう少し早く事情を理解できていれば、何も気づいていないふりをして捜査員を待ち合わせ現場へ同行させ、犯行グループを一網打尽にできたが、そこまで望むのは詐欺師以上に欲が過ぎるか。


　いわゆる「振り込め詐欺」も犯行の様態が変化し、銀行ATMから振り込ませるだけでなく、今回未遂に終わった件のようにターゲットを呼び出して現金を持参させたり、バイク便に現金を預けさせる手口が増えているという。

　春先には、特殊詐欺を専門に手掛ける「バイク便業者」が摘発された、との報道もあった(参考情報URL参照)。
　詐欺師の手先として疾走するバイク便があるなら、もしかして詐欺師の貸し切りで、手先やターゲットだけを乗せ街を流しているタクシーが存在するやもしれぬ。


　被害を免れた老婆は、車内での会話をヒントに佳き判断をしてくれた運転手が乗務するタクシーに乗った幸運を、衷心より深く感謝すべきだ。
　一方で、乗客が巻き込まれている怪しげな状況に接しながら、何の行動も起こさない愚鈍な運転手ならまだしも、詐欺の片棒を担ぐ悪人がタクシーを転がしている可能性も否定できない。


　美談に接し喜ぶのと並行して、結局のところ我が身の安全と財産は、自力で守り通さねばならぬことも再認識せねばなるまい。