急死

　スポーツ紙・スポーツニッポンが運営するニュースサイト「スポニチ・アネックス」の配信記事から『森コーチ献花台に３６００人が列　涙を流すファンの姿も 』に黙祷。

　多数のプロ選手を輩出した伝説的な回次とされる1996(平成8)年の第67回「都市対抗野球」優秀投手(君津市代表・新日鐵君津／チームメイトに松中信彦・小笠原道大＝NTT関東からの補強選手がいた)にして地元球団のコーチであり、やや若いが同世代の急な死。お騒がせした先頃の出来事を経た身には、他人事ではない。
　
　一方で、死因が「多臓器不全」としか伝わっていない(記事執筆時点)ところが、やや腑に落ちない。
　多臓器不全とは、状態であって病気そのものではない。複数の臓器が機能不全に至る原因は、別にあるはずだ。
　

　別メディアの報道では、森コーチが酒に強かったことや症状の進行が極めて速かったことから、肝炎もしくは白血病の可能性を指摘していたが、私が真っ先に思い浮かべたのは感染症、中でも壊死性筋膜炎(俗称：人喰いバクテリア)を罹患した結果としての多臓器不全である。

　溶連菌など、どこにでもいる一般的な細菌に因る感染症が、突如劇症化し臓器を含む全身を蝕んでいく。
　劇症化のメカニズムは解明されていないが、肝臓病や糖尿病患者に症例が多いと聞く。どちらも過度な飲酒がリスクを上昇させる疾患で、肝炎の可能性があるなら壊死性筋膜炎などの感染症も疑わしい。

　以前にも記事にしたが、壊死性筋膜炎よりも浅い部分の組織が破壊される「蜂窩織炎」で入院したことと、横紋筋融解症が疑われて医師から緊急の連絡を受けた経験がある私としては、今こうして生が有るのは、単に幸運が重なっただけなのではないかとの想いすら湧き上がる。


　悲しみに暮れるご遺族のご要望を第一にすべきであることを前提に、有望な野球指導者の前途を奪った憎き病の全貌を、可能な範囲で詳らかにしていただきたい。

　深く弔意を捧げ哀しみを共有しつつ、何か教訓を汲み取れれば、故人の魂は彼を知る人の血肉となって生き続ける。


　合掌