戎橋

　関西のスポーツ紙｢デイリースポーツ｣が運営するニュースサイト｢DailySportsOnline｣の配信記事から『Ｗ杯騒乱　大阪・戎橋が５００人ジャンプで揺れ続け悲鳴…大阪市「危険」と注意喚起』に注目。

　スポーツ本来の意義とは無縁の、下らないバカ騒ぎに付き合うつもりは無いが、重要な社会インフラたる橋が危険に曝されているとすれば、立場上看過し得ない。
　建設技術者の視点から、検証を試みる。

　戎橋の大まかなスペックを書き記すと、全長26m・橋端部の横幅11m、中心部分は直径18mの円形になっている。
　橋の面積をざっくり計算すると、

　円形広場部　　　　　　　　　　　　　：9×9×3.14＝254.34m2
　直線部　　　　　　　　　　　　　　　　：（26-18）×11＝88m2
　円形部と直線部が接する三角部：{18-√（18×18-11×11）}÷2×11÷2×4＝20.63m2
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　総計：362.977m2


　ここに@80kg見当の通行人500名が載ったとして、総荷重は80×500＝40,000kg
　総荷重40,000kgを橋の面積で除すと、40000÷362.977＝110kg/m2となる。

　国土交通省の基準では、橋梁の歩道部分について群衆荷重を3.5kN/m2で設計するよう定めており、歩行者専用の戎橋もこれに準じて建設されているとすれば、3.5kN/m2＝357.14kg/m2の荷重に耐えられる。
　上記計算式との比較では200%もの安全率を確保しており、また指揮するリーダーがいる野球の応援スタンドなどと違い500名全員のジャンプが、ある瞬間にシンクロするとは考えられず、サポーター(フーリガン？)の集中で橋が落ちるとは考え難い。


　大阪市の対応は、群衆の集中で欄干が壊れ水面へ転落・水死する者や、パニックが起きて圧死する者が出ること、または実のところ戎橋の設計または施工が不良だったことを知りながら黙っていて、事故発生が元で不適切な管理がバレてしまうことを心配しているのではと想像(邪推？ww)する。

　インフラが棄損する可能性は低いことに安堵するとともに、かつて明石市で発生した雑踏事故の経緯を思い出し、混雑を極めるアナーキーなエリアへ敢えて踏み込むことは、良識のある読者各位なら避けていただきたいところである。