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2021年10月02日

盟友、去る

盟友、去る  友が去る日が決まった。
 志を同じくし、同じ職場に集った同期。
 その中の一人。

 我々は、勤務地を転々とする。
 しかし、そいつとは、何度か同じ場所で勤務した。
 何ヶ所もある勤務地で数度同じ場所で勤務するなど、どちらかと言うと珍しい部類に入る。
 そいつとは、仕事の処理のセンスも似ていて、妙に気が合った。

 以前、そいつと同じプロジェクトチームに入った。
 仕事は、プロジェクトとは関係のない通常業務もこなしながらであった。
 そいつと、外回りの通常業務を8時間くらい一緒にやって、事務所に戻る時のことである。
 「あ、あれやった?」と、そいつが聞くので、「ああ、やった」と私は答えた。
 業務処理には、間違いがないように、「あれ・これ・それ」などの代名詞を使うことは、禁忌。
 だから、そいつは、それが気になったのだけど、「あれ」の名称が思い出せない。
 二人とも疲れていた。しかし、これからプロジェクトの仕事をしなければならない。
 「あれだよ、あれ。んーっと」と、そいつが言う。
 私は、「あれだろ?やったよ」と、言って、お互い笑いあった。
 そして、「あれ」は、間違いなく、同じ、「あれ」であったのである。

 そんな友と、現在、同じ敷地の職場で働いている。
 しかし、そいつが来年には定年を迎える。
 定年前には、できるだけ自宅近くの職場に転勤となるのが習わし。
 そいつが定年のために、この地を去る日が決まったのだ。
 残るのは、私。
 もう、阿吽の呼吸で仕事を共にすることは、永遠にない。

 そんなことに思いを馳せながら、私はひとり事務所の屋上から夕景を見ていた。
 陽は既に、山の向こうに隠れ、その先の海に沈まんとしている時刻。
 秋の高い空にある雲を山の向こうに沈みかけた陽が照らしている。
 見事な夕焼け。
 そうしていると、遠い向こうから、たくさんのツバメたちが飛んで来た。
 そして、私の頭上を飛び、彼方へと去っていく。

 私たちには、100名弱の同期がいた。
 でも、今では、私を含めて片手で数えられるほどの人間しか残っていない。
 我々の時代は終わりを告げようとしている。
 山の向こうで海に沈もうとしている太陽が、我々だ。
 ツバメたちも同じく。
 同期は、ここに留まらず、飛び去って行った。

 「なあ、俺たちは、この世の中を少しでも良くすることが出来たかな…」
 ツバメたちに語りかけながら、私は、この不思議な光景を見ていた。

 象徴的な光景。
 人生において、時にそのような光景を見ることが、本当にあるのだ。

 そして、『さらば、友よ…』



ブログ一覧 | その他 | 日記
Posted at 2021/10/02 22:09:45

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この記事へのコメント

2021年10月2日 22:38
こんばんは。
夕焼け綺麗ですが、黄昏時は寂しいですね。
定年延長が進んで来ていますが、来年早生まれ60才定年の私は、4月からの65才定年移行に当てはまらず、職探ししながら仕事しています。
気の合う同僚が居る事も、羨ましく思いますし、遣り甲斐を持てる会社に居る事も羨ましいです。
まだまだ頑張って行きましょう(笑)。
コメントへの返答
2021年10月3日 9:18
2シーターさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

定年後の再就職は、新卒よりも状況が複雑で難しいものがありますね。
でも、70歳くらいまでは誰でも働かないといけない時代になってきたようです。
そう考えると、再就職後は、そこそこ長い期間。

人生の午後をどうやって過ごしていくか。
考えることはたくさんあつて、大変ですね。
2021年10月2日 22:46
コメント失礼致します。
僭越ですが…
F355Jさんも朋友の方も
間違いなく地上の星です。


コメントへの返答
2021年10月3日 9:21
るっちくん、コメントありがとうございます。

私ごときを地上の星と言って頂いて、嬉しく思います。
しかし、私ごときが地上の星ならば、日本は、星を敷き詰めた、素敵な国ですね。
これからも頑張りたいと思います。
2021年10月2日 23:09
こんばんは。
私が大手電機メーカーの技術系として就職した時、他部署も含め500名近くの同期がいました。
でも実際は同じ部署では数名に。
一人、高専卒で入社した仲良しの同期がいました。
幸か不幸か、オイラの部下になりました。
そいつが50才の時、突然劇症肝炎になり、生死の境をさまようことに。意識混濁が来る前にとオイラにメールをくれました。
すぐに東大病院に転院して、奥様の肝臓を移植。術後、すぐにお見舞いに行きました。
元気になり戻ってきましたが、そいつよりも2歳年上のオイラはお先に定年を迎えました。
盟友とは去るときが必ず来る、でもその後も新たな出逢いがある。
長文失礼しました。
コメントへの返答
2021年10月3日 10:02
OPONさん、こんにちは。

仕事を通じてこそ、友と堅い絆で信頼関係が結ばれますね。
だから生死を共にした時に、戦友という言葉が生まれるのでしょう。
そういう友に恵まれることで、人生は、輝きを放ちますよね。
そして、やがて別離る時が来る。

コメントありがとうございました。
2021年10月2日 23:22
こんばんは。

お友達、お疲れ様でしたね。

いつかはこの日がやって来ますね.

F355Jしかり、私もしかりです。

私達の指名は技術伝承❗️ですね。

私もその使命に向かって少しずつ
頑張っています。
コメントへの返答
2021年10月3日 10:08
夢さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

人は、老い、そして死ぬからこそ輝きを放ち、いつかはその日がやって来ますね。
残された時間は、僅かですが、技術と魂を伝承して行きたいと思います。
2021年10月3日 11:39
F355Jさん、こんにちは♪

ともに切磋琢磨した仲間と離れるのは寂しいですよね。きっとそのお友達も同じ思いだと思います。私もつい一ヶ月ほど前に苦しいプロジェクトを一緒に乗り越えた戦友を膵臓がんでなくしました。私とは違って出世頭で、小さい会社ながらもトップまで上り詰めた矢先のことできっと口惜しい最期だったのだろうなと思います。私よりも5歳も若く、役員になった彼にはまだ長い会社員人生があっただろうにと思います。

私はもう3年前に定年を迎え、定年前と殆ど買わぬ環境賃金で再雇用で働いていることに感謝しないといけないですね。あと5年ほど頑張って完全引退したいと思っています。
コメントへの返答
2021年10月3日 11:57
ロッソくんのおやじさん、こんにちは。

定年を迎える時期は、身体に気をつけなければなりませんね。
そして、気をつけていても、病魔に蝕まれることもあり…
御友人は、これからと言う時に、残念だったことと思います。

コメントありがとうございました。
2021年10月3日 20:32
こんばんは。盟友との別れは寂しいですよね。
盟友と言えるような関係を持てることは、素敵で本当に羨ましいです。

人生を陽のように例えたことを、僕も同じコトをブログに書いたことを思い出しました。
2016/11/01のブログなのですが、夕陽が沈むまでに僕はどこまで行けるだろうか…と。
人が生きることに意味はあるのかな?と考えた事がありました。何かの本で【人が生きること自体に意味はない。意味があるようにすることが生きることである】というような内容でした。
ブログを拝見させて頂き、僕もいつかは何かを残せたらいいな…と考えさせられました。
とても深いお話しをありがとうございます。
コメントへの返答
2021年10月3日 20:51
涼たそさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
ゴーギャンの言葉に、答えが見つけられず、「わかんねーから、とにかく走っちまえ!」で、ここまで来ました。
その中で、盟友と言える友と出会え、共に仕事を成せたことは、幸せなことでした。

人は、他者の記憶に残らずとも、また、意識せずとも、他者に社会に、いくばくかの影響を与え、何かを残していくのではないかと思っています。
ですから、日頃の言動に責任を持つように生きて行かねばとも、思っています。
2021年10月3日 22:43
こんばんは☆*°

『アレ』で通じ合うお仲間とのお別れが近い…。
それは、言いようのない寂しさに満ち満ちているのだろうと想像しています(。ᵕᴗᵕ。)


かつて、先輩方から引き継いだバトンを…最初のうちは戸惑うことも多かっただろうけれど
次第に、良いことも反省すべきことも含めて経験値と自信を養い、会社(ひいては社会)を牽引し、そして
いつかは、次世代にバトンを渡す。。。

この度のことで、悲喜交々だと拝察いたします☺️✨

どうか、そのお仲間の方の第2の人生が、より一層、豊かなものでありますように願いますm(_ _)m
コメントへの返答
2021年10月4日 20:44
スイ。さん、こんばんは。

良き友ともう二度と一緒に仕事が出来ないかと思うと、静かでよく晴れた寒い冬の日に、ひとりで佇んでいるかのように感じます。

お心遣いを頂き、ありがとうございます。

プロフィール

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まだまだ進化する? 異なる2台の「GRヤリス」現る!
https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/bd6f9cf7ddefb2cbff9dd4d5b0d11dfb90eb4c1b/?sid=cv
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F355Jです。どうぞ、よろしくお願いします。 「J」は、Japanese の頭文字から取りました。 クルマでドライブ、バイクでツーリング、自転車でサイクリ...
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