F355Jのブログ一覧

　親元を離れてからというもの、長らく地球の上をフラフラと陽炎のようにほっつき歩いていた。
　しかし、とうとう終の棲家というものを定めることにした。
　アクシデントが無かったとしても、生物としての己の寿命が、そんなに長くはなくなってきているところに気づいたということもある。
　それで昨年から、各地に散らばっている我が愛機たちを手元に呼び寄せ始めた。

　SUZUKI GSX-1100S 刀もまた愛機の一台。
　長らく、鹿児島に住む友人に預かってもらっていた。
　何年分もの手帳の記録を手繰ってみれば、2005年の3月から。
　実に18年。

　いや、一度、刀を迎えには行ったのだ。
　まさに、刀に乗って帰ろうとしたその日。
　預かってくれていた友人が、「Jさん、刀に乗って帰ったら、もう鹿児島には来なくなりますよね」と脱力するように言った。
　「ん？ああ、遊びに来る以外、特段鹿児島に用事はなくなるからね。」
　そう答えた。
　すると友人は、「刀、このまま置いて行ってくれませんか？Jさんとの縁が切れちまう」と言った。
　「縁が切れるということは無いと思うけれど…」
　私も刀を鹿児島から引き揚げるにあたり、一抹の寂しさを感じていたところだ。
　「わかった、刀を置いていく。預かっておいてくれ」
　そう言って、私はヘルメットやグローブなどバイクに乗るためのほぼすべての装備を刀とともに置いて行ったのである。

　その時からでも10年以上は経っている。
　その後、何度かは刀に乗りに鹿児島に来ている。
　何年か前に、「刀をもらってくれないか？」とも言ったのだが、丁寧に断られた。
　近年はコロナ禍の影響もあり、しばらく来ることが出来ないでいた。

　しかし、何ごとにも終わりというものはやって来る。
　刀を預けたままで終わるということは出来ない。
　そして、とうとうその終わりの日がやって来たのだ。
　終わりの日のために久しぶりに鹿児島に来て、こみ上げるものが心の中にあった。
　数日の滞在の間に懐かしい顔にずいぶんと会った。
　山も川も海も空も、懐かしい景色ばかりであった。

　鹿児島を発つ日の朝、友人は言った、「じゃ、気をつけて」
　「ありがとう」それしか返せなかった。

　私と刀は、鹿児島を背にして走った。
　背中に、テールライトに、遠ざかる鹿児島が感じられた。
　どれだけ走っても、鹿児島が感じられた。



　ここは、九州最北端。
　刀の影も長くのびる時刻。




　故郷が見える。




　下関に入った。
　この橋を渡れば、私のホームだ。
　この橋を渡って、刀と私は出てきた。
　だからこの橋を渡って、刀と私は還る。
　ここでも背中に鹿児島を感じる。
　私は、刀にまたがったまま後ろを振り返った。
　背中に感じていた鹿児島を懐に抱いて…
　橋を渡った。

　リターンライダー…と、言われても仕方あるまい。
　それだけの月日が経っている。
　だから、入念に必要な装備を整える。



　ヘルメット。先代のヘルメットは、加水分解が進んでいたため新調。
　バイクに乗るためには、ヘルメットが一番重要であろう。
　Arai RX-7X
　￥57,420-（税込）




　革ジャン。KADOYAのフライトジャケットタイプ。
　流石のヘビーデューティー。1994年に購入したが、いまだ使えると判断。
　厚手の牛革。
　走行中に転倒してアスファルトの上を滑ってもめくれないよう、袖や裾は、スナップボタンで留めるようになっている。
　価格は失念。




　インナージャケット。
　速乾で快適。
　しかし、主な目的は、脊椎パッドなどの装着。
　脊椎だけでなく、肘、肩にもパットが入る。
　KUSHITANI インナープロテクションジャケット
　￥19,800-（税込）




　革パン。
　やはり厚手の牛革。
　高速道路で転倒、滑走した場合、Gパンでは生地がすぐに破れ、人間の皮がむける。
　膝パッドも装着可能のものを選択。
　仕立てもバイク用ならではの作り。
　自宅でも洗濯機で洗えると聞いて、技術の進歩に驚いた。
　KUSHITANI エクスプローラージーンズ
　￥61,600-（税込）




　膝パッド。
　革パンに装着。着脱は容易。
　転倒時に膝の皿を割りたくないので、マストアイテム。
　KUSHITANI Kフォーム＋プロテクター
　￥3,080-（税込）




　ブーツ。
　お気に入りのブーツがあったのだが、どこにやったものか。探しても探しても出てこない。
　ツーリング用として新調。
　KUSHITANI ネオブーツ
　￥44,000-


　今回新調した装備だけで合計￥185,900-
　グローブの写真ないが、以前使っていたKUSHITANIのものを使用するため計上せず。
　まあ、かなりの額になったが、バイクに乗って高速道を走るにはこれくらいは致し方あるまい。
　生身は剥き出し。
　しかも、制動距離の長い二輪。
　それが、時速100km以上でアスファルトの上を走るのである。
　クルマとは…違うのである。

　最近、コンビニをにぎわしているであろう、この酒「ジャックコーク」。
　バーボンウイスキー「ジャックダニエル」を「コカコーラ」で割ったもの。
　ジャックダニエル自体、バーボンと言うこともあり酒としては甘い部類に入ると思うが、それを更に甘いコカコーラで割ったのだから、甘くないわけがない。
　アテとするには、何が合うのか…チョコ・゜・('ω')ノ氏との会話の中で飲んでみたジャックコーク。あまりの甘さにすぐには思いつかなかった。
　だが、悪くない甘さだ。『何が合うのだろう…』数日この問いを解くのを楽しんでいた。
　そうしていたら、突然『コーラ味が合うのは、ハンバーガーか！』とひらめき、マクドナルドと合わせてみた。
　しかも、アメリカン×アメリカンだから…どうだ！

　『うむ、イイんじゃないか？』

　辛党の方もお試しあれ。
　ただし、試した後の運転は御法度。
　潮風にでも吹かれて帰ろう。


追記
　ジャックダニエルは、バーボンではなく、テネシーウイスキーだったと後で気づきました。
　赤面の至り（恥）。