「新安全神話」によるマインドコントロールを解け

おおい町全員協議会では一人の反対をのぞいて11人が賛成して再稼動を容認すると決定したそうです。改めてこの町が長い間「安全神話」を信じ込まされて、交付金にどっぶり依存し、他の選択肢を考えられないくらいに「町全体が原発中毒患者」になっていることの深刻さを感じます。

日本は世界有数の地震多発地帯です。1年間で平均マグニチュード６～6.9の地震が焼く17回、Ｍ７～7.9の地震が約2回の頻度で起きている計算になるそうです（気象庁統計による）。





さて、2007年7月に発生した新潟県中越沖地震はＭ6.8でした。エネルギー規模としては東日本大震災の数千分の一。日本のどこかで毎年数回起こっているくらいの規模です。

ところが、柏崎刈羽原発は基準地震動450ガルの4倍近い1699ガルの揺れに見舞われました。幸い炉心損傷には至らなかったものの、天井クレーンの損傷など3700箇所を超える事故・故障が発生したのです。





現在、ストレステストで提出されている原発20基のうち、9割にあたる18基が中越地震クラスの揺れで、炉心損傷の危険がある限界点をこえるという致命的な弱点がはっきりしました。もちろん大飯原発も1699ガルにはるかに届かない限界点1260ガルしかないわけです。

つまりストレステストでは、毎年起こっているほどの地震さえ想定しないほどの低い基準のエネルギーでしか計算しておらず、それもコンピューターを使っての机上の空論で「大丈夫」と結論を出しているわけです。更に、直下に活断層があることが次々にわかっているのにそれを考慮にいれていないし、プレートのゆがみからこれまで想定されていた以上の津波がくるなどの指摘も新たにされているのに、こうした数ヶ月で次々と明らかになっている危険性も考慮に入れていません。




すでに電力会社や国の見解が次々と崩れているにも関わらず、ストレステストをパスしたという「新安全神話」にしがみつき、再稼動を許してしまったら、近畿圏域が人の住めない死の世界になる危険性だって否定できない事態もありうるわけです。

大飯原発再稼動をストップさせるためには、国民的な大運動をするだけでなく、大飯町のみなさんに「原発に依存しなくても地方の町が自立して雇用を生み出すための責任を国として保障させていこう」と新しい道を指し示す努力もおこない、マインドコントロールを解いていかなければならないと思います。

原発０に賛成か反対かとか。スローガン的に対立するだけでなく、その危険性をリアルに知っていくことが、必要なのだと感じました。