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イイね!
2012年06月23日

タイヤの曲がる力のみなもとシズカ。

みなさんこんばんは。

今週もくそ忙しかったですが、残業し過ぎで週末は休みになったので、今のうちにと言う事で固め打ちします。

今日はタイヤはなぜ曲がり、大局的にはどんな事がその曲がる力を左右するのかを勝手に語りたいと思います。まあ所詮ドロップアウトした輩の言う事ですから、現役の業界の方から見たら片腹痛い内容だとは思いますが、ご愛敬。

タイヤの曲がる力、つまりコーナリングフォースについて理解する為にはまずタイヤ、特に現在ではほぼ100%の占拠率と思われるラジアルタイヤの構造について理解すると良いです。良くSタイヤとか、ラジアルとか区別していますが、ラジアルとは正確にはタイヤに内包するカーカスの角度が進行方向に対して90度の角度を持ち、タイヤの回転中心に対して放射状(ラジアル)に張り巡らされているものを言い、Sタイヤの多くがタイヤの構造強度を上げる為、90度では無い角度を使っていたりする事が事の起源です。
しかし実際にはラジアル構造のSタイヤも有るし、ラジアル構造じゃない「ラジアル」例えばR1RやR-S3も有るわけです。実際には構造では無く、競技用をSタイヤ、それ以外の見た目もう少し溝が有るタイヤをラジアルと呼んでいるだけですね。

あっ、ちょっと脱線しました。

で構造図はこんな感じです。

こんな図はタイヤメーカーのサイトとか見ればもっと綺麗なのが見れますね。
ここで重要なのは、空気を入れられてピンと張って荷重を支え、タイヤが発生させた曲がる力を支えるカーカス層やベルト層があり、そして路面との接触やエネルギーの変換を行うゴム層が有って力が伝わる構造になっているという事です。

マンガに描くとこんな感じ。

ゴムにはヒステリシスと言って、歪を熱エネルギーに変換して吸収してしまう性質が有ります。この変換効率を粘弾性比率と言いますが、ハイグリップなゴムほど変換比率が大きく、タイヤに戻ってくるクルマの遠心力などのエネルギーを熱エネルギーに置き換えて吸収し、路面との密着部分にその遠心力を伝えなくする事でグリップを維持します。
ただ、この事は同時に転がり抵抗みたいにタイヤが繰り返し撓む事でもエネルギー吸収してしまうので、燃費は悪くなる事になります。
グリップのもう一つの要素は、路面との密着力です。これは色々な路面凹凸に対して柔軟に追従し、真実接触面積を大きくすることや、あるいは分子間力みたいな電子的な力で路面とくっついていようとする成分で決まります。
つまり、エネルギー吸収させるには、ゴムは沢山あった方が良いので、あんまりすり減ったタイヤではダメです。そして柔らかいゴムほど真実接触面積が大きくなるので、タイヤが温まり、ゴムがある程度柔らかくなる事が重要です。
一方で、ゴムはタイヤから車体への力の伝達もしなければならないので、柔らか過ぎると伝わらないし、何でも吸収してもらっても困るわけです。だから少し減っている方が良かったり、表面だけが温まっている方が良かったりするわけですが、路温やパターン、アライメントも関わり結果が出るわけですから、この辺は各自基準条件を決めてデータを蓄積する事が肝要だと思います。

あっー大分疲れてきました。

そうそう第一回でタイヤに荷重を過大にかけてもダメだというような説明をしましたが、その辺の事について説明します。

図はクルマが曲がっている時の前輪の様子で、タイヤを上空からみて接地面を透視しているような図になります。

最初の図でベルトと言うパーツが有りますが、これはピアノ線を撚り合せたコードを使用していて、非常に強い剛性を持つ円環を構成しています。トレッドゴムが接地して、それに対して車体やホイールは遠心力で接地面より外側に行こうとしますが、その変位をこのベルトの弾性で引き戻し、クルマを曲げていく事になります。この引き戻す力がまあCFのかなりの部分です。
んで、荷重をどんどん掛けて、より大きなCFをかけていくと、この円環の撓みは大きくなり、やがてクリープするような限界点を迎えるわけです。これがCFmaxです。

また制動に於いては、タイヤの縦撓みが過大となると、ベルト層が正しく接地できない様になって、不安定な状態となり、やはりピークを迎えます。

この限界を左右するのは勿論タイヤの剛性が高い事も重要で、扁平タイヤが重用されるのは、ベルトの剛性が高く、限界点が上がるからですが、もうひとつ凄く重要なのは空気圧です。
要はコードの高い初期張力を与えておけば類似した事になりますので、空気圧を高めれば限界点は上がります。
しかしどちらにしてもネガが有り、ベルトの剛性を上げてしまうと接地面積が減少してしまうのです。つまり力の伝達の上昇とゴムの摩擦力の低下との最適ポイントを探さないと良い結果が得られない事になります。

と言う事で、みなさん空気圧を探索する事の重要性がご理解いただけた事と思いますので、頑張ってください。

最後にあんまり関係ないですが、F1は死ぬほどダウンフォースが有るので、扁平タイヤではタイヤの荷重支持性能が不十分で、凄くハイトの高いタイヤを使っていたりします。

長文過ぎて添削する気にもなれません。乱文乱筆ご容赦ください。

次回はホイールサイズ選択でも話しましょうかね。ではごきげんよう。
質問には、頑張れる範囲でお答えいたします(笑。
ブログ一覧 | ミセガワ研究室 | 日記
Posted at 2012/06/23 01:03:13

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この記事へのコメント

2012年6月23日 5:48
素人には思えないですね(笑)
どこぞの参考書読んでる気分になりました!
参考書とは違っておもしろいです!
是非本を出してください
コメントへの返答
2012年6月23日 8:33
じゃあ記事書きますので、ネゴって下さい。

しかし人に解り易く伝えるのって難しいですね。
2012年6月23日 10:02
大変勉強になります。
是非講習会開いてください。
コメントへの返答
2012年6月23日 23:23
お疲れ様です。
講義よりも、疑問点をぶつけてくれる方が答えやすいので、何かあれば投げてください。よろしくお願いいたします。
2012年6月23日 19:47
ヒステリシスの辺りの話ですが「遠心力を伝えなくする」なんてできるんですね?!
何だか文化系で草食系な僕には理解が難しいです(汗)

ここでは触れられていませんがトレッドパターンも当然重要なんですよね。
ZⅡがZ1☆とゴムは一緒って噂だし
RE-11Aがパターンは変えてこない所を考えると・・・。
ド素人な僕は、今のコンピューターだったら条件を入力したら思想のパターンがペペッと出てきたりしないんだろうか?なんて考えてしまいます(笑)
コメントへの返答
2012年6月23日 23:26
遠心力に限らず、色々な力です。良く弾まないゴムボールとか出てきますよね。あれは反発弾性のエネルギーを吸収しているのです。

パターンについても追々やって行きます。

コンピューターは万能ではなく、クルマやタイヤや路面は千差万別なので、それを計算しようと思ったら地球シミュレーターとか活用しないと。
ただ、実験計画法とか品質工学的なシミュレーションツールとしては勿論コンピューターは活用していますよ。
2012年6月23日 20:11
お疲れ様です!

下町系直感派なオイラには、なかなか難しい
話になってきましたが、クロハチさん同様に
講習会を是非お願いします!
コメントへの返答
2012年6月23日 23:28
お疲れ様です。
上でも書きましたが、疑問に思っているところを聴いてもらった方がいいですね。

講義と言っても人それぞれ興味が違うので、漠然とした話になってしまうと思います。
2012年6月23日 22:54
画伯!
マジで模式図サイコーです!

エア圧が高めがいい、という意見は自分の感覚と比べるとよくわからなかったのですが、少し理由はわかったような気がしてきました。
けっこう本とか読んでた気になってましたが、まだまだ知らないことも多く、目からシズカちゃんです。
コメントへの返答
2012年6月23日 23:31
エア圧は高い方がいいという意味では無いので、ご注意を。
圧を高めると接地面積は減るので、初期グリップは減ってしまいます。
あくまでも制御因子として重要と言う事ですから、色々自分で探るべきという主旨です。
タイヤが潰れたり、反応が遅れなければ、個人的には空気圧は低いほど良いと妄想しています(笑。その方が接地面積が広いので。
2012年6月23日 23:00
続けてすみません。
ミセガワさんの感覚では、エイトでラジアルタイヤの場合、結構簡単に荷重オーバーの状態までいってしまうものでしょうか?
コメントへの返答
2012年6月23日 23:34
エイトは車体の割に大きなタイヤが付いているので、基本的には荷重オーバーになりにくいです。これがフロントヘビーなFFベースカーとかだと、タイヤが負けるわけで、曲がらないとなるわけです。
また、リア荷重もそこそこあるので、クルマ本来のバランスがタイヤを上手く使えるように出来ているから速いんですね。

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