
札幌冬季オリンピック(1972)で表彰台を独占して以来,スキージャンプはもはや日本のお家芸。
最近ではスノーボード・フリースタイルもそれに加わり,日本は空を飛ぶ競技にやたら強い。
だが,あれは優雅に見えて,実態は重力に全力で抵抗している競技だ。
空を飛んでいるというよりも,落ちるのを先延ばしにしているだけとも言える。
雪面は綿菓子に見えるが,普通に固い。
着地に失敗した瞬間,万有引力は一切の例外を認めない事を知る。
常に恐怖との戦いなのだ。
ところが,恐怖に限って言えば,リュージュやスケルトンのソリ競技はさらに上をいく。
一見,ソリの上で昼寝しているように見えるが───
無呼吸症候群になるぐらいに恐ろしい。
速度はスキージャンプの1・5倍で150キロ。
しかもシートベルトなし。掴んでいるだけ。
景色は流れるというより,ワープ航法で瞬間移動中。
つまり,命がけの「超高速流しそうめん(人間版)」である。
その上,ハンドルもブレーキもないのに運転しなければならない。
肩や腰を動かし,もぞもぞしながら重心移動で板をしならせ方向操舵する。
減速したいときは,頭を起こし空気抵抗を利用したり,足を出す。
つまり,寝たまま命の微調整。
すぐ足が攣(つ)ったり,腰痛持ちには,あまりに覚悟が必要な乗り物だ。
もしも陪審員のように無作為でオリンピック出場に選出されても,全力で辞退する。
安全第一である。
───しかし
同じソリ競技でもボブスレーなら,どことなくセブンに似ている。
いや,タイヤを外した瞬間,ボブスレーだ。
屋根なし,ドアなし,電子制御なしときている。
疾走すると風圧と寒風で顔がゆがむからヘルメット着用。(建て前は安全確保)
つまり私は,日ごろから氷がないだけのボブスレーにソロ参戦し…
首都高で命を削っている。
なお,金(かね)は取られるが,メダルは取れない。

朝食のビュッフェは,和洋中と目移りする───
寝起きの脳に迫られた取捨選択だ。
料理を欲張り過ぎると,トレーの上はテトリス状態。
ホテルの朝食会場でのことだ。
さてカレーも食べたいが,もうトレーは満席,ボウルも載せられない。
見ると,つい取ってしまったドーナツが,一人で小皿を占領している。
それで───
上から掛けた。
…カレードーナツ,もはや妥協の産物。
視線を感じて振り向くと…
順番を待っていた小学生の女の子が,目を真ん丸くしてこっちを見ていた。
まさに犯行現場を目撃してしまったような目つきだ。
私は何も言わない。女の子も何も言わない。
ただスパイシーな香りだけが二人を包んでいた。
ほどなくして,彼女は弟を連れて犯行現場に戻った。
そして,ドヤ顔でコーンポタージュのふたを開けると,堂々とドーナツに掛けてみせた。
弟は,あわてた。
「いけないんだよー」
絶対にお母さんにチクってやるといった口調だった。
だが,姉は動じない。
すでに彼女は,お母さんより年上である私の一部始終を見ている。
弟の言葉はスルーして「あんたもやってみな」と促した。
その瞬間,私の脳は目覚めた。
自由とは好き勝手のことではない。
自らの発想で,常識に抗うことなのだ。
子供は,大人を見て成長する。
そんなことを考えながら,カレードーナツを口に運んだ。
…意外と,悪くない。
そして,意気揚々と座席に戻る姉弟を見送りながら───
コンポタドーナツも試したくなるのだった。

セブンが入院して,早1ヶ月。
エンジン警告灯が,昨年から消えないのだ。
確かに2,3度,エンジンが意識を失った。
しかし,その後は快調で,仮病を疑いたくなる。
チェックランプなんて点きっぱなしでいいからと,退院を申し入れたが却下された。
メーカーと毎日,少しずつ原因を詰めているので,実車が必要らしい。
毎日?少しずつ?
そのはずだ。
時差9時間だもんな。
英国から「グッド・モーニング」と連絡が来た瞬間…
こちらは「お疲れ様でした」と退社モード。
こんなやり取りじゃ進まない。
紅茶片手に「365歩のマーチ」なんて口ずさんでいる場合じゃない。
♪一日一歩 三日で三歩 ♪三歩進んで 二歩さがる
だから私は,今日も歌う。
「ゲット・バック」と───

我が家のマンション駐車場には,顔も名前も知らないライバルがいる。
まだ,会ったことはない。
だが,柱を挟んで毎晩しのぎを削っている。
私は左ハンドル(青いアバルト)。
必然的に,左隣のクルマと間隔を確保するため,右の柱(向かって左側)に寄せる。
一方,柱の向こうの住人は右ハンドル。
同じ理屈で,左の柱(向かって右側)に寄せる。
結果,柱を挟んだ両者が,お互いに「そこまで柱に寄せる?」という位置に停めている。
静かな駐車場で展開される,過激なチキンレースなのだ。
相手が寄せれば,こちらも寄せる。
こちらが更新すれば,翌日は必ず上書きされている。
これは偶然ではない。
完全に勝負だ。しかも不毛な。
不利なのは,私のほうだ。
アバルトのドアミラーは,電動格納式ではない。
柱にミラーを擦った瞬間,勝負以前に人生が終わる。
一方,相手のフォレスターは,超音波センサーやサラウンドビューという近代兵器を惜しみなく投入してくる。
かと言って,二回りも三回りも小さなアバルトが,ここで負けるわけにはいかない。
昨晩は,ミラーと柱の隙間が1センチを切っていた。
「よし,勝った」
そう思って寝た。
今朝,2台を見て愕然とする。
完敗だ。
絶対に,モニターを使ったに違いない。
私は,思わず叫んだ。
「武器を使うなんて,きたねーぞ!男なら素手でこい!素手で!」
(※相手が男かどうかも知らないが…)
湾岸線で最高速を競っているわけではない。
ましてや,峠でバトルしているのでもない。
それでも駐車場では,毎晩,MFゴーストが繰り広げられている。
ちなみに,読者の興味は一点に集約されていると思うが…
お陰様で,まだコスってはいない。

賛同,異論,反論と意見には様々な主張がある。
私が常々,念頭に置いているのは,正義は一つではないということだ。
ある正義があるとき,反対側にも同じ量の正義,すなわちアンチテーゼが存在する。
たとえば,殺人は許されない。
しかし,死刑は制度として認められ,こと戦争においては,殺した人数に応じて勲章まで授与される。
国が富むことを望まない者はいないだろう。
だが,それによって不利益を被る国があることも事実だ。
戦争などは,その代表と言っても差し支えない。
行為そのものは同じでも,状況が変われば正義の符号は反転するのだ。
政治家は国家を説く。
勘違いしがちだが,国家に従属して国民がいるのではなく,国民の自由を守るために国家があるのだ。
正義を掲げること自体は,どの体制でもできる。
それに異論反論を提唱できるかどうかが,民主主義か否かの分水嶺である。
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