週刊ダイヤモンド7/30号

　彼の国の高速鉄道(口が裂けても○○版新幹線などと表現すべきでない)事故発生を、事前に知っていたかの如きタイミングで「新幹線特集」。地下鉄のキヨスクで購入。
　いや、むしろ「いつかは必ず事故を起こす」とみんなが思っていやしなかったか。


　嵐のなか信号機が故障して追突するなど、19世紀にイギリスで多発していた事故状況そのものである。前々世紀から発生していた事故を防げない事業者に、高速鉄道を営む資格はない。

　特許を申請する際には「我々の独自技術」。
　事故が起きたら「川重やボンバルディアの欠陥」とでも言い逃れるつもりか。
　馬鹿も運休してから言え。落雷しても動いていた川重ベース車(追突編成)が優秀な証拠。ボンバルディアにぶつけたのは独自開発したと胸を張ってたオペレーション･システムのせいではないのか。


　自ら事故原因を見いだせず、解決も儘ならないなら、旅客運送業はおろか鉄道事業自体をやめ、蒸気機関導入以前の文明度に帰るべきだ。今なお内陸の山奥には、石器時代と変わらぬ生活をしている人も多かろう。
　共産主義を標榜しながら貧しき地方の人々を置き去りにし、党幹部と腐敗官僚が1/1サイズの鉄道模型遊びに興じている時点で、既に大きく脱線している。



　古来鉄道は政治の道具であり続けた。それは我が国とて例外ではない。
　ただし、鉄道が政治の道具たりえるのは、国民にとって安価で快適かつ安全な大量輸送手段だからである。日本でも政治の介入を受け続けた結果、巨額の債務を抱え返済の道半ばだが、安全性だけは鉄道マンの矜持が妥協を許さず、維持されてきた。

　彼の国の高速鉄道はどうか。
　快適さを繕ってはいるが、ごく一部の富裕層か外国人しか利用できない運賃水準。そして何より安全性を欠くようでは大量輸送機関として致命的である。これでは政治の道具ではなく、オモチャだ。

　しかも悪辣なことに、鉄道模型で遊ぶに飽き足らず、善良な乗客を模型のフィギュア扱いしている。
　列車がぶつかって首がもげようが吹き飛ばされ永遠に行方不明になろうが、僅かな補償金でチャラ。
　きっと新しいフィギュア代だと思えば安いものなのだろう。
　前途ある高校生と先生を無惨に殺しながら、極めて低額の補償しかしなかったあの事故の頃から、彼の国は何ら変わっていない。



　鉄道を政治的に利用するのは致し方ない。
　経済発展のためには絶対的に必要であろうし、国威発揚にも効果的である。

　しかし利用者や現場職員の命を弄び、鉄道車輌や施設をオモチャの如く使い捨てるのは許し難い。
　彼の国にも、心ある誇り高き鉄道マンが多数いるであろうことを想い、無念の死･耐え難い恐怖を強いられた乗客の皆さんにお見舞いを申し上げつつ、敢えて苦言を呈す。


　恥を知れ。